第16話 ガチャと少しの達成感の為に導け!
魔弾さんに引っ張られてきたチャコは依頼斡旋所に連れて来られていた。
先ほど連続で仕事を終わらせたはずのチャコが連れてこられたので、水で出来た女性の水の精霊は口元に手を当てて驚いている。
「簒奪さんも来てくれたよ~! 行こう行こう~!」
「この戦力なら策を弄さずとも力押しで十分ですね。行きましょう」
チャコを連れてきた魔弾さんは楽しそうに足踏みをして、斡旋所にある机で会議をしていた五人の上位魔法少女を急かした。
顔の前で指を組んで口元を隠していた鬼謀さんはチャコの参入に席を立つと、魔弾さんに追従する。
「簒奪さん、昨日ぶり! 今日もよろしく頼むぜ!」
「簒奪さんが居るなら確かに策は不要ですね」
昨日一緒に悪魔の拠点を襲撃に行った灼熱さんと、上位の魔法少女達が一斉に立ち上がった。
全員が共闘済みの魔法少女で世間の狭さを再確認したチャコは、魔弾さんに手を引かれるまま魔法陣へ向かう。ポン太とネロはその両肩にしがみ付いて様子を見ている。
「……状況が悪そうですね。上位悪魔討伐依頼をこの七人で受けます」
「承認ですワ。ご武運を祈りますワ」
精霊スマホを見て状況を確認した鬼謀さんが声を掛けると、急ぎ気味の返事と共にカウンター横にある魔法陣が光り輝いた。
輝く魔法陣へ駆け足の少女達が飛び込んでいく。
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チャコ達が転送されたのはビルの屋上で、今まさに目の前で怪獣の突撃が始まる所だった。狙われている存在にチャコの目が見開かれる。
「あれは貴重な魔法戦闘車両です! 守らないと! 【レヴィアタン】! ガチャレーヴァテイン! 【悪魔の技】! 海神の一撃!」『いつになくやる気ポン!?』
素早く腰のケースからカードを引き抜いたチャコはビルの屋上から飛び出し、一瞬で蒼い鎧姿に変身して鞭を具現化すると巨大な鞭を二足歩行の巨象に叩きつけた!
突然の巨大鞭に驚いた悪魔は、片側四車線の大通りに降り立ったチャコを睨みつける。
「【上位光学術式】」
チャコに集中している悪魔へビルの屋上から閃光が走り側頭部から伸びる巨大な耳を貫通して絶叫を上げさせた。
その余波でビルのガラスが砕け散りチャコへ降り注ぐが、チャコは気にしていない。
ビルの屋上には大砲のような物を担いだ白い髪に黒い目の魔法少女が居て、自分の成果を確認する事も無く他のビルに飛び移っていく。
「閃光さんが居ると的確に援護してくれて安心です」『良い狙撃手だポン』
「痛いナー!? イタタタタ!?」
怯んだ巨大悪魔に無傷のチャコが周囲のビルを削りながら次々に追撃を入れていくと、チャコの隣に銀色に輝く巨大な鎧騎士が具現化した。
その肩には青い髪で金の目をした魔法少女が乗っていて、巨大悪魔を指差して鎧騎士をけしかける。
「ガウェイン! あいつを抑えて!」
ガウェインと呼ばれた鎧騎士はその巨体からは考えられない軽快さで巨大悪魔へ突っ込んでいく!
その突撃に道路はひび割れ砕け散ってガレキがはね飛ばされるが、チャコは気にしない。
巨大悪魔をビルに押し付けて取り押さえるガウェインだが悪魔の反撃でボロボロになっていく。
更にはチャコと閃光さんがガウェインごと巨大な鞭で悪魔を叩いたり光線で貫くので、その金属の体は所々がへこみ穴が空いて反対側が見える。
「ガウェイン! 頑張って下さい! 【修復】!」
肩に乗る魔法少女の激励と魔法に、ガウェインは光り輝くと傷がみるみる塞がって元に戻った。
「巨兵さんの【修復】は何回見ても凄いですね」『あんな巨体が一気に治っていくのは凄すぎるポン』
「もう俺はボロボロだナー……。俺にも【修復】をして欲しいナー……」
チョコの影でボロ雑巾になっているネロが弱音を吐くが、敵は待ってくれない。巨大な悪魔が牙を光り輝かせてチャコにビームを撃ち込んできたのだ!
流石のチャコもネロをかわいそうに思ったのか、ネロの前に立ち片手を前に出してビームを受け止めた。
半目のまま表情一つ変えずに、チャコは受け止めている。
チャコによって引き裂かれたビームは拡散して周辺のビルをズタボロにしていく。割れたガラスが雨のように降り注ぎ、スライスされた外壁は崩れ落ちた。
一連の戦闘によって周辺は廃墟と化していて、少し前の様子とは一変してしまっている。
「無視されるのは気分が悪いぜ? 【龍の蹴撃】!」
チャコに向けてひたすらビームを照射していた巨大な悪魔は、灼熱さんが魔法陣から呼び出した爪の生えた真っ赤な脚によって頭を踏みつけられた。
その攻撃によってビームは空へ逸らされて、雲を切り裂く。
「下がって! ガウェイン!」
巨兵さんの指示により踏みつけで押さえられた悪魔からガウェインが飛び退くと、悪魔を中心にして紫の魔法陣が展開される。
「そこに伏せていなさい! 【巨大盾】!」
ビルの上に立つ鬼謀さんの宣言で、悪魔を覆うように紫の極大盾が展開されて、その動きを封じた!
さらに鬼謀さんの隣に立つ黒髪赤目の少女が、手のひらを向けて宣言する。
「潰れるが良い! 【上位重圧術式】!」
その上へ盾に負けないほどの大きさがある黒い球が現れると、周辺が押しつぶされていく。巻き込まれたビルが次々と倒壊していき道路は悪魔を中心として円形に沈んだ。
チャコは普通に立っているが、ネロは地面に押し付けられて一体化している。
水道管が破断したのか水が吹き出し、不自然な軌道を描いて崩壊した道路に呑み干され続けている。
「圧壊さんの攻撃は派手です」『修理費は考えたくないポン』
「ちゅぶれるナー!!!?」
黒い球が消えたあとに残されたのは、円形の深いクレーターとその中心で震える巨大悪魔だけだ。
鬼謀さんの号令によって、魔弾さんが大技を叩きつける。
「今です! 魔弾さん!」
「やっちゃうよ〜!」
ビルの屋上で無数の黄色い光弾を自分の周りで周遊させていた魔弾さんは、クレーターを指差して宣言した。
「行け! 【魔弾流星群】!」
魔弾の集団は黄色い軌跡を残して巨大な悪魔へ突っ込んでいき、全身を破砕させていく。
破壊された悪魔は原型をなくして転がった。
肉塊になっても動いている悪魔へチャコが鞭の先端を突き刺し、ガチャレバーを回転させていくと肉塊はだんだんと薄れて消えていく。
後には二本足で立つ象の描かれたカードが残された。
チャコがカードを拾い上げて名前を読み上げる。
「ベヒモスとありますね。レアカードゲットです!」『レヴィアタンと対を成す存在だポン』
その横ではガウェインの手のひらに乗って降りてきた巨兵さんが、ネロを直してあげている。
「大丈夫ですか? 【修復】」
「助かるナー」
街はボロボロになったが、救援に来た魔法少女の手により危険な悪魔は倒された。
人間も少しずつ悪魔への対抗策を構築しているが、上位の悪魔にはまだ対応できていない。
人々を守るために戦え!
魔法少女達よ!




