表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/26

大抵の知識は漫画から

 機内食を半ば放心状態で食べ終わったときには、さっきドキドキしてしまったせいか目がさえてしまったようで、眠気が飛んでしまった。


 仕方が無いので、ちらりと回りの座席を見渡して、他の乗客が何をしているのか伺ってみる。

 寝ている人が半分、持参した本やパソコンを開いている人がちらほら、そして数人は座席についているモニタで映像作品を視聴しているみたい。

 このモニタ席に座ったときにも気になっていた。どうやら配信サービスみたいに好きな作品を見ることができるようだ。

 

 気になっていたのに前半を見そびれていた今期のアニメを一気にみれるんじゃないかな、すごく楽しみ。配信されてるコンテンツの内容は配信サービスごとに、韓流ドラマが多かったり、アニメが多かったり、ディズニー映画が多かったりと、特色が違うけど、アニメの多い配信サービスだったら良いなあ。


 なんて考えていた私だったけど、いざコンテンツ一覧を見てみると、知っているアニメが一つも無い。映画・ドラマ・アニメとカテゴリごとに分類されて表示されているけれど、そもそも日本のコンテンツ自体が映画数本しか無い。

 

 そっか。エールフランスはフランスの航空会社だから、日本の作品はほとんどなくて、たぶんフランスの作品がほとんどなんだ。たぶんとついてしまうのは、制作している国がどこなのか、音声を聞いても英語なのかフランス語なのか、はたまたそれ以外の言語なのか区別がつかないから。

 しかも、字幕すらも日本語がないものの方が多い。

 日本にいると、アニメもドラマも漫画も映画も小説も本もラジオも、日本語であることなんて当たり前だった。だから、言語の縛りで、見ることができない作品がこんなにあるなんて想像したこともなかった。

 まあ、私にもっと英語力があれば、英語の字幕しかない作品でも楽しめるのかも知れないけれど。


 ただ、たとえば英語の字幕が理解できたとして、作品のストーリーが追える、登場人物がなんて言っているのか趣旨を理解できる、というのと、その作品を楽しめるって同じ事なんだろうか。

 アニメやドラマは、台詞の言い回しの違いによってニュアンスが変わるし、それにって作品の空気感が決るものだと思う。小説だって、登場人物人分たちの掛け合いはもちろんのこと、語り部の口調や地の文の雰囲気だけとっても、洒落てるな、センスいいな、他の作品と一線を画して好きだな、と感じるような作品がある。


 つまり、何が言いたいかというと、実用レベルに理解できる言語があったとして、第1言語以外で作品に触れたとき、本当に楽しめるのかなということ。


 日本の漫画は、空港で見たように、何カ国語にも翻訳されて出版されることも珍しくないみたい。

 例えば、日本の漫画をフランス語に翻訳するとき、翻訳をする人はどんな人なんだろう。日本語が第1言語で、外国語としてフランス語が堪能な人なのかな。それとも、フランス語が第1言語で、外国語として日本語が堪能な人なのかな。はたまた、日本語とフランス語のバイリンガルの人なのか。

 素人考えとしては、原文が日本語だから、原作のニュアンスが理解できるよう、日本語が第1言語の人が翻訳した方がいいんじゃないかなと思う。


 でも、赤毛のアンを思い起こしてみると、海外の作品を日本語に翻訳しているのは日本人かも。実は私、翻訳された小説って言い回しに惹かれなくて、赤毛のアン以外ほとんど読んだことがないんだよね。

 例が少なすぎるけれど、仮にこれを採用すると、翻訳者は、原作の言語を第1言語とする人じゃなく、こから翻訳する言語を第1言語とする人ってことだよね。

 もしかしたら、こういう事情は、誰がその作品を翻訳したい、別の国でも読んで貰いたいと思ったのかによって違うのかも知れない。


 ところで、私はハリーポッターを日本語、しかも映画で日本語吹き替えでしか見たことがない。だから、原作の小説を原文でしか読んだことの無い人とは受け取り方がもしかしたらだいぶ違うのかもしれない。

 身近な例だと、ライトノベルが原作の作品について、コミカライズされた上でアニメ化したとき、ラノベとアニメはどのくらい同一性があるのか、みたいなことなのかも。


 そういえば、何かの小説で登場人物が話していた中で、「バベルの塔」というものを聞いたことがある。

 昔、人間が使っていた言語は一つしかなかった。どこかの王様が神に挑戦しようとして、天まで届く塔を建設しようとした。それを見た神が、人間が同じ言語を使うとろくな事がないと考えて、人類が使う言語をばらばらにした。言語がバラバラになった人類は混乱し塔の建設を止めて、各地方に散らばったというお話だったかな。

 私に言わせると、言語が一つしかなかったらどこの国の作品も自由に見られていいなあ、って思ってしまう。

 言語が一つしかなかったら、国境を越えて自由に交流できるのに、とか言う人もいそうだけど、そもそも人見知りで口下手な私にとって外国の人と交流できないのは言語の違いの問題じゃないから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