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34.セーラー服の力は偉大

 「梢さん、この汚部屋の犯人が分かったよ!」


 「よっ!名探偵、薰!犯人は誰だ!?」


 梢さんは、ヒューヒューと、慣らせもしない口笛を吹き、拍手して私に続きを促す。


 「犯人は、このクローゼットだ!」


 「ん?クローゼット?そういや、最近、開けてなかったな。何でやったけ」


 「梢さん、高校以来、このクローゼット一回も開けてないでしょう?中を見て!」


 私は、クローゼットの前に梢さんを連れてくると、がらりと引き戸を開ける。


 「お、めっちゃ綺麗やん。さすが、うち!それにしても、久々に見たな」


 「めっちゃ綺麗、じゃなくて。中身を見てよ」


 「懐かしいわあ。高校の制服とか、教科書やん。そういやしまったままやったな」


 「何でそのままにしてたの?梢さん、思い出の品とか捨てられないタイプだったっけ?」


 「いや、全くそんなことはないで。うち、すぐに物を失くしてまうから、物に執着とかしないし。あ、ゲームは別やで。セーブデータは死守するけどな」


 「なるほど、なるほど。さては、高校を卒業した日から、このクローゼット、一切開けていないということ?」


 「大学行くときの洋服やらバッグやら、入学前に買いそろえたから、この中の物、使わなくなったんや」


 「よし、記念に何個か残して、後は売ったり捨てたり処分しよう。それで、今、使ってる日用品を収納しよう」


 「別に、うちは全部捨ててかまへんけど」


 「さすがにそれはちょっと、、。私の気が引けるかな」


 私と梢さんは、どんどんクローゼットの中の物を部屋に出していく。クローゼットの中は整頓されているので、その作業自体はとても簡単だった。ただ、部屋の中には既に、散らかった日用品が溢れていて、足の踏み場がどんどん無くなっていく。


 そして、ついに空になったクローゼットへ、梢さんの今の日用品を収納していく。ハンガーポールには、今現在の梢さんのワードローブ、プラスチックケースには大学の研究資料、プラスチックケースの上にはPCとタブレット、それから大学用のリュックサックとトートバッグを入れていく。


 梢さんの今の生活用品は、あの頃と同じで、やはりクローゼットに全ておさまる量だった。やっぱり、物に執着しない分、余計な物は買わないんだろうな。


 今の生活用品が収納できて、ある程度、道筋が立ったところで、どっと疲れが出て、私は物の積み重なった山に腰を下ろす。休憩がてら、となりで高校時代の教科書をゴミ袋に詰めていく梢さんに声をかける。


 「梢さん、教科書は全部捨てちゃうとしても、制服はどうする?そういえば、梢さんの制服、セーラー服だったね。私、中学も高校もブレザーだから、セーラー服って憧れあるんだよね。休憩がてら、ちょっと試着してもいい?」


 「ええで!なんなら、あげるわ。捨てようと思っとったし」


 「え、いいの?じゃあ、お言葉に甘えて、もらっちゃおうかな」


 一瞬にして、私の中のオタク魂がメラメラと燃え上がる。セーラー服があれば、あのアニメも、あの漫画のコスプレもできてしまう。


 「よっしゃ、早速着てみ!それでテンション上げて、残りの掃除も頼むわ」


 「そんな馬鹿な、、と言いたいところだけれど、セーラー服にはその力がある!オタクの性としか言いようがないなあ」


 憧れのセーラー服に袖を通すとドキドキが止まらない。伝統的な形のセーラー服に、スカーフはリボンになっていて、リボンの色は上品なえんじ色。このリボンの色と形が上品でたまらなく可愛い。そして、本物の制服ならではの、ドンキのコスプレ衣装にはない上質な布地の質感。

 姿見に写して見とれてしまう。これが憧れのセーラー服!高校生の間に着ることができるなんてなんて幸運なんだろう。くるりと回ってみる。うわ、思っていたより謎に力が湧いてくる。

 

 「力がみなぎってきたよ!残りの片付け頑張ろう」


 「ほんまか、セーラー服って偉大やな」


 

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