第117話 バーバルの焦り
夜の国による龍の国の侵攻は極めて順調であった。
三大王はその個の力によって戦局を大きく一変させることができる。普通の国が攻めてきているのであれば、竜王ダイヤの強大な力によって軍は薙ぎ払われていたであろう。
しかし、攻めているのもまた三大王である。
竜王ダイヤの力はは始祖の吸血鬼バーバルによって相殺されていた。
余裕の笑みすら見せる始祖の吸血鬼バーバルであったが、ある報告により事態は一変する。
「急報!!魔王アルモルド様が勇者ルーカスに討ち取られたとのことです!!」
慌てた様子で天幕に現れた兵が私にそう報告した。
「…冗談でしょ?」
信じられない…。
あのアルモルドが勇者に討ち取られた?
魔王アルモルドは弱くない。頭も切れる。
アルモルドが人間達に攻められているは知っていた。
だが、こっちもあの竜王ダイヤを相手にしているのだ、余力はない。
アルモルドならば、なんとかすると思っていたし、あの程度の勇者など蹴散らすと思っていた。
どういうことだ?
「なぜだ?なぜアルモルドは討ち取られたの!?アルモルドが勇者に遅れをとるわけがない!」
私は報告してきた兵を問いただした。
「はっ!魔王シャールブ軍がアルモルド様の死霊騎士団の背後を急襲し、戦況が大きく変わったようです!」
「魔王シャールブだと!?あいつの差金か!あのカエル野郎!!」
やられた!あのカエルにこちらの思惑を読まれていた!
完全に足元を掬われた…
アルモルドが討ち取られてしまっては龍の国で殺した龍達をアンデット化し、ルーと戦う戦力にすることができない。
このままではまずい。
私の派閥の弱体化、期待していた新たな戦力の補充、竜王ダイヤとの戦いでの消耗…
対して向こうは軍拡を進め、国力を戻してきている。
一気に私が不利だ。
私が取れる手はいくつかあるだろう。
まず一つ目が、今龍都 ハクアまで我が軍は侵攻し、龍の国を追い詰めた。あともう少し、そう数ヶ月から一年ほど攻め続けたら、竜王ダイヤを殺し龍の国を落とすことができるだろう。
これを落とさず撤退するという選択だ。
そうすることによりルーは容易に私に攻めてこられなくなる。
もう龍の国と手を組むことは無理だろうが、ルーが私の国に攻めてくれば必然的に龍の国はルーを攻めざるを得えない。なぜならば、私が落ちれば次は自分の国が落とされるからだ。
私もルーが龍の国を攻めれるば、ルーの背後を討つ。
そして、ルーも流石に三大王2人を同時には相手できない。
一度膠着状態に戻す選択。
これは長い冷戦の幕開けとなる可能性がある。
二つ目の選択肢はこのまま龍の国を攻め滅ぼし、攻めてくるルーと素直に全面戦争を行う。
これは勝算が薄い。
三つ目、外交を行う。
龍の国攻略を血盟騎士団に任せ、大国と対ルーの同盟を結ぶ。
これの問題点は竜王ダイヤを相手にするにはいくら私の国、最強の騎士団だとしても相手は三大王。血盟騎士団では荷が重いことだ。
そして、応じてくれる国がどれだけあるか。
自慢ではないが私の国は満遍なくいろんな国から拉致をして血を吸っている。一体どれだけの国が私と同盟を結んでくれるか。
人類の大国とはやり合ったばかりである。
バーバルは数秒でここまで考えて結論を出す。
「バラードを呼びなさい。」
ダイヤをここまで追い詰めたんだ。ここで撤退するなんて冗談じゃない。
外交するしかない。
だけど、おそらくこの選択肢を取ることもルーには読まれている。
なら、普通の選択肢ではだめだ。ルーも私が外交と言う手段を使ってくることを読んでいるはず、私と手を組まないように各国に調略の手をすでに回しているだろう。
ルーが一番私と組んで欲しくない相手、調略の手を回すことができない相手。
それは、魔王ナクアと荒野の覇者のハシャ。
あはっ!ダメ元で行くしかないよね?
バーバルがダンジョン勢力と接触していきます。
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