第140話 番外 アリア編 集う英雄2
「さて、ガータ!生活の基盤は整いましたわぁ!散り散りになっていたオークたちも集結してきました。今こそ魔王アルモルドに侵略された土地と砦を取り戻す時です!」
アリアはそう言ってガータを指差す。
「はっ!すでにオーク兵3000!出陣する準備は整えてあります。魔王アリア様、号令を!」
ガータすでに武装しており、膝を下りアリアにそう言った。
「ふふん!進軍開始ですわぁ!!」
アリアはそう言ってマローダーベアーに跨がり、オーク兵たちを率いて魔王アルモルドが侵略した砦に向けて進軍を開始した。
魔王アルモルドは勇者ルーカスに討たれたが、魔王アルモルドの配下のアンデッド兵たちが消滅したわけでは無い。
砦に配置されたアンデッド兵たちは今もなお忠実に砦を守っているのだった。
「さぁ、掛かりなさい!攻城戦ですわぁ!!」
砦の攻略は問題なく行われていった。まず、敵に指揮系統がないこと、そしてガータが歴戦の将であった事もあり砦の攻略はほとんど被害なく行われた。
「すごいですわぁー!!こんなに早く一つ目の砦を落とせるなんて!次に行きます!三つの砦を攻略し、地盤を確固たるものにするのです!」
周辺の三つの砦を制圧することができれば他勢力も容易に手を出せないほどの力を持つことができるだろう。さらに軍の増強も容易になってくる。
三つの砦を落とし、四つの砦を持つことができればかなり広い範囲の土地を納めることになる。
それは本格的にアリアが魔王として君臨することを意味するのだ。
「あはは、そう簡単にいくかな?」
さらに二つ目の砦を落とし、最後の砦を目指し行軍している最中、俺はそう呟きカタカタと笑う。
そう三つ目の砦にはやばいやつがいるのだ。
アリアはあいつとどう対峙するのか。
見ものだな。楽しみだ。
「さぁ、三つ目の砦ですわぁ!!皆さん、ここで今日は最後です!気をつけてくださいね!では、攻撃を…」
アリアがそう言って攻撃を開始しようとしたその時、敵の砦が開門し、アンデッドの一軍が出陣してきた。
「えぇー!?まさかこっちに切り込んでくるつもりですの!?」
アリアがびっくりして声を上げる。
一つ目の砦も二つ目の砦も敵は専守防衛であったからだ。
「アリア様お下がりを!盾兵前へ、アリア様をお守りしろ!敵将がいるぞ!」
ガータがそう言って命令を出して陣形を変える。
そう、アンデッド兵がこんな能動的に動くわけないのだ。つまり、知能を持つ魔王アルモルドの将がいるということだ。
アンデッドの一軍は斬り込んでは来ず、アリアたちの前で止まった。
しかし、そのアンデッドの将をみたアリアのオーク軍は青ざめる。
なぜならば、そのアンデッド将は…
「我が名は死霊騎士団団長 フルモンド・アーガスト!オーク軍の指揮官よ、名を名乗られよ!」
そう、列国に名を轟かす魔王アルモルド最強の騎士団長 フルモンド・アーガストであったのだ。
「ちっ!まさか死霊騎士団とアーガストがいるなんて!我が名はオーク騎士団団長 ガータだ!アーガストよ、久しいな!」
ガータはそう言うとアーガストの前に出る。
「ほう?魔王ブーモル軍最強のオーク騎士団団長ガータ殿か。生きておったのだな。我が砦に何用か?まさか、魔王アルモルド様が討たれたから攻めてきたのではあるまいな?」
「そのまさかに決まっておろう!アーガストよ、大人しく砦を明け渡せ!」
ガータはそう言って背中に背負っていた大斧を引き抜き構えた。
「愚かなり!我が死霊騎士団に立ち向かうとは!良かろう、魔王ブーモルに合わせてやろう!」
アーガストも剣を抜き構える。
「待ちなさい!!」
アリアが大きな声を出して2人を止めた。
「なんだ小娘?」
アーガストはそう言って首を傾げる。
「アリア様お下がりを!ここは危険です!」
ガータが慌てたように言う。
「私はこのオーク達の主 ハードル・アリアです。死霊騎士団のアーガスト、剣を納めてください。」
「なに?お前のような小娘がガータを含むこのオーク達の主だと?ふはは!笑わせるな!!…本当なのか?」
最初は信じられず笑ったアーガストだったが、ガータのアリアへ対する態度をみてそれが事実だと知る。
