表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/62

第42話 ガチャと少しの初心味の為に学べ!【配信回】

 アスファルトで舗装ほそうされた道のド真ん中にある魔法陣が、突然に強く光り輝く。


 強い光が収まると魔法陣の上に、四人の少女達とオマケの二体が現れた。


 茶々子たちのパーティだ。


 急に変わった光景に彼女たちは驚き、周囲をキョロキョロと見回す。


「あれ? ダンジョンの外に出ちゃったのです?」

「住宅地っぽいよな。魔法陣が壊れたのか?」


 レナと茶々子の言う通り、彼女たちが現れた場所は民家の立ち並ぶ住宅地。


 一点だけ不審ふしんな所があるとすれば、道のど真ん中に魔法陣が堂々と光っている事だが、その違和感を打ち消す程に普通な住宅地だった。


 困惑する彼女たちにポン太のもつ精霊スマホから、その謎機能により山崎先生のアドバイスが聞こえてきた。



:安心しろ。魔法陣が壊れた訳じゃない。

:そこは学校ダンジョンの二階層。見ての通り住宅地に似せられている。

:お~! 本物そっくりだね。人は居ないみたいだけど。

:二階層は市街戦ですか。実戦にも応用の効く良い階層ですね。



 周囲を見回す茶々子たちに、人影が近づいて来る。


:あれれ? いっぱい集まってくるよ?


 その数は一人二人どころではなく、十人近くが集まってきた。全員が白いコートを着ているので、茶々子たちと同じく探索者学校の生徒らしい。


 何事かと身構える茶々子たちに、集団の代表として茶髪の女性が声を掛けてきた。


「あんたたち、一階層から来たの?」

「そうだけど、何か用か?」

「私たち、帰れなくて困っていたの。なんでか、小鬼がめっちゃ居たんやから」

「一階層の大部屋に居たモンスターなら全部倒したぜ」

「マジで!?」


 警戒しつつも堂々としたレナの答えに、震える声で困っていた理由を告白した代表の女性は両手を組んで喜びをかみしめている。


「これだけの人数なら、強行突破も出来たんじゃないかな?」

「ダメやった。まんまと囲まれて不意打ちされちゃった。それにさぁ――」


 サキの思いついた事はすでに実践済みだったらしく、その結果と共に割とピンチだったことを伝えられる。


「最初のダンジョンで疲れちゃっている子もいっぱいいて。戦えるの、実質半分ぐらいやったんよ」


 彼女の言う通り、集まってきた十人近い生徒の多くは怪我こそしていないが疲れた顔をしており、戦えそうな雰囲気ではない。


 #####


「めっちゃ助かったわ。ありがとね」

「こちらこそ、貴重な情報感謝かな」


 続々と茶々子たちに感謝しながら魔法陣を輝かせて帰還する集団を見送ると、代表の女性も最後に魔法陣を輝かせて帰還した。


 彼女達から一階層のモンスターだまり撃破の謝礼として、この二階層のマップや情報を提供してもらったサキは、たくさんあるポケットのうちの一つから手帳を取り出すとホクホク顔で書き込んでいる。


