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第26話 異空間で師弟専用ガチャを回せ!

 師弟がガチャをする為に異空間からの退出をペンギン姿の試験官へお願いしようとすれば、愛らしく首を傾けたミニペンギンが提案してくる。


「師弟ガチャをやりたいのならガチャマシンを呼び出すでーす?」

「そんなことを出来るんです?」「試験官は一時的にここの主になってるポン」


 その提案にちょっと興味を持ったチャコが聞き返してみれば、代わりにポン太がその理由を解説してくれた。


 異空間の主は色々できるのだ。


 二人の反応を興味があると受け取った試験官役は、その場に藍色の師弟ガチャマシンを具現化するとクチバシを斜め上に突き上げてどや顔を浮かべている。


「師弟ガチャ一丁入りましたでーす!」

「おお~! ガチャっすね」『色んなところで出てくるナー』


 その様子に目を輝かせていた弟子は「そういえば」と試験官に聞いてみる。


「さっきの悪魔って悪魔ということはわかったすけど、姿形は分からなかったっす」

「試験の特性上負ける子もいるので、その恐怖でどんどん強くなってしまうと困るんでーす。それにせっかく捕まえた悪魔が良い思いをするなんて悔しいからでーす!」

「捕えている悪魔に利益を与えない為だポン」


 マイナスな想像力で強くなってしまう悪魔に対しては、何らかの方法でその姿を判別し辛い様にしているらしい。そうする事によって悪魔へ流れ込んでいくマイナスな想像力をシャットアウトするのだ。


 弟子が試験の裏話を聞いている間に、チャコは手の中にガチャ用のコインを具現化している。その中には紫色のUR確定ガチャコインもあり、弟子の成果に師匠はホクホク顔だ。


「ふふふ、フィオナのおかげで今日も良いガチャが出来そうです」「ご機嫌だポン」

「これも師匠の教えの賜物っす!」『頼むから変な教えは覚えないで欲しいナー』


 師匠の様子を見てフィオナも同じようにコインを具現化した。


 師弟でアイコンタクトした二人は師匠がガチャマシンの前に進み出て、前回はフィオナが先だったのでチャコが先に回すようだ。


 チャコの手でガチャレバーに紫色のUR確定コインがセットされる。


「早速、確定から行きますよ~!」


 紫の半目をキリリととがらせたチャコがレバーを回転させると、藍色のガチャマシンが紫色に変化して紫のカプセルを吐き出した。


 それを拾い上げたチャコは片目を閉じてのぞき込むようにゆっくりと開けていく。


 カプセルは光り輝き消えて、その手には水晶玉が残っていた。


 開いたときのままの姿で固まり、手の上に残った水晶玉をのぞき込む形となったチャコの目が見開かれる。


「中に何か生き物がいます!?」「……幻獣だポン。生き物よりも精霊に近いポン」


 山のような空間が再現されているらしい水晶の中では、銀色の一本角の生えた白い獣が跳ねまわっている。白馬の様な体には全身に紺色のしま模様が浮かんでおり、白目の無い赤い目は光っている様にも見える。


 ガチャで神聖そうな生物が当たってしまったので、困ったような顔をするチャコ。


「生き物を飼うのは難しいと思うので返品って出来ますか?」「無理ポン」

「大当たりでーす!! 大丈夫! 想像力を与えておけば平気ですから!」


 チャコの返品願いはポン太にすげなく断られ、様子を見ていたペンギンがチャコを勇気づける。想像力を与えておけばいいと聞いて安心したチャコは、花柄の手()げを具現化するとその中にそっと幻獣入りの水晶を入れた。


