35.ゴミ屋敷で新手のグランピング?
大量のごみを今日中にゴミ捨て場に出せるはずも無く、結局、分類して袋に入ったごみに囲まれての夕食となった。夕食はコンビニ弁当。これが久しぶりの日本食かと思うと、少し残念だな。欲を出せば、兄貴の作る肉じゃがとか食べたかった。
「ピクニックみたいで楽しいからええやんか」
「こんな雑然としたピクニックがあってたまるか!」
なにしろ、私と梢さんが座っている場所はゴミの上、コンビニ弁当をおいているのもゴミの上。
「もう二十一時過ぎたし、このまま寝ちゃおうかな」
「あかん、あかん。二十三時まではテスト勉強や。ただし、明日のテストに備えて、二十四時には就寝やで」
「えー!今さら何をやっても遅いって!」
「そもそも、薰の最終目標は大学入試やろ。せやから、明日の定期テストに間に合うかどうかは問題やないやろ。入試には確実に役立つんやから」
「梢さんのくせに、正論過ぎて言い返せない、、」
しぶしぶ梢さんの言い分を聞き入れる。
「というか、私って、大学とか行くのかなあ」
「今更何をいうとるん。うちの高校もそうやったけど、薰の高校で四年制大学に進学せん生徒おらんやろ。まれに一学年に一人くらい、浪人、短大進学、専門学校進む奴がおるかおらんかくらいやろ。先生にどやされるで」
「未来のビジョンが浮かばないんだよ~」
「ほんなら、大学進学せんと、何をするつもりなん?」
「えー、何だろう。ユーチューバーやるとか、ブログを書くとか、プロゲーマーになるとか、、」
「そんなん、どれも大学生やりながらでもできるやろ」
「梢さんのおじいさんの所に住み込みで暮らすとか」
「それは、高校生からできるやろ。というか、このあとすぐにできるやろ」
「ド正論すぎる!うーん。そういうことじゃなくて、なんていうか、大学生の自分が想像できないんだよ」
「なんや知らんけど、青春やな。うちから言えるのは一つや。未来のビジョンなんて見えんままでええから、今日はとにかく勉強しろ」
「モチベーションが保てないんだよ!」
「うちはゲームしながら、もう片方の手で問題集解いとったで。うちの学校では、ゲームはするな、したら終わりだって言われとったから、受験生のときもゲームしてたのは、誰にも言わなかったけどな。邪道でええから、適当に自分のテンションあげればええんとちゃう?」
「じゃあ、とりあえず、今日はアニメのオープニングソングを流して歌いながら勉強しようかな。二十三時まで」
言いながら私は食べ終わったお弁当の空き容器を新たなゴミ袋に入れる。梢さんはどこからか段ボールを持ってきて、それを畳んで平らにし、ゴミ袋の上に置いて、簡易的な机を作ってくれた。もちろん、椅子もゴミ袋。座ってみると、案外、ビーズクッションみたいで座り心地がいい。
勉強に取りかかったはいいものの、眠気と、アニソンの歌詞と、自然に脳内で再生されるあにめの名場面映像のせいで、問題集の文章が何度読んでも頭に入ってこない。でも、アニソンを流していないと、今すぐゴミの中に仰向けになって寝転がって、ペンも問題集も投げ出して、眠ってしまいそうだから、今はこれでいいか。
梢さんも、私の隣で、おなじようにゴミ袋を椅子と机にして、PCでレポートを作成しているみたい。歌詞の嵐のような爆音のアニソンにも、眉一つ動かさずに集中してる。梢さん、なかなかの集中力だなあ。現実逃避的にそんなことを考えながらの、ゴミ屋敷でのテスト勉強となった。




