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第46話 ガチャと少しの人情味の為に戦え!【配信回】

 薄暗い三階層の墓場をガス灯以外の光源が照らしている。


 墓場を照らしているモノの正体は、墓石に着弾して炸裂する火炎弾。


 羊の頭部に手足を生やしただけという手抜きモンスター二体が、火炎弾を墓石にひたすら撃ち込んでいる。


 狙いの逸れた火炎弾が地面で炸裂すると火の粉が散り、大きめの墓石を盾にする事で敵の攻勢を凌いでいる者たちの顔が照らし出される。


 墓石の裏で様子をうかがっていたのは……茶々子達だ。


 どうやら二体の敵と同時に遭遇そうぐうし、手を焼いているらしい。


「これじゃあ! キリがないぞ!」

「そうだね! 強行突破してみよう! ゴブリン君! 陽動を頼んでもいいかな?」

「ゴブゥ!」「ニャーオ!」


 それぞれ一人ずつ墓石の裏に身を隠している彼女たちは、火炎弾の断続的な炸裂音に負けないように大きな声で打ち合わせを済ませると、一斉に行動を開始する。


 デブ猫に騎乗しているゴブリンが兜の面貌めんぼうを下ろすと、デブ猫共々姿が消えていく。


 レナが腰に差した二本の剣を引き抜くと、それらの刀身にそれぞれ紫電と火炎が纏わり付いた。


「『攻勢令』!」


 敵の一体が見えなくなったゴブリンの陽動に引っかかったらしく、明後日の方向へ火炎弾を放ち始めるのと同時に、サキが仲間に気をとられているモンスターを指差し指揮スキルの発動を宣言した。


「いっくぜ!」

「先手必勝です!」


 指揮スキルで強化され赤く輝くレナと茶々子が指差されたモンスターへ、勢いよく突撃する。


「ビックリしたよぅ……」

「僕もメモの扱いに気をつけないと、かな」


 炎上した麦わら帽の対処に気をとられてしまった為に出遅れてしまったミユは、とりあえずサキの周りで盾を構えて護衛に入った。


 彼女が二千円の魔石で手に入れた麦わら帽は、墓の上に投げ捨てられて燃え尽きている。


 突撃する茶々子とレナに迎撃の火炎弾が迫る!


「私に任せるのです! 『聖なる血』!」


 しかし、火炎弾は茶々子が出したドリンクサーバーに直撃し、焦げ跡すら残さずに消えた。


 スキルの妙な使い方にポン太の持つ精霊スマホから突っ込みが入る。



 :ドリンクサーバーシールド(笑)

