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人見知りの一人旅、飛行機の席は通路側一択

 私たちは手荷物検査を終えて、搭乗口近くへやってきた。搭乗口近くのベンチで、私たちは到着開始時刻を待っている。

 梢さんは搭乗口近くのコンビニで500ミリリットルのミネラルウォーターを買ったみたい。私と真実さんも、飛行機内で飲むためにそれぞれお茶とコーヒーを買った。

 梢さんは購入するなりそれを半分くらいを飲み干してしまった。梢さんの行動を不思議に思った真実さんが尋ねる。


「梢、今そんなに飲んでしまったら14時間のフライトで足りなくなるよ。もう1本買ってきたら?」

「機内に持ち込むペットボトルは空でもいいねん」


疑問に思い、私も梢さんに尋ねる。

「空でもいいってどういうこと?」


「あのな、飲み物自体は、機内のドリンクサービスでいろいろ提供されるんよ。ただ、紙コップで配られるから後で飲みたいときに、備え付けのテーブルに置くしかなくて、テーブルが折りたためないから不便やねん」


 梢さんは得意な顔で空のペットボトルを持ち上げて見せる。

「そこで、このペットボトルの出番やねん。紙コップでもらった飲み物を、この空のペットボトルに移すんよ。ペットボトルなら蓋が閉められるから後で飲みたいと思ったら蓋を閉めてカバンにしまっておけるやろ。テーブルも折りたためるから席が広々使えるんよ」


 私はなるほどと感心する。

「そっか。確かにすごく便利かも」


 真実さんも納得したと言うように何度もうなずいている。

「梢、よく思いついたな」


 梢さんは、ふふん、と得家に笑いながら続ける。

「これは副業で添乗員の仕事をしている先輩魔女から教えてもらったんよ。1人の海外旅行で長時間飛行機に乗る時、窓際とか真ん中の席になってもうて、すぐに飲み物をもらいに席を立てないときに便利なんよ」


 梢さんは旅行慣れしていてすごいなぁ。私は飛行機に乗るのは初めてだし、1人で海外に行くなんて考えられないよ。


「1人で海外旅行って、もしかして中学2年生の学期いきなりスペインに行った時のことか?」

 

「懐かしいなぁ。あん時も師匠から1年ぶりに連絡があって、スペインに居る言うから、これまで貯めたお年玉とかかき集めてチケット買うたんよ。」


 大学生は1人で海外旅行に行ったりすごいなぁと思っていたら、梢さんが1人で海外旅行に行ったのは、私よりも年下の中学生の時だったみたい。中学生で1人でパッと買いたい旅行に行っちゃうなんて、私にはとてもできないよ。ご両親も心配しなかったのかな?


「誰にも言わずにいきなり行くもんだから、梢の両親も学校も騒ぎだったんだよ」

 その時のことを思い出したのか真実さんはため息をついている。


「わかった。わかった。高校の時は沖縄に行く時、前もってちゃんと真実には伝えたやん」

「明日から沖縄行ってくるわって言うメールを前日に送っただけで威張るな。結局両親にも学校にも言わないもんだから、僕が事情を説明して回ったんだからな」


 どうやら真実さんは長いこと梢さんのフォロー役を担っているみたい。私が見てきた梢さんの姿とも、兄貴から聞く梢さんの話とも、また全然違う話がとっても面白い。私から見た梢さんは、忘れものが多いけど、しっかり者のお姉さんだから。梢さんの新たな一面が垣間見られて、私はますますこの旅行が楽しみになった。

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