第17話 UR確定コインでガチャを回せ!
依頼斡旋所に青いシスター服の集団が現れた。
上位悪魔の討伐依頼に行っていたチャコ達だ。全員多少の汚れはあるが、ケガ無く無事に帰ってきた。
急な依頼だったのに素早く解決したチャコ達を水精霊の受付嬢が快く出迎える。
「緊急依頼の達成お疲れ様ですワ! 報酬は用意してありますワ」
水精霊が片手を上げると、カウンターの上に小さなケースが七つ具現化した。一つ一つを参戦した魔法少女達へ手渡しすると、腰を折って礼を言ってくる。
「急な依頼を受けていただき助かりましたワ。予想外に強力な悪魔でしたので街の修復費はこちらが全て持ちますワ」
テレビ中継によって人間の悪い想像力を煽り強化されていた象の悪魔は、精霊城の想定を上回る相手だったらしく、攻撃の余波で壊滅してしまった街をタダで直してくれるとの事。
その話に少し硬くなっていた表情を和らげた魔法少女達は、各々がもらったケースを開けて紫色のコインをかざしてみたり、両手をすり合わせて祈ったりしている。
紫色のコインにはURの文字が刻まれていて、とても分かりやすい。
UR確定ガチャコインを眺めているチャコ達六人へ鬼謀さんが振り返って提案してくる。
「せっかくなので一緒に回しませんか?」
「いいね~! UR七連発なんてそうそう見れる物じゃないよ~!」
「やりましょう! イメージトレーニングに良さそうです」
その提案に魔弾さんと意外な事にチャコが食いついた。UR七連発という言葉がチャコの心に響いたのだ。
最近のガチャでは連続したURを見ていなかったチャコは、連続でURの出る光景を目に焼き付けようと考えたらしい。
「悪いが私は帰らせてもらう……こちらはもう夜中なのでな。明日に差し障る」
「お疲れ様でした。気をつけてお帰りくださいね」
「おやすみ〜!」
赤い目をこすって圧壊さんが辞退したので六連発になってしまったが、時差があるので仕方がない。
圧壊さんを除く六人でガチャる事となった。
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広場の中心にある金色の貢献度ガチャ前に、青いシスター服を着た魔法少女が六人も集まっている。
珍しい光景に白や黒のシスター服を着た魔法少女達がどんどん集まり、ちょっとしたイベントみたいな状況になってしまった。
その様子にポン太が現れ、解説役に立候補して具現化したミカン箱の上に立つ。
ネロが暇そうだったので進行役に指名されてポンタの隣に立っている。
「誰から回すのかナー?」
「トップバッターは任せろ! 回すぜ!」
ネロが確認すると真っ先に手を上げたのは灼熱さんだ。
赤い目を見開いて確定コインをセット、気合入魂とレバーを回転させる。ガチャマシンは紫色に変わると、紫カプセルを吐き出した。
両手でカプセルを握った灼熱さんは豪快に開く。
カプセルは開放すると光り輝き、チャコが羽織っている物とはデザインの違う赤いマントが出てきて灼熱さんの手に収まった。
早速羽織って見せる灼熱さん。
ピンクの前足で精霊スマホをつついてUR景品のページをスクロールしたポン太がそれの事を一言で解説した。
「飛行マントだポン。名前の通り空を飛べるポン」
「なかなか良さそうだぜ! 解説ありがとよ!」
灼熱さんはポン太の解説に礼を言ってから、ガチャの前から離れた。良装備にギャラリーの魔法少女達から拍手が聞こえてくる。
「次は誰なんだナー?」
「次は私ね~!」
二人目は長い黒髪を揺らす魔弾さんが、紫のガチャ前に立つ。チョンとコインを挿し込むと両手を使ってレバーを回転させて紫のカプセルと吐き出させた。
ゆっくりとカプセルを開く魔弾さん。
出てきたのは金の葉が青い宝石を包みこんだ指輪でチャコの付けているものと同じだ。魔弾さんはチャコの隣までやってきて、指にはめた指輪を比べている。
連続で出てきた紫カプセルに大変盛り上がっているギャラリーの魔法少女達。
知っている装備なので調べないでポン太が一言解説する。
「精霊の指輪だポン。一日一回だけ致命傷を完全回復して一秒間無敵にするポン」
「解説ありがと! 簒奪さんと同じだね~」
「そうですね。お互い致命傷を受ける機会が無い事を祈りたいです」
魔弾さんが手に入れた装備の効果に、お互いの無事を祈るチャコ。致命傷なんて絶対に痛いので受けないのが一番なのだ。
「次はだれがやるのかナー?」
「……やる」
閃光さんがガチャマシンの前に出てきて、コインをセット。レバーを一思いに回転させる。
出てきた紫のカプセルを目にも止まらぬ早業で開けてみせた閃光さん。
カプセルから出てきたモノを見てしょぼんとしている。
出てきたのは手袋で、閃光さんが付けているものと同じだ!