 :実体のあるスキルは便利でありますなぁ。

 :『聖なる血』の重い消費は、そういった所から来ているのかもしれないな。

 :強度は未知数ですが、悪くないですね。


「一気に決めるぜ! 『強斬撃』・ドオォオ!」


 ドリンクサーバーの陰から左右に飛び出した二人が、それぞれ火炎弾を出した直後で隙だらけな頭悪魔のモンスターに斬りかかる。


 レナは炎と雷の双剣で体全体を使ったなぎ払いを繰り出し、茶々子はいつも通りの突きから感電対策に剣を手放してバックステップした。


「……電気が流れていないのです?」

「やっぱりか、試しに刀身を触っても痺れないし、もしかしてとは思っていたんだよな」

「それは格好いい魔剣シリーズポン」

「格好いい魔剣シリーズ?」

「発動した見た目だけが凄い魔法の武器ポン」

「マジかよ~」


 ポン太の語るガチャ産装備の微妙さに頭を抑えるレナの足元で、ズタボロにされた頭悪魔が青いモヤを噴出しながら消えていく。


「レナ、あともう一体残ってますよ」

「ああ、そうだな!」


 茶々子は転がり落ちた剣とドロップの魔石を拾うと、一声かけてからゴブリンに翻弄ほんろうされている悪魔に突撃する。


 気を取り直したレナも、茶々子の後を追いかけた。


 残り一体の頭悪魔は、姿が見えなくなっているゴブニャンライダーに翻弄ほんろうされており、スキだらけだ。


「行きますよ!」

「チェりゃああああっ!」


 スキだらけの悪魔へ突撃する茶々子達は、間違えて姿を消している味方に当てないように声で注意を引きながら大振りの攻撃を仕掛ける。


 茶々子達の連携攻撃を受けた敵は、兜の面貌めんぼうをあげて現れたゴブリンの操る双棍棒の振り下ろしで力尽きた。


 悪魔は青いモヤを吹き出しながら消えていく。


「よし。回復してやります『癒しの手』」

「ゴブゴブ」「ニャカカカ」


 魔石を拾った茶々子がゴブリンを突きつつデブ猫を撫でて回復のオマケに毛並みを楽しんでいると、招かざる客が連打する炸裂音と一緒にやってきた。


 自らを狙う火炎弾をヒョイヒョイ避けながら茶々子達の元へ走ってくるのは、金色の髪をツインテールにした女の子。


 元気に飛び跳ねているようにも見える女の子だが、虚ろな表情をしており普通ではない。


「あの子って走り抜けてる子だよね? ……ねぇ。この状況って割と危なくない?」

「突っ立っていたら……。敵の群れにひかれるかな! 『攻勢令』! 撤退!」

「えぇ!? 待ってよぅ!」


 震える声で尋ねるミユに対し、明後日の方向へ攻勢令を宣言して赤く輝くサキが答えながら逃げ出した。


 赤く輝いた仲間達も一緒に、ガス灯の導きを頼りにして走り出す。


 逃げる茶々子達を女の子が追いかけてくるので、おそらくは確信犯だ。


 薄暗い墓場を流れ弾で炎上させながら駆け抜ける。


「『全速力』…………ひゅ!」


 どうやら速度強化のスキルを使ったらしい女の子は茶々子達を一気に抜き去ろうとしたが、茶々子に白コートの襟首を掴まれ、あまりの勢いに一回転してから急停止した。


 犯人を捕まえた茶々子の手は、いつの間にか赤い手袋に包まれている。


 子猫のようにコートの首根っこを掴まれプラーンとしている女の子は、抵抗することなく寝こけている。


「全速ダッシュちゃん、寝ているのです」

「茶々子ちゃん、えっほ、力持ちだねっ、ほっほ」


 ちょっと苦しそうに寝息を立てている金髪少女をポン太の精霊スマホが映すと、視聴者達から微妙な反応が返ってきた。



:この子がダッシュ犯かぁ……うん?

:あー。コレは……。

:そういうことですね。

:入場者照会をしたところ、我が校の生徒だ。良ければ連れ帰ってやってくれ。


「思わぬ拾いモノをしたものだポン」


 ピンクの前足をぐっと握りしめているポン太が、今回のダンジョンアタックを総評する。


 敵の大群から十分離れたのを振り向いて確認したサキが肩を上下させながらスッと手を上げると、赤い光は収まり早くなっていた一行の動きが元に戻る。


 茶々子達は駆け足でガス灯を巡り入り口の魔方陣に到着すると、モンスターが固まっていて危険な三階層から撤収する。


 次々と魔方陣を輝かせて去って行く仲間達を見送った茶々子は、最後にポン太を見送りながらハイタッチをする。

 そしてクルリと回転するだけという低レア演出のような変身を披露し、魔法少女チャコに変身すると邪魔そうに金髪の少女を担ぎながら腰のカードケースから黒いカードを引き抜いた。


「【バフォメット】ガチャレーヴァテイン【悪魔の技(デモンズスキル)上位氷結術式はげしいふぶき!」


 立て続けの宣言で山羊の耳を生やし、ガントレットを具現化し、【バフォメット】の氷結術式で放出した吹雪によりポン太が投げ捨てていった悪魔を凍りづけにしたチャコ。


「魔戦銃の弾代くらいにはなるのです」


 彼女は再びその場でくるりと回転するだけという、ガチャの低レア演出のような動きで変身を解き茶々子に戻ると、ちょっと少女を引きずりつつ敵の大群が来てしまう前に皆の居る二階層へ撤収する。


 ダッシュ少女に取り憑いていた悪魔は、氷漬けのままスゥと消えていった。

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