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第43話 ガチャと少しの初心味の為に戦え!【配信回】

 代わり映えのしない住宅地型ダンジョンの道をサキがメモ片手に案内する。


 メモには住宅地の道が分岐と共に細かく書き込まれており、これは帰還組からの情報で作成した二階層の地図だ。


 先行者からの恩恵によりぐんぐん進む茶々子たち。そんな彼女たちの行く手を猫又が立ちふさがった。


「ゴブリン、レナ、さっき考えた連携攻撃を仕掛けますよ」

「ゴブ!」

「おうよ!」


 茶々子の号令に応えた一人と一体は、彼女の前後に移動し、背の順で並ぶと猫又へ前進する。


 一定の距離まで近づかれた猫又は立ち上がり飛び掛かるが、初撃を最前列に立つゴブリンの双棍棒にしのがれてしまうと……。


「隙だらけです、よっ!」


 ゴブリンの頭上から伸びた茶々子の剣が攻撃直後で身動きの取れない猫又に突き刺さる!


「こいつで終わりだ! とおおぉう!」


 良いのを貰ってふら付いた猫又は、更に茶々子の後ろから飛び出したレナの大剣で切り刻まれると、青いモヤを噴出しながら消えていく。


 後にはアスファルトの道路に転がる青い石が残された。


「ゴブゴブ」

「良く拾ってきました。回復してやるのです『癒しの手』!」


 石を拾って献上するゴブリンに、茶々子が指先でツンツンと回復スキルを使ってあげている。


 ポン太の持つ精霊スマホから、二人と一体の異色の連携に対する評価の声が聞こえてくる。



:あー、ゴブリンは小さいから、その上から攻撃が出来るのか。

:ゴブリン君が抑えられる相手なら良い作戦だね。

:本当は盾持ちの子にゴブリンのポジションを代わってほしい所だが……。


「今の所、お取込み中みたいポン」


「猫ちゃんが集まってきた所でぐわぁ~!」

「そうそう、一層でゴブリンを抑え込んだ時の事を思い出して欲しいかな」


 山崎先生に言われているミユはというと、サキからモンスターだまり攻略の手順を聞かされつつ練習しており、それどころではない。


 ひたすら盾を突き出しては、地面へ向ける動作を繰り返している。


 #####


 ついにやってきたモンスターだまりの場所は、学校の校庭を模した拓けた空間であり、その校庭は日差に焼かれた砂利の陽炎に歪んでいる。


 そこに集まっているのは総勢七体の猫又達。


 走り抜けた者もこの複雑な構造の二階層には迷ったのか、一階層の時より多くのモンスターが集まっている。


 そんな場所へゆっくりと突き進むのは、両手に棍棒を持ったゴブリンだ。


 死地へとちょっと不安げな顔で進んでいくゴブリンは、何度も振り返ってはサキのGOサインにより前進を指示され、冷や汗を垂らしながら進んでいる。


「おいおい、大丈夫かよ?」

「だいじょうぶっれふよ。ぅぁぁ、ふぁんだ……」

「『癒しの手』です。多少の怪我なら治してあげますから、頑張るのです」

「ありがとう、茶々子ちゃん」


 その後を緊張でカクカクした動きのミユが突出してついて行き、他の全員はその様子に声を掛けつつ進む。


 一定の距離まで近づいたゴブリンに、それまで何の興味を示すそぶりも見せていなかった猫又達が一斉に目を向けると、一斉に立ち上がり飛び掛かってきた。


「ここかな。『攻勢令』!」


 突然の攻撃に一瞬反応の遅れたゴブリンだったが、自らの体が赤く光り力が沸きあがってくるのに気が付くと棍棒を頭上にかかげ、一目散いちもくさんに逃げだした。


 逃げるゴブリンを追う猫又達。


 両者の距離は少しずつ引き離されていく。


 一層分の能力差が『攻勢令』の力でくつがえったのだ。


 すぐに赤く光るミユの元まで下がったゴブリンは、念のためその横に待機して援護の構えを見せる。


「『障壁盾』ぇ! 」


 迫り来る猫又達の迫力にミユはちょっと涙目になりつつ、盾を前に突き出すとスキル名を宣言した。


 ミユをすり抜けてゴブリンを狙おうとした猫又達は、彼女が盾から展開した薄緑色のバリアーに次々と突っ込んで行き、変顔で張り付いた。


「今だ!」

「はい! ぐわぁ~!」


 サキの指示にいい返事をしたミユは、練習の時と同じやられたような掛け声で盾を地面に向ける。

 すると、猫又達は地面に押し付けられて身動きが取れなくなった。


 『障壁盾』は広範囲を防御するスキルだが、前回偶然やったように地面に押し込んでしまえば強力な拘束攻撃となるのだ。


「皆! 今の内に倒して! 時間との勝負かな!」

「おう!」「ゴブ!」「了解です」「あうう」


 ミユ以外の全員がサキの言葉にうなづきき飛び掛かると、障壁に抑え込まれた猫又達は、次々と障壁越しに撃破されて青い石になっていく。


「私もやるよ! 『流星撃』!」


 最後の一匹になってようやく覚悟を決めたミユは、メイスを振りかぶると再びスキル名を宣言した。


 光り輝くメイスが振り下ろされると、叩きつけられた猫又から星が散りそのままぶつかって砕けていく。


 動かなくなった猫又に、今度は迷いなく追撃を振り下ろしたミユの足元には、一枚の白いカードが残された。


 障壁盾の薄緑色のバリアーを消しつつ、それを拾ったミユが内容を読み上げる。


「ええっと、だぶるている?」

「それは……。またモンスターカードかな? もしかして……」


 その様子を見たサキが思考の海に沈んでしまったのを他所に、茶々子とレナが集まり話しかけてきた。ゴブリンも興味深そうにカードを覗き込んている。


「ははーん。またカードだな? よっしミユ、呼び出してみたらどうだ?」

「ゴブリンは次の階層だと厳しそうですからね。荷物持ちでもやってもらいますか」

「ゴブ!? ゴブブゴブ!?」

「あはは、大丈夫かなぁ。さっきみたいに、ふらつかないと、良いんだけど」



:ちょっと待って。緑髪の子だけど、さっきより全然元気じゃない?

:成長したにしては、早すぎますね。新米魔法少女並みの成長率ですか。

:これにはカラクリがあってな。スキルは使う度に想像力を消費する事は話しただろう?


「その先は僕が説明するポン。現世から吸い出した想像力の通り道であるダンジョン内は、奥へ進めば進むほどたくさんの想像力に満たされているポン。使って減った分の想像力は、周辺の想像力が勝手に取り込まれるから補えるポン」


 視聴者である魔法少女達の突っ込みに山崎先生の解説を引き継いだポン太は、ミユが元気いっぱいな理由を語る。


 その話を聞いて安心したミユはダブルテイル・カードをかかげ、その名を叫んだ。


「来て! ダブルテイル!」


 カードが光り輝くと、その場には妙に太ったふてぶてしい表情の猫が香箱座りで鎮座していた。



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