表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦論  作者: kiruke
2章 争乱の時
44/51

44話 気を付けるべき相手

「もう戻られるのですか?」


 リリアム様が心配げな表情でそう尋ねてきた


「はい、向こうに残して来た彼女達が心配ですので……それに予定より少し長居してしまいましたし」


 俺はあの後さらに3日寝て、起きた後2日かかって準備を済ませ伯爵領に戻ろうとしている

 俺が監察官によって痛めつけられた事が知れ渡るには十分すぎる時間が経っている

 だから早く戻らなければという気持ちと、残して来た彼女達が心配(イスカルは除く)という気持ちが強く、薬で痛みを抑えながらなんとか動こうとしていた


「……もう少し体を癒してからと言うには私はトウヤに頼りすぎていますから止める事はできません。デスターニャ……トウヤをよろしくお願いします」

「承知しました。当分無理をしないようにすぐ近くで見張っておきます」


 デスターニャの目は本気だったので、あまり無理しないようにしないと何をされるかわからないと背筋が冷たくなるトウヤだった


「それとアリーさん……主として家臣が大変お世話になりました。そして1個人としてもお礼を言わせてください。トウヤを助けて頂きありがとうございます」

「私は気に入らない相手の嫌がる顔が見たかっただけなので気にしないでください」

「……そう言って頂ける事感謝致します。それと例の件ですが、ノージ司教を通して王都の教会に定期的に届くように手配しましたのでお戻りになられた時には届いているかと」

「ありがとうございます!!」


 アリーさんが急に大声を出したのでリリアム様は驚いた顔をした

 アリーさんはその顔を見て顔を真っ赤に染めて俯いてしまった……そんなに化粧品を気にいったのか


 少しの間ができたので俺はこれ以上名残惜しくなる前に出発することにした


「それではリリアム様、冬が終わるまであちらから戻ることは無いと思いますのでお体にお気をつけて」

「そちらも気を付けて。何かあったら後の事を考えず戻って来るのですよ」

「……はい、ありがとうございます。リリアスお嬢様にもお体にお気をつけてとお伝え頂けますか?」


 俺がそう言った時リリアム様の表情が一瞬固くなったが、直ぐに何時もの表情に戻って「リリアスにもそう伝えておくわね」との言葉が返って来た


 ……暗殺されかけた上に自分を助ける為に力を使った俺が目の前で捕まったからな

 心に深い傷を負って無かったら良いんだが


 俺は心配だったがそれ以上深く聞くわけにもいかず、馬車に乗り込んだ

 アリーさんも当然のように馬車に乗り込んで俺の前に座った

 デスターニャは御者をするため前に行ったのでここには居ない


 手を振るリリアム様の姿が一瞬見え、馬車のドアが閉まり、馬車は走り始めた


 しばらく馬車が走ると先ほどまでの乗り心地ではなく、少し暴れるような乗り心地に変わった……町の外に出たのだ

 その振動が傷ついた体に響いて顔を少し曇らせたのをアリーさんに見られ、アリーさんが話しかけてきた


「……もう少し自分の命を大事にしたらどうかしら?今回の件死んでいてもおかしくなくってよ」

「心配して頂きありがとうございます。それと改めてお礼を言わせてください……助けて頂きありがとうございます」

「……あの男が気に入らなかったので気にしなくて結構よ。後感謝するならリリアム様とタリア様に感謝しなさい。お2人が気にしていたからどんな人物か興味がわいたんだから」


 タリア様……あっ聖女様か

 リリアム様はまだしも聖女様が気にしている?……そういえば前の時も助けてくれたけどどうして助けてくれるのか聞いて無かったな。今度会うことがあれば聞いてみるか


「ところでよくあの傷で生きていましたし動けましたわね。どうやって尋問を耐えたのか教えられる範囲で教えてくださらないかしら?」

「……実は……………………」


 俺とアリーさんは伯爵領に着くまで色々な事を話した

 野営の時はデスターニャが謎の警戒をしていたり、アリーさんもデスターニャに牽制していたりと2人に何があったのか知らないが、そこまで大きな問題になりそうに無かったので放っておくことにした。……何か口を挟むとまずそうな空気を感じたし