「死霊騎士団のアーガストよ、魔王アルモルドは勇者ルーカスに討たれました。貴方は主を失い何を望むのですか?」
「我が望みだと?…なにもない。もともと我が望みなどなにもないのだ。死んで蘇ったあの日から私はただの屍なのだよ。」
「悲しいね。ならば邪魔をしないで頂けますか?我らは生きているのです!ただの屍であるのならば、貴方はさっさと土に帰りなさい!」
「ふはは!言ってくれるな小娘、まずはお前から殺してやる。土に帰るのはどちらかな?」
アーガストは馬を走らせアリアに向かってきて剣を振る。しかし、後ろに控えて居たマローダーベアーがアリアを守り、アーガストの剣を弾く。
「ちっ、でかいクマがいるな。」
「私の話は終わっていません!ただの屍であるのならば、主を失った貴方はなぜまだ剣を振るうのです?」
「…さぁな?」
アーガストは自分の剣を見た後にそう言った。
「それは貴方がただの屍ではないからですわぁ。」
「どういう意味だ?」
「貴方は生きたがっているのですわぁ!貴方は探している、剣を振るう理由を!生きる理由を!だから主を失ってなお彷徨っているのでしょう?」
「俺が生きたがっている?」
「えぇ、そうですわぁ!死霊騎士団のフルモンド・アーガストよ、私に仕えなさい!私が貴方に剣を振るう理由を与えましょう!私が生きる理由を与えましょう!」
「アリア様!!正気ですか!?あいつはアンデッドですよ!?」
ガータが驚いてアリアの方を向く。
「私は全ての種族を導く優しい王となりますわぁ!アーガスト、前の主では貴方は奪うために剣を振るわせていました。私の元では奪うために剣を振るうのではなく、救うために剣を振るうのです!」
「救うために…剣を。アンデッドのこの俺が?」
「私の国ではあなたが何者かは問題ではありません!アンデッドだから、オークだから、人間だから。そういう考えはではありませんわぁ。私に付き従うものは等しく私の民です。私の下に一つの民なのですわぁ!!」
「アンデッドではなく…一つの民。」
「私の手を取り従いなさいフルモンド・アーガストよ!私は貴方達が生きる希望となる!貴方はただの屍ではない。甦れ、私に従う一つの民として!!」
「俺が一つの民として…甦るだと?」
アーガストは魔王アルモルドが討たれた後、改めて自分はただの屍なのだと悟った。
甦ることはない、ただ戦うためだけに動く悲しき屍。
この少女は俺に甦るための手段を与えてくれた。
惹かれてしまった。
アンデッドの俺すら生者として一つの民として見るこの少女に。
見たいと思ったアンデッドの俺すら一つの民として数えるこの少女の国を。
護りたいと思ってしまった。俺の心を甦らせてくれたこの少女を。
あぁ、惹かれてしまう。この少女に!
アーガストは気づいたら剣を納め、馬から降りてアリアの前に跪き首を垂れていた。
「死霊騎士団約5000とこのフルモンド・アーガストはアリア様のために忠誠を誓います。」
「一つの民として私の傘下に加わりなさい!貴方達は私の下で奪う剣ではなく、救う剣を振るい続けなさい。動かなくなるその時まで。」
アリアはそう言って死霊騎士団とアーガストを自身の軍団に加えた。
「すごい、すごいじゃないかアリア!!あのアーガストすら従えたのか!亡き2人の魔王の最強の騎士団を従える。これは本当に凄いことだ。もうアリアと容易に事を構えることは難しい。正真正銘の脅威の魔王だ!!」
スケさんはカタカタと下顎骨を興奮して鳴らして笑う。
アリアは魔王ブーモル最強のオーク騎士団、魔王アルモルドの最強の死霊騎士団の二つの軍団を従えた。
これは凄まじい力だ。
二つの軍団の兵力を合わせると約8000の軍勢をもつ。
そして、砦を四つ所有し、それなりの範囲の土地を納めることとなった。
魔王アリアは他の列国にも警戒されるほど脅威の魔王として認知されていく。
アリアの下に、アリアの夢の下に世界の英傑達が集っていきます。
そして、アリアは二つの種族の軍団を従え8000のモンスターを従える本物の魔王となりました。
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