19日目 安息の地を求めて
今日は追っかけ君とゲームする日。
いつものように、50階ロビーで合流する。
そしていつものように階段を上がり、いつもの場所に行ってみると、なんといっぱいだった。
確かにいつもより少し人が多いなあと思っていた。
しかしまさかこの場所がいっぱいになるとは。
「どうします?」
「とりあえず54階見てみるか」
いざ、安息の地を求めて、おれと追っかけ君の冒険が始まった。
54階は53階以上に空いているイメージの場所である。
なぜなら50階ロビーから遠いから。
しかし、その分席数は少ないし、50階ロビーを覗けなくなるので、景色も悪い。
そのためいつもは53階、そこがいっぱいなら52階を使っていた。
しかし今日は階段を上がりながら見たところ、51階も52階も53階もすべていっぱいだった。
よく探せばひと席ぐらいあるかもしれないが、そんな人のたくさんいる場所でゲームをするのも憚られる。
そこで54階に来た。
まあ、さすがに54階は空いているだろう……
「今日は混んでますね」
「な。何かイベントとかあるのかな」
おれの記憶では何もなかった気がするが…
「どうでしょう。何にもなかった気がしますが」
やっぱそうだよな。
54階の休憩室についた。
休憩室には、ソファやテーブル、マッサージチェア、ダーツにビリヤード、卓球台。
そして人。
つまり、ここもいっぱいであった。
正確には、テーブルなしの場所は空いているが、テーブルありの、ゲームがしやすいような場所はいっぱいだった。
「まさか、ここもいっぱいなんて」
「どうします?テーブルなしで我慢します?」
「いや。テーブルなしはきつい。ホテル探検も兼ねて、もう少し探してみようぜ」
「了解です」
とりあえず55階に上がってみる。
ここまで上がってきたのは初めてだ。
「しかし、どうして今日はこんなにいっぱいなんでしょうね」
「な」
全く不思議である。
「お! こことかどうでしょうか?」
追っかけ君が見つけたのは、休憩所の案内。
55階にもやはりあるのだ。
「空いてそう」
行ってみると、少しだけだが席があった。
…しかしそこは、あまりに静かだった。
静かすぎるとやりにくい。
というか迷惑だろう。
他の客は寝ていたり、本を読んでいたりする。
小声で追っかけ君と会話する。
「どうします?」
「うーん…保留で」
次に来たのは40階。
56階とかは静かすぎそうなのでやめた。
40階なら、大浴場もあるし、レストランもあるし、良い感じだろう。
40階の大浴場と反対側には、初めて来たが、なかなか趣がある。
細い木の柱で細かく支えられて、畳の休憩所もあった。
でもどこも漫画を読む場所、ゆっくりリラックスする場所という感じで、ゲームはしにくい。
これなら55階の方が良い。
おれと追っかけ君は、寝転がって漫画を読みながら、小声で話す。
「どうしましょうか?」
「どうしよう。もう55階でいいか?」
「そうですね…ラウンジとか行ってみません?」
「絶対いっぱいだと思うけど、行ってみるか」
「けどもう少しだけ漫画読んでいきましょう。今良いところなんです」
「オッケー。おれも今良いところ」
ラウンジに行くと、そこもやはり人がいっぱい。
そしてその中に金本さんがいた。
「金本さん」
「ああ。加藤君。どうしたんだい?」
「今日は随分人が多いけど、何かありました?」
「?今日はホテルの日だからね。皆泊まりに来たんだよ」
金本さんが不思議そうに言った。
「ホテルの日?」
聞いたことのない日だ。
「知らないのかい? ホテルの日は、ホテルに泊まるんだ。まあ、土用の丑の日にうなぎを食べるようなものかな。」
「なるほど…」
天国では仕事がないので、そういう祝日系はチェックしていなかった。
「ぼくも知りませんでした…天使の日なら知ってるんですけどね」
追っかけ君が言う。
そんな日があるのか……
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