 一緒になって幻獣を見ていたフィオナは両手のひらをほおに当てて、師匠の引きの良さをたたえた。


「流石は師匠っす! 凄そうなやつを当てちゃったっす!」『麒麟きりんって奴だナー』

「首は長くないですがキリンです?」「そのキリンじゃないポン」


 ネロの言葉に首を傾けながら、チャコは残りのコインを素早く投入していく。


「まあいいです。残りも行きます!」「結構知名度の高い奴だと思うポン……」


 知らないものは知らないので一度息を吐くと気を取りなおし、もう一度ガチャレバーを回転させた。


「来ましたか!?」「これは……どうだポン?」

「おおっす!」『まじかナー』


 するとガチャマシンが赤や紫、青に変色を繰り返し始めた。


 連続でのURの予感に紫の目を見開いて両手を握るチャコ。


「やりました!」「これは運がいいポン」

「ほあー」『ほーん。ナーるほどナー』

「おめでとうでーす!」


 色の変化は紫で停止して一気にカプセルがき出された!


 その結果にチャコは飛び上がって喜び、ギャラリーのペンギンとフィオナは拍手で祝福した。……ネロはニタニタしている。


 青色のカプセルが六に赤色が三、そして紫は一だ。紫以外を素早く手()げに放り込んだチャコは、お楽しみの紫カプセルを開帳かいちょうした。


 中には指輪が入っており明らかにチャコの求めているものではない。


 それをまみ上げて様々な角度でながめてみるチャコだったが、どこにも身長+一センチとは記載きさいされてはいないので完全に指輪だ。


 指輪の一面には握りこぶしの彫刻ちょうこくほどこされている。


「私の身長+一センチはどこ……?」

「強化の指輪だポン。発動句の『強化』と唱えると次の攻撃を強化するポン」

「目的のモノが出なかったのでーす? 次こそ頑張ると良いでーす!」


 ひざいたチャコを近くで見ていたギャラリーペンギンが無自覚で追撃する。次こそ頑張るを繰り返し続けた果てに、今の彼女があるのだ。


「弟子よ……往くのです!」「邪魔だからさっさと退くポン」

「師匠! かたきは取るっす!」『かたきを取っちゃダメじゃないかナー?』


 ポン太にピンクの前足で押されたチャコが何とか横に移動すれば、フィオナが声だけのネロにツッコまれながら紫のコインを投入し、レバーを回転させた。


 紫色になったガチャマシンが紫のカプセルを吐き出す。


 それを拾ったフィオナが開けると中にはカットされた黒い宝石付きの指輪が入っていた。チャコの時々使っている加速の指輪だ。


 師匠と同じものが出たので弟子は胸の前で両手を握って喜んでいる。


「おお~! 師匠と同じやつが出たっす!」『おっ! これは使えそうだナー!』

「カードを素早く見ないといけないフィオナには当たりです!」「良い引きポン」


 そんな弟子の横で何とか立ち上がりポン太と共に腕組みをしたチャコは、自分の使用経験を目をつむりながら思い出してフィオナの役に立ちそうだと保証した。


 その言葉に勢いづいたフィオナは、残りのコインも全部投入していく。


 ガチャの度に全部投入しているので慣れたのか、そのコインを投入する動きにはよどみがない。


「行くっす」『乗ってるからナー! いけいけだナー!』


 師匠と同じく一息ついたフィオナは、目をつむって祈るようにガチャレバーを回転させていく。


 ガチャマシンはシュンと藍色に戻ると、三つの赤カプセルと七つの青カプセルをき出した。


「残念っす~……」『仕方が無い事だナー。SRが三つあるだけマシだナー』

「弟子よ。次の機会まで忍耐です」「忍耐……?定期的に爆死してるポン」


 残念ながらURの出なかったフィオナはしょんぼりしてしまった。そんな彼女へ声だけのネロがなぐさめの言葉を贈(おく)る。


 それを横にいるチャコが腕を組んだままの師匠ムーブで諭しているが、隣にいるポン太から突っ込まれているので説得力がない。


 チャコは定期的に貯金を吹っ飛ばして爆死しているのだ。


 目的のモノは出なかったが師弟ガチャによって目新しいモノを手に入れたチャコ。


 彼女の身長+一センチを求める戦いはまだまだ続く!

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