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第47話 海の魔神が見る夢

 さんさんと降り注ぐ太陽の光を受けてキラキラと輝く海。


 白い砂浜で海を眺めながら、潮風に吹かれて波打った紫の髪を抑えている少女がいる。


 練習のために変身していない茶々子だ。


 変身してしまうと実践の時と状況が異なってしまうのが分かったので、変身していない状態で練習するのが目的。


「当然ですが、状態は完璧なのです」

「多分、毎度新品が具現化されているであります」


 彼女はいつも半目な紫の目を真剣に細め、手にした魔戦銃の状態を確認している。


 隣にはゴーグルを装備した少女姿の悪魔、ベルフェゴールが命中率計測のために立っている。


「レヴィアタン。的の用意を頼むのです」

「たやすい、たやすい御用だ。夢の主よ」


 レヴィアタンと呼ばれた水上に立ち蒼い鎧を身に纏う蒼髪美女は、嬉しそうに頭部の横に生えているヒレをパタパタとさせると、水面に軽くつま先を漬けた。


 すると、海水面が泡立ち、次々と女性や巨大な魚が顔を出した。


 人魚とマーマンだ。


 茶々子にぺこりと頭を下げた彼らは、一定の間隔で泡を水上へ飛ばしたり投げ槍を投げて妨害してみたりする。


 即席の反撃有りな射的場の出来に満足した茶々子は、飛んでくる槍を避けつつ魔戦銃の安全レバーを安全のアから三点バーストの3に変えて水泡を撃ちはじめる。


 バレルが細めに展開し、その間に青白い光が瞬いた。


 三条の青白い光が泡を次々と割っていく。


 三点バーストは単発の射撃を自動で三連射してくれるモードである。


 単発で撃つよりも目標に当てやすいのが、このモードの利点だ。


 射撃の的を提供している彼ら彼女らは、海がプラスチック汚染で住めなくなったのでレヴィアタンを旗頭として地上へ侵攻し、チャコに撃退された海の住民達の魂。


 魂になっていても汚染された環境で暮らすのは辛かったらしい。


 彼らをレヴィアタンは自らの一部として連れてきた。


 この夢の中は現世とは遮断された空間なので、住人である魔法少女の役に立たなければ消えてしまうのだが、レヴィアタンが海という環境を提供することで得た多めの想像力を分配してあげたり、普段は海の家のようなサービスを提供することで凌いでいる。


 実は悪魔や精霊も紛れ込んでいるが、彼らは自分のことを海の住民だと思い込み一緒になって働いている。


「おお。なかなかの命中率でありますな」

「この調子なら、実践に使っても大丈夫そうなのです」


 ゴーグルで命中率を観測していた悪魔の評価に、投げ槍を転がったりして避けながら的を撃っていた茶々子は、服についた砂を払いつつ満足げに銃口を下げた。


「そりゃー! あっ」

「危ない、危ない。やるなら真面目にやるのだ」

「あい」


 茶々子の代わりに見物に来ていた魔法少女達が的当てに参戦し、間違えてレヴィアタンに当てて怒られている。


 のどかな様子にほおを上げた茶々子は周りの様子を見回した。


 海ではどこからか水着を調達したらしい魔法少女が水しぶきを上げ、人魚と競泳している。

 島にはいつの間にかビルがいくつか建ち、太陽の光を受けて輝いている。


 道も整備されたようで、全体的に観光地っぽくなってしまった自分の夢に茶々子は苦笑いした。


「レヴィアタン、色々と環境が変わりましたが、どんな調子です?」

「上々だ。夢の主よ。汚染を不安がる者も居るが、全て想像力の産物。海に流れて来ても想像力に戻るだけだから大丈夫だ」


 力こぶを作って大丈夫なことをアピールするレヴィアタンの様子に、トラウマは心配であるがうなづいた茶々子はベルフェゴールが建てたビルを見に行く。


「勝手に工場を建てようとしてたから、皆で捕まえてぶら下げたよ」

「自分の像を建てようとしてたから、ぶっ壊して本人をぶら下げておいたぞ」

りずにぶら下げられているのです?」

「リンゴ皮むき器の生産から、解放されたかったであります」

「手作りで頑張ってください」


 整備された道を歩きながら、夢の住人である魔法少女達がベルフェゴールのやらかしたことを教えてくれる。本人の言い訳を軽く流した茶々子は彼女たちと別れ、輝くビルを見上げてから入り口らしきガラス張りの場所に近づいていく。


 ガラス張りの場所は近づくとスライドして茶々子を招き入れた。


「いらっしゃい~。よ~こそ」

「屋上に行きたいのです」

「そこのエレベーターから、ど~ぞ」

「……ありがとう」


 中では水槽でピチャピチャと尾びれを揺らす人魚が受付カウンターに鎮座しており、魚面のマーマンが水槽から零れた水を頑張ってふいている。


 あんまりな光景にちょっと固まった茶々子は努めて無視して通り過ぎると、受付の人魚が指差したエレベーターに乗り込んだ。


 #####


 到着した屋上は空中庭園となっており、魔法少女達が思い思いにくつろいでいる。


 ここにもポン太が植えたらしいリンゴの木が鉢植えから生え、謎の生命力で根をはみ出させながら、枝に沢山の実を付けていた。


 茶々子は落下防止柵でしっかりと守られた屋上のすみまで来ると、そこから島全体を見渡す。


 砂浜から見るのとはまた違った海が存在をギラギラと主張する太陽に照らされ、まんべんなく輝いている。


 時々、大きな水柱が立つこともあるが、強者ばかりな彼女の夢ではよくある事だ。誰かが力加減を誤ったのだろう。


 悪魔のカードで飛んでいる時とも違った光景に満足した茶々子は、新入りの悪魔への評価を上方修正した。


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


 これにて第二部の一章完です。


 今回の章では剣士のレナ、盾使いのミユ、指揮官のサキ、オマケのゴブニャンライダーと共に茶々子が魔法少女では無く、救世主という凄そうな職業でダンジョンに初挑戦しました。


 今のところケガを治すお薬箱状態ですが、茶々子が慣れてくれば色々と応用を見せてくれる予定となっております(笑)


 もし良ければ、フォローや星での評価をよろしくお願いします。


 応援コメントも待っています(欲深い)

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