第132話 白銀の流星
「おい、蟻たちがあの龍に向かっていくぞ!」
森の至る所から蟻が現れ、巨大な龍に向かっていくのをアルドが指差しながらいった。
「蟻と龍は戦っているんだ。今のうちに逃げるぞ!あいつはあの巨大に見合わず凄まじい速さでこちらに向かってくる!ほら!そうこうしている内にもうあんな近くに!」
アイリスが焦ったようにそう言った。
実際に龍は異常な速さでアイリスたちに向かって行った。
アイリスたちは98階層を抜けるべく急いで97階層に向かったが…
「まずい、追いつかれます!!」
アリが後ろに迫った龍に焦ったようにそう言った。
巨大な身体に堅牢な岩のような鱗。山を砕くであろう巨大で鋭い牙と顎。鋭い眼光に筋肉が隆起した脚。
ここにいる全ての冒険者は悟った。
あの龍は絶対に勝てない強者であると。
キィーン!
なにかが高速で近づいてくる音がする。
目前まで迫った龍に誰もが諦めかけたその時、白銀の流星が龍の顔面に直撃した。
「グゥアーー!!!」
アドバースは驚きの声を上げる。
アドバースに一撃を喰らわせるよろけさせた者は冒険者達の前に舞い降りた。
「ここは俺に任せて先に地上へ。もう依頼人からは依頼は達したと、依頼はここまでで達成だ。みんな、あとは帰るだけだ。」
肩まで伸びた綺麗な銀髪に整った顔立ち、透き通るような白い肌の青年が美しい白い鎧と細い長剣を構えてそう言った。
「誰だ!?」「この階層に私達以外の人間!?」
アルドとアイリスが突如として現れた青年に警戒する。
「ジン!」「白銀、お前を待ってたんだぞ!」「ジンさんを置いてなんて行けませんよ!」
リーナ、ルーファ、アリは白銀の素顔を知っているためすぐに白銀だとわかった。
「どうせ、ルーファとアリは真っ先に逃げようとしてたんだろう?調子のいいこと言ってるがわかってるんだからな?」
俺はアドバースを警戒しながら半目でそう言った。
「「そんな事ない。」ですよ。」
ルーファとアリ胸を張ってそう言ったが、周りからの冷ややかな視線が痛い。
「お前…そんな綺麗な見かけしてたのか?中身は俺と同じおっさんだと思ってたぞ?」
アルドが驚いてそう言った。
「なぜ、今までの鎧を脱いだんだ?」
アイリスも首を傾げて聞いた。
「そんなの決まってる。本気なんだ…ジンさんは本気なんですよ。」
明らかにすごい鎧を纏っているジンを見たレオンが興奮気味にそう言った。
「そう言う事だ。出し惜しみできる相手でもないし、というか全力でやってもこれは勝てない。命をかけて時間を稼いでやる。さっさと逃げろ。」
そういうとジンは凄まじい速さでアドバースに襲いかかった。
アドバースの周りに流星が飛ぶ。
それは高速で攻撃を仕掛けているジンだ。
「白銀、本当にいつもすまない。できるだけ早く逃げる。光の精霊よ 我らの姿を偽れ カモフラージュ!!」
ルーファが精霊術を使って冒険者達の姿がくらませた。
さすが、ルーファの精霊術、多彩だ。
もしもルーファがその力を戦争に転用しようと考えれば、どれほどの戦略が立てられるのだろう?
転移の術は即座に必要なところに援軍にかけつけられ、異常な行軍速度を生み出す。
このカモフラージュだってそうだ。これほどの人数を完璧に隠す事ができるのであればそれは戦争に転用すれば神出鬼没の伏兵となる。
まさに万能。
まぁ、ルーファの性格上そんなことは考えないのだろうがな…
さて、アドバース。俺と少し遊んでもらおうか?
アドバースと冒険者ジンの戦いが始まりますっ!!
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