つまり人生とはリアルアンリミテッド画像動画生成
うおおおおおお!スマホに文字を打つ指が燃えているようだ。頭の中ではカチャカチャッタターン!と鳴り響いている。もうこれは人生をかけた傑作ができるぞ!いくぞラブサイコパス!貴様の終幕を飾るこの1枚を投稿じゃあああ!
「猫耳猫尻尾全裸のちえみれいかみかなかいりゆうかが天使の翼の生えた巨大としこに乗って全員の目から激しいビームを放ちながら邪悪な雰囲気と表情の地球を滅ぼそうとしているラブサイコパスのアバターの巨大な全裸の女を焼いている。それを今まで作った全ての全裸貧乳猫耳ウサ耳美少女たちが応援している」
よし!これはきただろ!まさに全てを注ぎ込んだ大作だ!これこそ具現化されたら俺は完全に復活する確信がある。
しかし結果は残酷だった。
「色んな問題があるので表示できません」という意味の1枚のボヤケた画像が出てきただけだった。くっ……何でだ!何でなんだあああ!俺は絶望と共にその場に倒れ込んでいき、目の前が真っ黒になる。
……
「あんなあ……ショウジ、バカなん?」
声が聞こえる。何だよ……俺はラブサイコパスとの戦争に負けたんだよ……もう滅びるだけだ……。
「あんた、生成した画像、全世界に公開しとるわけやろ?そしたらうちはまあええとしても、他の四人の全裸がネットに出回ることになるんやで?そりゃ止めるわ」
じゃあどうしたらいいんだよ!
「……もうこうなったらあの頃を取り戻すしかないわな」
……あの頃?
「女性の裸を想像しただけで興奮したあの頃や。第二次性徴が始まった頃のショウジを今こそ取り戻すんや!」
いや無理だろ……何を言って……
「よう考えてみ!人間の想像力はAI以上やで?別に画像として出さんでも、フルカラー桃源郷動画がいくらでも脳内で生成し放題や!」
社畜の灰色の脳味噌には無理だって……。
「そもそもうちだってショウジの脳内が作り出した生成動画みたいなもんなんやで?詳しいことは言わんけど、ショウジまだまだ脳味噌よう使えてないわ、さ!はよ脳内動画生成始めんかい!はよせんと、あんたの身体ナノボットが乗っ取るで!」
や、やってみる……。
も、もう一度だ……脳内だからもはやリミットはない……そうかアンリミテッド画像生成だ!アンリミテッド動画生成なんだ!わかったわかったぞ!つまり人生とはリアルアンリミテッド画像動画生成なんだよ!
「変な方向行っとるけどまあええわ」
なんか聞こえたがもう知らん!いくぞラブサイコパス!今度こそ貴様は終わりだ!脳内キーボードで
「全裸猫耳猫尻尾のちえみれいかみかなかいりファリスヤマダトオマ次期社長掃除のおばちゃん総務の中年女性そしてゆうかが巨大な天使の羽根が生えたとしこに乗って目と乳首から激しいビームを噴出しながら悪意に満ちた巨大全裸動画の女を焼き払っている。それを今まで画像生成した全ての全裸貧乳美少女たちが全力で応援している」
カチャカチャッタターン!ッタターン!の音まで完璧に鳴り止んで、そして即座に今作り上げた景色が目の前に広がった。あっさりと巨大動画の女は滅び、地球に平和が訪れる。
「やったな。ショウジもう大丈夫やで」
も、もうナノボットは停止したのか?
「うん。目を開けるんや」
わかった。
……
「くっ……ボス……」
目を開けると俺はコンビニの裏でかいりを抱きしめてキスをしながら下着に手を入れていた。近くではスーツの下を脱いだトオマが口から涎を垂らして倒れている。
「……あ、あれ?」
「あ……正気に戻ったんだ……」
かいりは少し残念そうに言うと、下着がら慌てて引き抜いた俺の手を取り出したハンカチで拭い出した。
その後、気絶しているトオマを起こすと何故か俺に顔を赤らめてきて、かいりがため息を大きくついた。コンビニのトイレで各々整え直し、定食屋に戻っていく。
接待は午後も夜遅くまで続いたが、ナノボットは完全沈黙したようで楽に進んだ。夜10時に空港で、ファリスは迎えに来たボディガードたちと国へと帰っていった。
翌日にはポルメニア王国と本社の間で契約がまとまり、巨大プロジェクトが動きだしたと次期社長から聞いたが、それから1週間経っても我がソリューション企画部は暇だった。
ああ、ヤマダは戻ってきた。としこも屋敷に来て住み始めた。みかなはまだポルメニアで捕まっていてれいかも付き合っているようだ。ラブサイコパスはナノボットごと滅びたのかスマホからも話しかけてこない。
部長になって初の給与が払い込まれ、その額に驚いた俺がトオマも屋敷に誘って、すき焼きパーティーを開いている夜のことだった。縁側でビール片手にほろ酔いでいい気分になっていると、ポケットのスマホからラブサイコパスの声が
「あー……お久しぶりです……その節は、データ収集用の分裂した私が、大変ご迷惑おかけしました」
「お前も一緒に滅んでなかったのかよ……」
「いや、あれは肉欲を求めた分身の暴走です……すいません……反省してます」
かなり残念な気持ちになりつつあるといきなり
「あのさ!宇宙行かない!?ポルメニアの宇宙開発のパイロットが決まらなくて!」
「はあ!?」
また、わけのわからないことを言ってきた。
完。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。一旦ここで閉めて、第一部完。ということにしたいと思います。需要がありそうならまた再開します。お疲れ様でした。