 情報を一緒に聞いていた視聴者の声が、ポン太の精霊スマホから聞こえてきた。



:なるほどね。この階層では猫が敵として出てくると……。

:猫ちゃんですか。猫ちゃん好きな私にはきついですね。

:おじさんとしては、この階層の奥も詰まっているっていうのが気になるね。

:困ったことに、この階層も走り抜けてしまったらしいな。


「お騒がせな奴が居たものポン」


 一階層に続き二階層も走り抜けたらしい謎の存在に、ポン太は呆れたような声を出した。


「ちょっと、私には、厳しいかな……。なんて思ったりして」

「猫と言ってもモンスターとして作られたまがい物。混同するのは良くないかな」

「うぅ……。サキちゃんが手厳しいよぅ……」

「さあ、時間は有限だ。隊列を組もう。ゴブリン、この道を直進してほしいかな」


 引きつった顔をしたミユが猫との戦闘を嫌がるが、サキの説得と指示により渋々ながら隊列を組んで歩き出す。


 ゴブリン、茶々子、サキ、ミユ、レナの順番だ。


「ゴブゴブゥ!」

「お前はやる気満々ですね。そんなに兜が嬉しいのです?」


 先頭の兜をかぶったゴブリンのやる気満々な様子に、半目の茶々子が恨めしそうにその兜を睨む。URであっただけにその期待は大きかったのだ。


 しばらく歩いていると、住宅の塀を伝って猫が飛び出してきた。


 後ろ足で頭をく様子に目をキラキラとさせたミユが、思わず手のひらをワキワキする。情報が無ければでる為に近づいていたかもしれない。


「あぁ~! 完全に猫ちゃんだよ!? どうしよう~」

「とりあえず、ゴブリンに近づかせてみましょう。猫だったら逃げるはずです」

「ゴブリンの実力も見ておきたい所だしな」


 早速の遭遇そうぐうに茶々子は変則的なゴブリン肉壁作戦を提案する。

 結局、一階層では見る機会のなかったゴブリンの実力に、レナも興味津々だ。


 提案された作戦に素直に従ったゴブリンは、その両手に一本ずつ持つ棍棒を打ち鳴らす事で猫を威嚇いかくしながら接近していく。


 威嚇いかくに何の反応もしないふてぶてしい猫は、一定の距離まで近づかれると豹変ひょうへんする。


 上手に後ろ足で立ち上がり、両前足を肉球型金槌かなづちに変化させる事でゴブリンに殴りかかってきた!


 異種の双鈍器同士での撃ち合いが、コツンコツンと繰り広げられる!


 その様子を観察していたレナのつぶやきに、同じく観察していたサキが反応した。


「化け猫って感じだな。狸とか狐と同じで猫も化けるんだったか?」

「尻尾が二本あるし猫又という奴かな」


:近づくと金槌かなづちを振り回してくる猫ちゃんですか。不意打ちが危険ですね。

:この階層のテーマである。油断大敵、だな。



 後ろ足で立ったので尻尾が見えにくくなっていたが、ゴブリン相手に金槌かなづちラッシュをしている猫には、確かに尻尾が二本生えており明らかに普通の猫ではない。


 一層目のモンスターと二層目のモンスターでは格の差でもあるのか段々とゴブリンが押されつつあり、ついに片方の棍棒を弾き飛ばされてしまう。


 肉球型金槌かなづち付きの両前足を振り上げてクロスさせた猫又が勝利の予感に泣き声を上げると、戦いの行方をハラハラと見つめていたミユが悲鳴を上げる。


「ゴブリン君!」


 鋭い爪型スパイクを展開しながら振り下ろされるトドメの一撃に、アスファルトが砕かれて砂煙が上がる!


 砂煙が晴れた後、ゴブリンは何も残さずに消えていた。


「やられちゃったの?」

「……いや、間一髪避けているように見えたな。どういう事だ?」


 ゴブリンが突然消えてしまったので涙目なミユの言葉をレナが否定しながら首を傾けた。



:召喚したモンスターは倒されてもしばらくすれば再召喚できるが。

:持ち物はその場に残されるはずだ。あのゴブリン、まだ倒されていないぞ。

:消える、ね。怪しいのは茶々子殿のあげた兜でありますな。



 両前足を上げて勝利のポーズを決めていた猫又へ、ひとりでに浮かび上がった棍棒が突っ込んでいく。


 毛を逆立てて驚きつつも謎の現象をはじきとばした猫又は、その場で急にボコボコにされると青いモヤを噴出しながら消えていった。後には青い石が残される。


 猫又の居た場所に兜のバイザーを上げるボロボロなゴブリンが現れた。


「ゴブゴブ」

「よくやりましたね。回復してあげます。【いやしの手】!」

「ゴブリンのおかげでじっくり観察できたから、二階層のモンスターだまりを攻略する方法を思いついたかな」


 律儀に青い石を拾い献上した瀕死のゴブリンに、上機嫌なチャコがツンツンと指先でつつく事により回復スキルを使っていると、新たな敵の様子を援護も忘れてずっと観察していたサキが自信ありげに宣言した。


「魔戦銃の出番です?」

「茶々子さんはまだ使い慣れていないし、今回のすばしこい相手には厳しい」


 目をキリッとさせて銃を抱え上げた茶々子を半目であしらったサキは、転がっていた棍棒をゴブリンに手渡していたミユに白羽の矢を立てた。


「攻略の鍵はミユさんのスキルかな」

「えぇ!? 私!?」


 サキからの突然の指名に、ミユはエメラルドの目を見開いて驚いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