絶望的な光景にギャラリーの魔法少女からは悲鳴が上がり泣き出す子もいる。
「……かぶった」
「……URの装備はSRの装備より重ねる事による効果の上昇率が高いポン」
チャコが昔URを被らせたことがあるので、その時に得た豆知識を教えてあげることで助け舟を出すポン太。
「……ありがと」
それを聞いた閃光さんはペコリと頭を下げて礼を言うと、ガチャマシンから離れていく。
上位の魔法少女でもURのガチャアイテムは貴重なので、利用法がある事にちょっと安心したみたいだ。
ちょっと冷えてしまった場をネロが温めようと頑張るが、URが被るという残酷な結果にチャコと巨兵さんは紫色の禍々しいガチャマシンから一歩下がってしまう。
「……そうそう被るモノじゃ無いと思うナー?」
「ここは誘った私が行きましょう」
そんな中で踏みとどまっていた鬼謀さんが前に出て名乗り出た。
コインをセットしてガチャレバーを回せば当然のように出てくる紫カプセル。
鬼謀さんはいつも冷静に周囲を観察している碧眼を今回ばかりは祈る様に閉じ、カプセルを開く。
カプセルは光り輝き、彼女の手には傘が握られていた。それは持ち手にコウモリの意匠が施された黒い傘だ。
慎重にそれを持ち色々な角度で眺める鬼謀さん。
精霊スマホをつついていたポン太がその動きを止めると、傘の事を解説する。
「コウモリ傘だポン。開くと周辺を雨にするポン」
「使い道の多そうな道具ですね。解説ありがとう」
特殊な効果に鬼謀さんは何やら色々と考えながら、ガチャマシンから離れていく。
「簒奪さん先に行ってもいいです?」
「どうぞ」
チャコにひと声かけて前に出てきたのは巨兵さんだ。レバーにゆっくりコインをセットすると、一息ついて回転させた。
出てきた紫カプセルを拾い上げて、慎重に開けていく。
中から出てきたのは折りたたまれた布だった。
出てきた微妙なアイテムを広げ、目を点にする巨兵さんへポン太がやけに詳しい解説を入れる。
「ふくろだポン。中にたくさん、部屋並みに入るから活用すると良いポン」
「ホッ……。ただの布じゃなくて安心です」
悪く無さそうな効果のアイテムに気を取りなおした巨兵さんは、ガチャマシンから離れていく。凄そうな効果の道具に魔法少女達から祝福の声が飛んでくる。
最後に進み出て来たのは紫の目を吊り上げたチャコだ。
「残り物には福があります!」
「どうだろうかナー」
やる気十分のチャコはネロの不穏なつぶやきを無視してガチャコインをセットすると、レバーを回転させる。
紫のままなガチャマシンが同じく紫カプセルを吐き出した。
チャコが手慣れた動作でカプセルを開放すると、中から金の腕輪が出てきて手のひらに収まる。半目で緑と赤の宝石で彩られた腕輪を見つめるチャコ。
いくら見つめてもチャコの身長が伸びる様子はない。
「緊急障壁の腕輪だポン。名前の通り急な攻撃を防ぐポン」
「……一応つけておきます」
何とか平常心を保つ事に成功したチャコだったが、腕輪を着けても心への直接攻撃までは防いでくれないみたいで、その表情は晴れない。
その様子に気が付いた魔弾さんは、チャコの肩に手を置き激励した。彼女はガチャ見物が趣味なのでチャコの目的を何となく把握しているのだ。
「簒奪さん、きっと次は出るよ! がんばろうね~!」
「魔弾さん、ありがとうございます……」
チャコにとってはハズレだが、おおむね大当たりが出ていたUR六連は大盛況のうちに終わった。ギャラリーの魔法少女達も解散していく。
暴れる悪魔は恐ろしいが、それに対抗する魔法少女達もこうして着々と強化されている!
連発した紫のカプセルに釣られて、フラフラとガチャマシンに近づいていく魔法少女達もいるので、全体の戦力も強化されたことだろう。
強くなるためにガチャれ!
魔法少女達よ!




