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19日目③ 静か

 それから外が暗くなるまでゲームをして。


 おれと追っかけ君は、食事をしに、ホテル内の料亭に来ていた。


 木の格子戸から中に入ると、着物姿の店員さんが迎えてくれる。

「いらっしゃいませ。おふたりでしょうか?」


「そうです」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 中は土足厳禁だったので、靴を脱ぎ、彼女に続いて歩く。その道中、閉まっている障子戸の向こうから他のお客さんの笑い声などが聞こえてきた。


「どうぞ」

 室内は落ち着いた照明に包まれ、テーブルには和の美しさを感じさせるシンプルな花が飾られていた。


 壁には掛け軸がかけられている。


「では、順にお料理をお持ちしますので、お待ちください」


「すごいですね」


「ああ。すごい良い雰囲気だ」

 店員さんが去った後、追っかけ君と会話する。雰囲気のある店だが、ここの料理もやはりタダだ。


「追っかけ君はここ来たことある?」


「いえ。いつも混んでましたから」


「おれも。ここいつも混んでるよな」

 今回ここに来て、その理由が分かった気がする。

 今も周りは満席。賑やかな声が聞こえてきている。


 と、そこで料理が出てきた。


 鰻のひつまぶしと、ふんわりとした卵の茶碗蒸しだ。


「おお! 美味しそう」


 香ばしい香りが漂い、艶やかに照りを放つ鰻が目に入る。その表面には、タレがしっかり染み込んでいるのが分かった。


「早速いただきましょう!」

「ああ」


 おひつの中を4等分して、早速食べてみる。


 まずはそのまま。

 口の中に入れると、タレの甘さと絶妙に絡み合い、鰻がほどけた。刻み海苔がコクを深め、ふわふわのご飯がまた美味しい。


「美味い」


「今まで食べた中で1番かもです」


 次にネギやわさびなどの薬味と一緒に食べてみると、爽やかな風味が口に広がった。


「これもありだな」 

  追っかけ君など、無言で味わっている。


 そして最後に出汁を注いでお茶漬けに。

 上品な香りが漂う熱々の出汁は、鰻のタレと融合し、風味豊かなスープとなる。


 さらさらと喉を通るご飯と、出汁で柔らかくなった鰻が絶妙に絡み、口の中に深い旨味が広がる。

 まさに心も体も温まった一品だった。


 茶碗蒸しも、出汁の風味がしっかりと効いていて、柔らかな舌触りが心地よく、美味しかった。


「混んでる理由が分かりましたね」


「それな」


 おれと追っかけ君は和やかに食事を楽しんだ。


 

「もうお腹いっぱい」


「ですね」


 食事を終え、料亭を出ると、先程までの賑わいもどこへやら。急に静かだ。


 窓からライトアップされた、ホテルの中庭が見える。昼は植物系のワークショップをやっているのだったか。


 今日の食事は美味しかった。

 鰻のひつまぶしと、茶碗蒸し。


 それに、昼間やったゲームも楽しかった。


 まさか追っかけ君が『HeavenStation』を持っているとは。


 そしてまさか『Angeal Depth』ができるとは。


 ……


 明日は何をしようか。


 ホテルでゆっくり漫画でも読むか、図書館に行って面白そうな本を探すか、家具でも観にいくか……


 映画を見てもいいかもしれない。


 どちらにせよ、明日も明後日も、ホテル生活は続くのだ。


 朝食バイキングに、大浴場。

 ゆっくりするのには、事欠かないだろう。


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