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異世界戦論  作者: kiruke
2章 争乱の時
23/49

23話 動き出す影

 はーいこんばんは 俺は今商会近くの路地裏に来ています

 現在の時刻は午前1時45分…待ち合わせの15分前です


 因みに俺がここに着いた時間は0時な

 そこから怪しまれない程度に侵入退出経路の捜索、近隣の活動状況、対象の情報を集めていたってわけ


「トウヤ様2人を連れてきました」

「おっ早いな。後作戦行動中は隊長がいいな、極力素性がバレたくないから」

「承知しました隊長」


 俺はデスターニャが連れてきた2人に向かって話しかけた


「久しぶり…って言う程の仲じゃないだろうけどこれから一緒に働くんだ よろしくっ」


 そこに居たのは元子爵軍の軍師ミルルカと元総大将で懲罰部隊隊長のトメスだった


「隊長殿、よろしくお願い致します!!」

「…隊長殿…よろしく…お願い致します」


 ん?ミルルカがデスターニャの方を見て怯えている?

 大変だったんだろうなー…知らんけど


「デスターニャから大まかに聞いてると思うけど、皆早く集まってくれて時間がもう少しあるからこの部隊でする仕事について簡単に説明するね」


 集合時間まで後5分あるから、俺はこの部隊の主な動き方を説明することにした


「まず最初にこの部隊の名称だけど、表向きは後方支援教育隊…つまり兵站や偵察、伝令、事務や会計等を総合的にできる人材を育てる教育部隊って公表される。けど本当の名称は特務作戦隊…内外問わずこの領地に敵対する者を相手する部隊って事。表に出ている暗部だと思ってくれたらわかりやすいかな」


 俺がそう言うと2人は納得した顔をした後少し怯えた表情をした


「ん?あー暗部って言ったから無茶な任務に送られるかもとか思ったの?大丈夫大丈夫、俺人の命を使い捨てにするような作戦が大っ嫌いでさ…最後まできちんと命を使い切るような作戦を立てるから安心して」


 ガクガクガクガク…ゴクッ…


 ありゃ、余計怖がらせちゃったか


「隊長、いきなり新人いじめですか?隊長としての器が小さいのでは?」

「デスターニャ…一応作戦中は俺君の上司だからね。暴言は少なく頼むよ」

「権限をチラつかせて何をするつもりですか?リリアム様に無い事報告しますよ」

「それはほんとに勘弁してくださいませ!!」


 俺達のやり取りにあっけにとられたのか2人は先ほどまでの恐怖は何処に行ったのかという状態だ


「こほん…さて2人が落ち着いた所で今回の任務について説明するぞ。今回は商会長がこの領地に敵対しようとした証拠を確保したい。ちなみにその証拠がありそうだと目星をつけたのが集まって貰ったここ…商会だ」


 トメスは驚いた顔をしているがミルルカは何か心当たりがある顔をしている


「ミルルカ、何か心当たりがあるのか?」


 俺の言葉にビクッと体を弾ませたがミルルカは答えだした


「心当たり…と言う程のモノではないが、子爵様が軍事力の強化に力を入れだした頃から特定の商人を見る機会が増えた事を思い出した。あの時は物資を売り込みに来ているのだろうとしか思っていなかったが、それにしてはあまりにも頻度が多かったので不思議に思っていたのだ」


 なるほどなるほど…やっぱりな


「後は戦争の時こちら側の総大将がそちらの作戦と人員を知っていた…まあ隊長殿にまんまと騙されたわけだがな」

「話してくれてありがとう。まあ裏切り者が居るなんて考えたくなかったけどね…当たって欲しくなかった予想だよ」


 本当に裏切り者が居るなんて思いたく無かったよ…と言いたいけど戦争の経緯を聞いた時から裏切り者が居るのはわかっていたからね


「じゃあそろそろ時間だし作戦行動と行こうか。作戦に移る前に、無闇に殺さない・必要以外の盗みはしない・顔を見られたら必ず殺す…この3つは必ず守って欲しいんだ」

「隊長…無闇に殺さない、と顔を見られたら必ず殺すが矛盾していないか?」

「矛盾…しているようでしてないんだな。逆に言うと顔を見られる以外は殺すなって事だから」


 俺がそう言うとミルルカは頭に疑問を浮かべつつ無理やり納得したようだ


「他に質問がある人は?…いないみたいだから作戦を開始するよ。事前に下調べはしてあるからついてきて」


 俺はそう言うと商会の建物の右側面に向かった


「さて表向きは教育隊ということなので実践をしつつ教えられる事は教えようと思います。因みに今こうして話し声を出していますが、これは音魔法で音を外に漏れ出ないようにして貰っているからできる事であって音魔法を使えないときは合図を作るなどして極力音を消すようにしましょう」


 デスターニャがドヤ顔をしてこちらを見ているが放っておこう

 後2人とも俺の顔を見てどうした?何かついているのか?


