第107話 大戦後の世界
アトラース軍、エルランド軍、ヴァイハラ軍による進軍は三大王たちの前にあっけなく敗れ去った。
竜王 ダイヤは列国の軍を破ったあと、まずは巨人の国アトラースを目指して進軍を開始した。
しかし、ここで竜王ダイヤに大きな誤算が起きる。
「貴様、我らは魔王シャールブ様の軍であるぞ!」
「我らは帝王アナスタシア様の帝国軍である。貴様らにはいい加減我慢の限界だ!」
魔王たちによる各軍の個性が強すぎたのだ。
すべての魔王たちが各々数万規模以上の軍を援軍として差し向けたことが仇となり、軍の所々で味方であるはずの軍同士で衝突が起き、まともに進軍することができなかったのだ。
「我らはバーバル様の命令でしか動かない。バーバル様からの命令はおろかな亜人の国を滅しろだ。お前の命令に従うことではない。力で我らを従えようというのであれば受けて立とう。」
「バカの命令はきかんよ?当たり前だろう?力でしか語れぬバカに我らが従うと思ったか愚か者め!我らはもう帰らせてもらう!」
総指揮を執る竜王ダイヤも武力による統率を取ろうと心みたものの、同じ三大王のルーの軍やバーバルの軍が大きく反発し戦いにすら発展した。
三大王の最強の軍たちは強力であるがゆえに、各々の主の言うことしか聞かず敵対的であった。
竜王ダイヤはやむなく魔王たちによる軍を解散させ、自分の手勢のみで巨人の国アトラースに進軍する。
ハシャに敗れ本来の力を持っていない龍軍、少ない手勢、ごたごたがあり本来ならば敵に隙を与えず進軍することが一番大切なはずが大幅に遅れた進軍。
敵が守りに徹するには十分な時間を与えてしまっていた。
「くそ!!こんなはずでは!」
竜王 ダイヤはドラゴンブレスで大きな巨人を焼きながら怒りの声を上げる。
「ダイヤ様!!敵増援来ます!これ以上は…」
アドネスが味方の被害を考えて撤退の提案をダイヤにする。
結局、竜王ダイヤの進軍はアトラースの都市を数個落とすのみとなり撤退を余儀なくされた。
この大戦を機に魔王たちの関係も悪化、龍の国に攻めていった列国の戦士たちもほとんど帰ることはできず行方不明になった。あるものは死に、あるものは仕方なく野盗に、あるものは行きついた領土に仕えるなど様々な顛末を辿る。
そして、蜘蛛の森に迷い込む者も…
世界は混迷の時代へと突入した。
「やはり、ダイヤはダメであったか。上手くいってもよかったんじゃがな。」
ルー・チャルロイドは部下から大戦の報告を受けそうつぶやく。
「軍備を整え、さらに軍拡を進めよ。おそらく次はバーバルが動く。これに対し我らは沈黙を貫き、ハシャから受けた傷を癒し更なる戦いに備える。」
ルーは鋭い眼光でそう部下に命令を下した。
「まったく、私の最強の血盟騎士団まで貸してあげたのにこのざまとはね。この責任はちゃんと取ってもらわないと。私自らトカゲの首を取りに行くわよ。進軍開始。」
バーバルは間髪入れずに龍の国へと進軍を開始した。
バーバルは竜王ダイヤが失敗することをわかっていて準備していたのだ。
大戦の結果を聞くやいなや、電光石火の進軍を開始したのだった。
これで龍の国は連戦を余儀なくされ、攻めてきた夜の国に対し劣勢に立たされたのだった。
バーバルの思惑通りにことが運んでいきます。
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