閑話 子供達の天国
最近、社会の授業で習ったのだが、
どうやらおれたちは天国というところに生まれたらしい。
大人たちは昔、生前の世界に住んでいて、そこで死んで、この世界に来たのだとか。
生前の世界は、何を買うにもお金が必要で、学校に行くにもお金が必要だったらしい。
だから、みんな働きたくなくても働かなくてはならなかったのだとか。
すごく大変な世界だと思う。
おれは天国に生まれてよかったと思った。
今日の社会の授業はその続きで、生前の仕事についてだった。
その授業中、お調子者の竹田が言った。
「じゃあ先生は生前で、どんな仕事をしてたんですか〜?」
「先生?先生は生前も学校の先生をやっていたよ。」
「今と変わんないじゃん〜」
ハハハと生徒の中で笑いが起こった。
社会の授業が終われば、今日はもう終わりである。
最後の授業はやっぱり長く感じる。
今日は木山と遊ぶ約束をしているので余計だ。
時計を気にする回数が多いほど、体感時間が長くなるみたいな話を国語の時間に読んだが、それでも気にするのはやめられない。
キーンコーンカーンコーンと、やっとチャイムが鳴った。
後は帰りの会をするだけだ。
机の上にランドセルを出して、教科書を中に入れる。
待ちきれない。
「きりーつ」
そこで、田村がランドセルに手をかけた。
礼が終わると共に、ランドセルを背負って、教室から飛び出すためだ。
「きょうつけ、れーい」
「さようなら!」
さようならを言い終わる頃には田村は走り出していた。
おれも同様だ。
教室を出る頃には、天国がどうとかそういうことは、頭から全く消えていた。




