表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/62

第10話 ガチャと少しの満足感の為に導け!

 翌日、いつも通り家族と朝食を食べた後に洗面所で白い牛乳(ひげ)を洗い流した茶々子。

 紫の半目で鏡を見て歯を磨きサッパリして自分の部屋へ帰ってきた茶々子は、彼女の部屋で思い思いに寛いでいたポン太とネロへ質問した。


「ネロの精霊体験って何をするんです?」


 #####


 青空に映える白い精霊城のアーチ形な門に青いシスター服を着て赤いマント羽織った存在が現れた。


 ガチャ魔法少女チャコだ。


 その場に居た、たくさんの白色や黒色なシスター服の魔法少女たちは、遠巻きにする様に青のシスター服を着たチャコへ道を譲る。


 毎度の事に慣れたように片方の手を振り、愛想を振りまきながら通り抜けるチャコ。


 振っていない方の腕には黒猫ぬいぐるみ姿の精霊であるネロが収まっていて、物珍しそうに辺りを見回している。


 ポン太の提案でネロを精霊城まで連れて来たのだ。


 精霊城では、色々なお店やサービスが城下の広場で提供されていて、そこで働いている従業員は全員が精霊。


 ここで働くことも精霊の仕事の一つだ。


「ネロはここで働けるのですか?」

「舐めるナー! ガンガン働いてナー。その功績で偉くなっちゃうからナー!」


 見下ろして聞いてくるチャコの質問に啖呵たんかを切って飛び上がり浮いて、赤い目を三角にとがらせるネロ。


 その様子にやる気を感じたポン太は精霊城の依頼斡旋(あっせん)所へ、ガチャに向かおうとするチャコとやる気十分なネロを案内する。


『やる気があるのは良い事だポン。その為にはまず依頼をこなして信頼を得るポン。右に曲がるんだポン。そっちは貢献度ガチャだポン』

「おっと……つい癖で貢献度ガチャへ行きそうになりました」



 斡旋(あっせん)所での依頼をやっていけば精霊としての経験や信頼を得ることが出来て、オマケに常識も学べるだろうとポン太は考えたのだ。


 いつものガチャ広場から右に少しそれた道の先に、斡旋(あっせん)所の建物はあった。城の壁から半円状に突き出した一階建ての建物で自動ドアが付いていたりして城のデザインと浮いている。

 チャコが依頼斡旋(あっせん)所の自動ドアを通り抜けると中は閑散としていて、受付である水で作られた女性姿な水の精(ウンディーネ)しか居ない。


 精霊スマホでも依頼を受けられるために、ここに来る者は稀なのだ。


 慣れていない二人の為にポン太が直接現れて水の精(ウンディーネ)に確認を取る。


「日本限定で何か新米精霊向けの依頼はあるポン?」

「日本の新米精霊向けな依頼は、街の巡回しか残ってないですワ。基本は巡回半日で貢献度二百点、悪魔か精霊を見付けたら追加で二百点ですワ」

「それで良いポン」


 外国だとチャコが困ってしまうので日本限定な依頼を確認すると、仕事内容と共に街の巡回依頼を回された。巡回依頼は野良の悪魔や精霊が居ないかを探し回る仕事で、見付けて報告すればボーナスがあるらしい。


 信頼の無い新米精霊の仕事はちょっと危ない外回りなのだ。


 いざとなったら精霊城に逃げられる精霊は結構体当たりな仕事をやらされるみたいで、このぬいぐるみ姿で巡回する事を想像したネロは額から冷や汗を流している。


「チャコとネロ、そこの魔法陣に乗れば依頼先に飛ばしてくれるポン。半日も街をぶらついたら依頼完了の簡単な仕事だポン」

「お付き合いしましょう! 一日千貢献点の為に!」

「普通に働いてもマイナスになるナー!?」


 真実に気が付いてしまったネロを無視してチャコが魔法陣へ飛び込んだ。


「いってらっしゃいませですワ」


 水の精(ウンディーネ)が三人を送り出す言葉と共に魔法陣が輝きだした。


 #####


 街の空き地が白色に輝くと青いシスター服を着た存在と、空飛ぶ巨大ハムスターに黒猫のぬいぐるみという怪しい一団が現れた。

 突然現れたチャコ達だが、認識阻害にんしきそがいのお陰で誰にも気づかれていない。

 真実に気が付いても仕事をまじめにやる気なネロは自信ありげに語り始める。


「俺は物探しは得意だナー! 未来を予見できるからナー! これで悪魔や精霊を探したらガッポガッポという寸法すんぽうだナー!」

「……そんな力を持ってるのに何でこんな事になってるポン?」


 ネロの凄すぎる権能にポン太が突っ込みを入れると、ネロは自分の権能の単純な弱点を素直に告白した。


「予見していない事は分からないんだナー……」

「目的のモノが探せるなら十分ですね! サクッと頑張りましょう!」

「そうだナー!」


 チャコの言葉に気を取り直したネロは、赤い目を閉じて眉間みけんにしわを寄せると目を見開いて断言した。


「こんな街の真ん中に現世に入り口のある異空間、ダンジョンを作ってるアホが居るナー! コレはボーナスが出るんじゃないかナー!」

「無知な野良の精霊が神様気取りでやってるポン。早い者勝ちのボーナスポン」

「ダンジョンを潰すのは面倒なんですよね……」


 精霊は戦闘力が低い代わりに、想像力の扱いに長けている。


 プラスの想像力の強い少女に力を貸して魔法少女にするのもその一つだが、精霊城のように異空間を作るのも得意であり、現世に入り口を作ることで周辺の想像力を収集し、それを使って内部に衛兵のようにモンスターを作り要塞化、ダンジョンを作る事も可能だ。


 しかしこの行動は、現状の精霊達の主流から外れた野良の精霊がやる行動であり、よほどうまく立ち回っていなければ発見され次第しだい、魔法少女が派遣されて潰される。


 想像力のリソースは有限なのだ。


 こういったダンジョンを作る精霊は魔法少女以外の人々にも露見ろけんしており、ダンジョンを作成した精霊を撃破すればダンジョンが消える事から、精霊とは別枠なダンジョンマスター扱いされている。


 現在では、ダンジョン内で倒したモンスターが落とす想像力の結晶が、魔石と呼ばれて研究されていて、色々な事に応用出来ることから価値が高騰中。


 想像力のリソースを削ってしまうので悪魔と精霊に狙われ、さらには有用な資源を得る為に人間からも狙われている現世に入り口のある異空間、ダンジョン。


 その入り口である魔法陣前にネロの予見で一番乗りしたチャコは、腰の黒いカードホルダーからカードを引き抜いてかかげる。


「【バフォメット】! 地道に行きますか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