 そして……


「……問題無いな。通って良いぞ」


 俺達は伯爵領に戻ってきた


「……警戒されているかと思いましたが、案外すんなり入れたことに驚きですわ」

「……」コッ コンコン コン  ……   コン コン


 俺はデスターニャの後ろの木の部分を控えめに叩いた

 するとデスターニャからも返事が返って来た


「……よし、これでしゃべっても大丈夫だ」


 俺がそう言うとアリーさんは驚いた顔をして尋ねてきた


「まさか敵が?……ですが不審な気配は……いえ……【水滴索敵(インバーグッダ)】……いつの間に下に?」

「さっき検問で止められた時だな。前も同じ手を使ってきたが、確かに馬車の下に人が張り付いているなんて思わないもんな」

「ええ、疑いもしませんでしたわ。それよりどうしますか?手を滑らせて落としますか?」

「いやこのまま張り付いていて貰っとこう。それより俺が合図したらデスターニャの音魔法を解除するから、話す内容は当たり障りのない日常会話で頼みます」

「かしこまりました。ではまたお話に付きあってくださいませ」


 俺は再度デスターニャの後ろに行き、コンコン コンコン と鳴らした

 今度はデスターニャからの返事は無かったが、これで音魔法が解除されたはずだ


 そしてしばらくの間たわいのない会話を続け……俺達は伯爵領の領都に着いた


「よし、通っていいぞ」


「…………どうやら敵は離れたみたいですわ。流石伯爵領の暗部、あの距離を馬車の下に張り付いていられる人材を持っているとは侮れませんわ」

「アリーさん、少し答えづらい事を聞いても良いですか?」

「……質問次第では首と胴体が別れますわよ」


 そう言うとアリーさんは鎌に手を伸ばした


「いやいやいや、少し各領地の戦力が気になって……教会って才能を測るからどういった才能を持った人間がいるかって教えて貰えないかなーなんて……無理ですよね?」


 アリーさんはとても悩んだ顔をして少し考えた後口を開いた


「申し訳ありませんが私もそこまで導きの儀に関わる事が無いので詳しい事は知りませんわ。ですがこの国で私が絶対戦いたくない相手の事でしたらお話できますわよ」


 アリーさんって教会でも上位の実力……その人が絶対戦いたくないと言う相手の事は聞いておきたいな

 俺はアリーさんに教えてくれるよう頼んだ


「まず身内の事で申し訳ないのですが団長……聖騎士団長のジャン、それと王立近衛騎士団団長レド・モック、商人連合所属の傭兵長クラン・フレス、そして処刑官イスパリ・ドーカル。この人達は1人で万を相手して勝てると言われているそんな存在ですのでそもそも1対1で相手しようなんて自殺行為ですわ」


 ……万を相手にできる奴が敵に何人もいるのか。複数を同時に相手はできないな

 俺は今聞いた名前を忘れないようにと何度か呟いた


「それと勝てなくはないかもしれませんが戦いたくない……面倒くさい相手が伯爵領の総大将バルガスですわ。その防御力はあのクソ団長の攻撃を防ぎきったと聞きました。相手に攻撃手段が無かったので引き分けとなったみたいですが、その堅さが王国1堅いと言われるようになったのはそれがきっかけだそうですわ」


 ……面倒だな。けどネリウスから重装魔法兵団の話を聞いた時から正攻法で戦う気は無かった

 やっぱり今進めている作戦を軸に弱体化させておかないと後々面倒だな

 俺は確実にこの作戦を成功させるために再度プランを見直そうと決めた


「ところで処刑官って初めて聞いたけどどんな人なの?」


 俺は1人だけ毛色の違う人物がいたのでアリーさんに尋ねた


「……この方はあまり情報がありませんわ。ただある領地の領主が王家に反旗を翻した際、2日でその領地に居た兵全てと領主とその一族を処刑した……そしてそれが記録として残っているのですわ」

「それだけ大規模な事をしておきながら名前しか残らない……警戒できないのは厄介だな」


 そんな戦力がいきなり横槍を入れてきたらと考えたが、情報が少なすぎて対策の立てようが無かったので一旦置いておくことにした


 ガラガラガラ キィィィィィ…………


 馬車が止まって動かなくなった。店に着いたみたいだ


 俺は馬車のドアを開けて降りて、目の前の店を見て一言言った


「何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