第119話 バーバルとナクアの会話
「ここがナクアの森。もともとブーモルが根城にしていた森ね。」
私はナクアの森を進んでいく。
「ふん、警戒されているわね。」
私を囲むようにおそらくナクアの配下である強力な蜘蛛のモンスターが隠れながら着いてくる。
「ここがブーモルの城だったところね。」
堅牢な城壁には様々な蜘蛛の巣が張り巡らされており、城内に入ると夥しいほどのさまざまな種族の骸骨と閑散とした建物、カサカサと動く蜘蛛たち。
「気持ち悪いな!」
うん、見てるだけで気持ち悪い。私の国も相当だから人のこと言えない私が言うのもあれだけど、地獄だねここは。
龍の国に攻め込んだ人類の大連合の残党もここに相当数迷い込んだみたいね。
まぁ、この森広いから逃げ込んだんでしょうけど、もれなく蜘蛛の腹の中に収まったってわけね。
「何の用?」
この場には場違いの金髪の美女がこちらに歩いてきてそう尋ねられた。
そう、こいつはナクアの側近のナラだ。
「ナクアはいるかい?少し話がしたいんだ。」
「族長に会いにきたのか?良いだろう、こっちだ。」
私はナラに案内されてさらに奥へと進んでいく。
「やぁ、久しぶりだね魔王ナクア。調子はどうだい?」
「…何をしにきたんだ?」
城の広場で巨人を貪る絶世の美女が口元の血を腕で拭いてこちらを向いた。
「うわー、怖いね。お食事中だったか。ちょっと話があってね。食事が終わってからでもいいよ?」
「いや、いい。腹は膨れた。これは、またあとで食べる。」
そう言ってちらりと巨人を見る。
良く見ると巨人はまだピクピクと動いていた。
…巨人の踊り食いか。
「そ、そう。まぁ、早速本題なんだけど、私と手を組んで世界を手に入れないかい?」
「お断りだ。」
「即決か。どうしてだい?私と組めば世界を取れると思うのだけど?」
「もしも組むなら落ち目のお前ではなく、あのカエルと組むさ。まぁ、私は世界を手に入れたいわけじゃない。ここに蜘蛛の楽園を築ければそれでいい。」
「世界征服すれば食べ放題だよ?」
「…いや、お前は信用できない。だれもな。だから、私は誰とも手を組まない。ここの要塞化は済んだ。ここにいれば安全だ。」
食べ放題と言う言葉にすこし反応したようだが、やはり手は組んでくれないか。
「ふーん、そうかい。引きこもりめ!…ちなみに私が落ち目と言ったね?どうしてそう思うんだい?」
「各地に私の一族を放ち、情報を集めている。だから、お前がカエルの調略にハマっていることも、あのトカゲがお前にやられそうなことも知っている。」
「へぇ、じゃあアドバイスちょうだいよ。私はここからどうすればルーに勝てると思う?」
「…無理だろう。私かハシャさんが参戦しなければ勝算は薄い。お前もそう考えて私の元を訪れた。できることは、あのトカゲから手を引き、膠着状態に持ち込むことでお前も生き残ることだな。まぁ、それも時間の問題かもしれないがな。」
「ふふっ、そうか。それにしてもずいぶん戦いについて見識が深いね。まるで長年戦いに明け暮れた王のようだ。」
私は笑みを浮かべる。
「そうだ。私はずっとナワバリ争いに明けくれた。」
「ふむ、ナワバリ争い。個と個ではなく、集団での争い。それも凄まじく知能が高いモンスターに率いられた集団の。それはもう戦争だね。」
「そうだな。」
「ふふっ、つまり強力な軍隊が死の迷宮にはいるってわけね。」
魔王ナクアをもダンジョンから追い出すほどの軍事力をもつ勢力。それもナクアがこれほど頭が切れるのだ、相当軍略的にも高い戦闘を行っていたのだろう。
つまり、相当高い知能を持つモンスターの軍団が死の迷宮にはいる。
知能が高いと言うことは交渉ができる。
みーつけた。
私はさらに笑みを深めたのだった。
蟻の存在にバーバルは気付きましたね。
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