ブ
離婚が決定的だった。死にたくなった。その成分は主に自己嫌悪。しかし決定的だったのは妻の詭弁だった。
「結婚してるから嫌いになっちゃうんなら、なんの為の結婚?」
僕は容易く解を見つけた。縛り合う為、愛情を義務化する為。僕はそのつもりで「僕」を突っ走ってたのだから。
「付いて来いよなあー!」と叫びながら。
付いて来なかったのは彼女だ。けれど僕は縋った。「ああ、彼女の言う通りにしてたら彼女は満たしてくれるかもしれない。なんで僕は張り切り過ぎちゃったんだろう?」死ぬよりはマシに思えた。しかし彼女は責任論を持ち出す。わたしは誰かの為に生きている。けれどあなたみたいに突っ走れない。思うにあなたが突っ走れるのはセルフィッシュな動機に基づくと思う。わたしはそんなに勝手じゃないんだ。だから心の底ではあなたを支持して、世の中うまく泳ぎたい。あなたを好き、みたいに世間に悟られないよう、わたし自身もそれを殺す。今は必要のないものだから。それでも老いてひとりきり、ちょうど良いのはあなたなんだ。だからそれまでは粗末な扱いを我慢して頂戴。あなたは事業に奔走してわたしを顧みなかったから、五分と五分だよ。嫌だとは言わせない。
「嫌だ」