表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/138

第134話 蟻と絶対者

「神がこの階層に降り立った!」

蟻の女王クルアと今後の話をしていたら、突然そんなことを言い出した。


「えっ?急に?」

私は戸惑う。


「今、強大な個を止めた。はっ、話しかけなければ!神と話すことができるかもしれない!」

クルアはそういって触覚を興奮したように動かした。


神ね、たしかにクルアからしたら迷宮が世界。その迷宮の主なのだから神なのかもしれないわね。


「あっ、では、迷宮を出てもいいか聞いてもらえますか?」

私からしたらこれが一番重要。これだけは聞いてもらわないと。


「あ、あぁ、わかっている。「貴方様は迷宮の主様であられますか?」」


クルアはその主とやらに念話を送っている。

さて、許可はもらえるかしらね?





「あぁ、そうだよ。蟻の女王よ。」

突如としてクルアの背後からその声が聞こえた。


「おぉ!神よ、ようこそ!ようこそお越しくださいました!」

クルアは感極まったように平伏する。



やばい、やばい!あいつはやばい!

バーバルはその者を見た瞬間に全身に鳥肌が立ち、ありえないくらいの冷や汗が吹き出た。


見た目は黒いローブを被っていて、顔は黒い仮面を付けているからわからないが、ただやばい事がわかる。

勝てる勝てないではない。強い弱いではない。

わからない。目の前のあの男がわからない。強いのか弱いのか勝てないのか勝てるのか、これから私がどうなるのか。

全くわからない。全く推し量れない。

まるで深い海に腕を入れたよう。底も何がいるのかも、なにがあるのかも、なにもわからない。

ただ一つわかるのは 怖い という自分の感情だけだ。


「蟻の女王よ、名前はたしかクルアと言ったか?」

絶対者はそう言ってクルアを見る。


「はい!クルアと申します!名前を覚えて頂いている!!あぁ、なんて光栄なのでしょう!」


「クルアは外に出たいのか?」


「そ、外?地上ですか?はい、地上に進出したく。ただ!神がやめろと申すなら私は…」


「あぁ、違う。やめろって言ってるんじゃない。別に外に出ていい。」


「本当ですか!?」


「あぁ、外に出るなら俺からちょっとしたプレゼントをあげようと思ってね?」


「プレゼントですか…?」


「あぁ、ナクアにもあげたからね。君達にもあげないと不公平だろう?君にも外の世界の人と話しやすい身体を与えよう。」

絶対者はそう言ってクルアの頭に手を置いた。

するとみるみるクルアは縮んでいき、形が変わっていく。

サラサラの地面まで届きそうな綺麗な銀髪に見惚れるほど綺麗な銀眼、豊満な胸にさらっとした身体。


またしても絶世の美女が生まれた。


「おぉ、これまた美人が産まれたな。ほら、とりあえずこれを着ろ。」

絶対者はそう言って質のいい布でできた貫頭衣をクルアに投げた。


「あぁ、感謝致します!こんな素晴らしい身体を与えてくださるなんて。下賜して下さったこの服も大切に致します。」

クルアはそう言って絶対者に裸のまま跪いた。


「な、なんかお前異様に忠誠心高くないか?なんでだ?初対面だよな?…まぁ、いいか。」


「私の身も心も我が神の物でございます。」

クルアは跪きながら、うるうると目を潤んだ目で絶対者を見つめる。


「あっ、これ忠誠心じゃないな、信仰心だ。なんか怖いな…。まぁ、美女に信仰されるのも悪くないが。」


蟻は真社会性をもつ生き物である。

全ての蟻は女王蟻のために命を投げ出す。命令通りに命を捨てる。

死の迷宮の蟻も同じだ。蟻の上位者には逆らわず、ただ命令に従う。

そして、蟻の女王も迷宮という大きな巣の主人に忠誠を誓っているのだ。それは代々信仰という形で蟻の一族に受け継がれて来た。代を重ねるごとに信仰は増していってクルアの代でついに神と対面したのだった。


「そうだ、ナクアとナラ2人その姿を与えたんだ。クルアももう1人その姿を与えるよ。誰か与えたい者はいるか?」


「では…ネロ、ここへ。」

クルアはネロという一匹の蟻を呼んだ。


「彼は、この巣で唯一の雄です。我らは一匹の最強の雄を産み、彼が蟻の一族の指揮を取り戦います。生殖能力はなく、すべてが戦うためだけに力を注がれた存在。それがネロです。彼にも私も同じような姿を与えて欲しく。」

そう言ってクルアは頭を下げる。


呼び出されて来たネロという蟻はたしかに強そうだった。

他の蟻よりも数倍大きな巨躯、アドバースの龍鱗にも負けない堅牢な黒い外殻、大きく鋭い大顎、太くしっかりとした脚。


「ネロ、君にも新たな姿を与えよう。いいね?」

絶対者はそう言ってネロに手を向ける。


「それが女王の命ならば、我はただ従うのみ。」

ネロから同意の思念が送られてくる。


ネロの体はみるみる変わっていく。


整った顔立ち、完成された肉体美、鋭い切れ目の黒髪センター分けの裸のイケメン青年が現れた。


「なんでこんなにみんなビジュがいいんだ?」

絶対者はそう言って首を傾げて黒いタオルをネロに渡す。


「ありがたく。」

ネロはそう言ってまるで王から宝剣を受け取るかのように膝を折り、その黒いタオルを受け取る。






「まぁ、とにかく、地上には出ていいよ。俺を楽しませておくれ、クルア。そして、バーバルよ。じゃあね!あははは…」

絶対者はそう言うと笑って忽然と姿を消していった。

最強の蟻 ネロ。彼の活躍はかなり先となりそうです笑笑


「面白い!」「続き読みたい!」「最後まで見たい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!一言でも感想お待ちしております!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