第108話 勇者ルーカス
「勇者ルーカスよ、魔王アルモンドを討伐せよ!」
神聖王国 ハムナ神聖王国 聖王 クリフト王より命令が下った。
前の僕の使命は、一刻も早く人類を脅かす凶悪な魔王ブーモルを討伐することだった。
しかし、魔王ブーモルは突如として死の迷宮から現れた魔王ナクアによって討たれた。
その後は各国の支援や防衛、魔王ブーモルの残党を各国と協力して討伐していたが、今日聖王より正式に新たな僕の使命を言い渡された。
魔王アルモルドは三大王バーバルの派閥だ。つまり、魔王アルモンドと争うと言うことは潜在的に三大王バーバルとも敵対すると言うことになる。
今この世界で最大の武力をもつ大国は、残念ながらやはり3人の大魔王達 三大王と言う者達の国であろう。
次に巨人の国アトラースや獣王国、エルランドといった亜人の大国だ。
ハムナ神聖王国も大国ではあるが、三大王と事を構えられるほどの軍事力は持っていない。
そんな折、荒野の覇者という謎の人物が現れ、龍の国を突如として大軍で攻め、龍の国が滅亡寸前まで攻め落とした。
それを好機と見た亜人の大国達が手を結び三大王の1人である竜王ダイヤに宣戦布告し、三国の大軍を持ってして攻めたのだ。
僕もこれには期待した。もしかしたら、三大王が支配する世界が終わるかもしれないと。聖王もこれに協力し、軍を動かし魔王達に牽制を行った。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。確かに荒野の覇者によって大きなダメージを負ってはいたものの、他の魔王たちが援軍を出したことや、やはり竜王ダイヤは三大王の名に恥じない強さと軍を持っており、亜人の3つの大国の軍は壊滅と言えるほどの叩かれたのであった。
幸いだったのは、魔王達の軍であるため癖が強く竜王ダイヤを持ってしても統率が取れず攻める前にその軍が解散し、竜王ダイヤと龍の国軍だけでしか攻めることができず撤退したことだ。
もしも、すべて順調に竜王ダイヤが進軍できてたとしたら…
考えるだけで恐ろしい。
とにかく、竜王ダイヤも攻めるのを失敗した。
それを予測していたのかと言うスピードで今回の敗走の責任をとらせるために三大王バーバルが龍の国へと進軍を開始した。
普通ならばここで三大王ルー・チャルロイドが待ったをかけるのだが、今回はそうはならなかった。
バーバルが何かしら手を打ったのか。
ルー・チャルロイド自身にになにか変化があったのか、なにかしら思惑があったのか。
どちらにせよ、バーバルはおそらくルーが止めないことをわかっていて進軍を開始したのだと思う。
そして僕たちはこの隙をつく。
魔王アルモンドはバーバルの派閥だ。
バーバルは今、ダイヤと絶賛やり合っている。
他のことに介入する暇はない。
世界の脅威を一つ減らす絶好の好機であるのだ。
僕は夜風に吹かれながら考えにふける。
この時間はいつもあの子の言葉を思い出す。
「そんなだからって、彼らも困っていたのですし、飢えていたのでしょ?誰も…助けてはくれなかったのでしょう?」
アリアというハードル伯爵の娘が言った言葉。
ハードル領に攻め込んできたオークたちを退け、捕虜にしたのち処刑した。
あの時、僕たちはなにも間違っていなかった。
だが、勇者としての僕の心にこの言葉がイカリのように引っかかっている。
「誰も助けてはくれなかったのでしょう?」
僕は自分に問いかける。
弱きを助けるのが勇者なのではないのか?
魔王を倒すことが、人類を守ることだけが勇者の役割なのか?僕がしたいことなのか?
誰も助けてくれなかったオーク達を、助かるために略奪を働こうとしたオーク達を殺すことは正しかったのか?
もしこれが同じ状況でオークではなく人間だったら?処刑するのが人間の兵士、女、子供、老人だったら?
僕は処刑に賛成していたのか?
その答えは僕は出せない。
もしも、答えてしまったら間違っていなかったことが、僕の中で間違ってしまったことになってしまうかも知らないから。
今はただ戦おう。
魔王を倒せば安心して暮らせる平和な未来があると信じて。
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