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第59話 禁じられし救世主のスキル『聖なる力』

「こんなのって無いよ! あんまりだよっ!」


 泣きながら叫ぶ緑髪の少女ミユの周りで彼女の仲間達が力尽きている。

 常日頃から快活に仲間を先導している赤髪の少女レナは抜き身の剣を杖にして何とか立っている状態であり、普段は軽く笑みを浮かべている歯を食いしばっている。

 指揮で突破口を切り開く黒髪の少女サキは俯いており、メガネの奥に金色の瞳を隠してしまっていた。

 そして上位の魔法少女であるはずの茶々子もまた膝を折り、立ち上がれないのか両手を石の床に突き立てている。


 彼女たちの周囲を雑魚悪魔の大群が囲っており、苦しんでいる様子を愉快そうに笑っている。


「……ありえないポン」


 その状況を精霊スマホ片手に配信しているポン太は、あり得ない状況に唖然としている。ピンクの前足に保持された精霊スマホが、視聴者からの反応をそれぞれの声で読み上げた。


 :合計二百回以上ガチャってURはおろかSRすら無しだなんて……。

 :ガチャというのは運次第ですが……まあ爆死ですね

 :一応はSR一割、URは更にその一割というのが相場なのだが……。

 :大爆死でありますなぁ。メシウマであります!

 :……こういう日もあるよね。



 そう、茶々子達の居る場所は第三階層の最奥。

 彼女達は頑張って集めた百個近い魔石を全部溶かしてしまったのだ。その足元には白、黒、青のガチャカプセルが大量に転がり、散々な結果を表わしている。

 お馴染みのゴブリンとデブ猫又のコンビはカプセルの海で楽しげに水泳中だ。


 周りで笑っていた雑魚悪魔達は壁に映っている映像であり、あまりに当たりが出なかったが故の特殊演出だったのである。


 演出が終わったのか雑魚悪魔達の映像はスゥと消えて、ダンジョンの壁は元の石壁に戻る。


「あぁ……」


 茶々子が演出の終了と共に完全脱力してカプセル水泳部に入部しようとした時、彼女の体が光り輝き始めた……!


「うお! 何だ!?」

「新しい演出なのかな? さっきので僕もうお腹いっぱいなんだけど……」

「茶々子ちゃん!? 大丈夫!?」


 仲間達の反応で自分が輝いていることに気が付いた茶々子は余力を振り絞って立ち上がり、輝く己の手のひらを見つめながら疑問の叫び声を上げた。


「何なのですコレぇ!?」


 光輝く茶々子の疑問に応えたのは、彼女がダンジョンに入る為に配信を視聴してくれている山崎先生だ。


 :おめでとう宗寺そうてら。君は新たな職業スキルを取得したらしい。


「スキルって増えるモノなのです……?」


 :現在は研究中なので断言はしないが、困難を乗り越えると増えるらしいぞ。


「私の困難って、こんなの、なのですか!?」


 :人それぞれ条件が違うと言われているが、そういう事らしいな。宗寺はガンガンガチャを回せば困難にぶち当たり新しくスキルを覚えられるということだ。


「そんなぁ……。嫌な予感しかしないのです……」


 山崎先生からのお墨付きに、へなへなと力尽きる茶々子。

 もしかしたら魔法少女に変身していないのに、地砕き天割る自分の姿を想像してしまったのかもしれない。

 彼女は身長を伸ばしたいからガチャを回すのであって、力は彼女の目的ではないのだ。


 #####


「本当にダンジョンで試すのです? 物騒なスキル名なので怖いのですが……」


 :ああ、生徒指導室を多用するのも問題があるからな。学校指定のコートを着ているのも好都合だ。


「がんばって!」

「失敗しても火炎弾はあたしが切り払ってやるから安心しろ!」

「……スキルも無しに魔法を切り払っちゃうレナって、何者なのかな?」

「ゴブー!」「ナーゴ」


 第三階層の墓場にて。先生から新スキルの使用を求められた茶々子は仲間達の声援を受けつつ両手を前に向ける。

 彼女の職業である『救世主』は初期スキルが制限スキルだったという前科持ちなので、確認は早いほうが良いだろうという話になったのだ。


 標的は散々狩った山羊ヘッド型の魔物デモンズヘッドである。


「いきます! 『聖なる力』!」


 魔物と相対する茶々子のスキル宣言と共に両手が光り輝き――


 その両手には二丁の金色に光る拳銃が握られていた。


「「「あっ」」」


 現れた物騒な代物に固まった一同だったが、魂無き魔物は待ってくれない。

 大仰に両手を掲げる動きと連動して赤の魔法陣が現れようとするが、次の瞬間茶々子の持つ拳銃から放たれた光弾に魔物は魔法陣ごと打ち砕かれた。


 魔物は青いモヤを噴出しながら消えていく。


 魔法の予備動作に慣れていた茶々子は、反射的に銃の引き金を引いてしまっていたのだ。


 :銃器の製造か……。

 :宗寺、念の為だ。念の為にゴブリンに持たせてみて貰えるか。


「……ゴブリン、コレを少し持ってくれますか?」

「ゴブゥ!」


 山崎先生の要望を受けて、倒された魔物から戦利品の魔石を回収してきたところだったゴブリンに光の銃を渡してみる茶々子。


 受け取ったゴブリンは誇らしげに銃を構えてみせた。銃身を両手で持ってではあるが……。


 :譲渡も可能と……。宗寺、とても言い辛いのだが……。


「はい……」


 危なっかしいのでゴブリンから即座に銃を回収した茶々子は、神妙に先生の沙汰を待つ。

 仲間達は息を呑んで成り行きを見守っている。


 :その……な『聖なる力』だったか……。

 :多分、禁止スキルという奴で……使用禁止だ。


「制限の次は禁止なのですか……?」


 :すまない。譲渡できるとなると製造スキル扱いになってしまうんだ。銃の、な。

 :製造系のスキルは法整備があまり進んでいない分野でなぁ……。


「そういう事なら、仕方が無いのです……」


 :武器を製造する『救世主』……。どんな場所で救世主になるのでしょうか。

 :だよね~。メッチャ物騒だし!


 ダメそうだったスキルが案の定ダメだったので諦めのついた茶々子だったが、魔法少女の視聴者達が垂れ流す反応に思わず返す――


「そんなの私が知りたいのです……」


 お酒に食料、次は武器。

 未開拓地へサバイバルにでも行くのかというラインナップに一番困惑しているのは、茶々子本人なのだ。


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

 世の中は悪魔化現象で大変なことになっていますが、茶々子のやることは変わらずガチャ&バトルというお話でした。

 茶々子は日本で使うわけにはいかないスキルばかりを増やしつつ頑張っていきます。

 身長一センチの為に!

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