 まあいいや次にいこう


「次に下調べについてですが、俺は今回2時間位で調べましたが本当なら潜入任務なら1ヶ月、今回みたいな侵入任務なら2週間は必要です。下調べが足りない状態で潜入や侵入をすることはうちの部隊ですることは無いから安心してください」

「そんなに下調べするのか!?」

「当たり前です…今回の侵入任務を例に挙げるならまず対象の行動を探るのに1週間。同時に周囲の行動を探るのも忘れないように。これは2~3人で手分けした方が効率が良いです。次に対象の大まかな行動がわかったら作戦を確実なものにするための下準備に1週間はかけます。今回は急だったので主様に頼んで今後の話し合いと称して食事会を開催して頂きましたし、従業員には戦勝祝いとして酒や食べ物を差し入れしました。こうする事で商会長が従業員皆を家に帰したり、商会長自身酔って家に帰ったので今この商会は誰も居ないという状況を作り出すことができました。今後も任務を確実なものにするため下準備は入念に行います」


 俺がそう言うとデスターニャは得意げに、2人はポカンとした表情で固まっていた


「隊長、質問だがどうして説明の時は口調が変わるのだ?」

「…マジで?」

「ああ…その何というか…とても早口で気味が悪いぞ」


 …俺はこの世界に来てようやく理解したぜ

 前の世界で俺が受け持った授業や訓練で皆が何とも言えない表情をしていた理由がな…


 あとそこっ!爆笑しすぎだろっ


「すまんかった、気を付けるわ…とまあ話を元に戻すけど作戦を確実に成功させるための下準備が必要だって事を理解して貰えた上で次だ」


 俺は商会を指さした


 因みに商会の建物を簡潔に書くと

 2階建て 壁は漆喰のようなもの 窓は木枠に木の戸をスライドさせるもの 屋根は木製

 出入りできる場所は正面裏口の2つ 

 窓の配置 1階東と西の壁4南2北0 2階 東と西3南1北1

 

 俺達が居るのは裏路地に面した西側だな


「ミルルカ、君だったらどうやってここに侵入する?」

「私か?私だったらドアをこじ開けるか窓を壊すかだな。後壁を壊すという手もあるが物音で気づかれるだろ」


 まあそうなるよな


「ということで正解を発表します…正解はここです!」


 設置!! 


 俺は石を括り付けたロープを屋根に設置した

 グイグイ引っ張っても落ちてくる気配はない


「ということで答えは屋根からでした。人は同じ目線もしくは目線より下の所の異変には気づきやすいけど自分の目線より高い所の異変は気づきにくいんだよね。さて誰かに気づかれる前に上に登るからついてきて」


 俺はロープをフロスト・ノットで簡易梯子にし、足をかけてさっと登った

 デスターニャやミルルカもすんなり登れたがトメスが苦戦した、後で要訓練だな


 そしてこの板を屋根に設置っと

 これで作業拠点ができたな…それにしても本当に便利なスキルだよな


 俺はお腹に巻き付けておいた板を折りたためるように組み合わせたものを真っ直ぐ屋根に設置して作業場を作った


「デスターニャ、まだ魔力持つ?」

「ふっ、音魔法なら淫魔でしたら一晩中でも大丈夫です」

「それは怖い…笑」


 なら安心して作業できるな…じゃあ

 ゴリゴリゴリ ギコギコギコギコ ゴリゴリゴリ ギコギコギコギコ ギッ 


 よし屋根の一部が外れた

 じゃあここからさっきのロープを垂らして…設置!


「じゃあ中に入ろうか。誰も居ないと思うけど用心は最大限にしててね」


 そう言って俺達は商会の中に侵入した


 ~商会~


「じゃあここから証拠を探すんだけど、まず皆これを履いて」


 そう言って俺は綿が詰まった靴下のようなものを皆に渡した

 地面に触れる足指の部分に皮を張った俺のお手製品だ


「これ中に綿を詰め込んでるから足音を消してくれるし足跡も最小限にしてくれるから建物に侵入する時に使って。けど靴と違って滑りやすいから戦闘には不向きだよ。あっ壊れたら自分で直すか作ってね、そんなに耐久性は無いから」


 よし、じゃあ時間を確認して…


「今から10分間が捜索に使える時間だ、証拠が見つかっても見つからなくても10分で切り上げる」

「証拠が見つかるまで探せばいいではないか?」

「ダメだ、10分以上は侵入した痕跡を多く残してしまう…それにそのための下準備だよ。デスターニャ」

「はい、商会の従業員の話ですと商会長の性格はかなりズボラで机の引き出しにしまい込む癖があるみたいです。後机の上にもよく書類を積んでいると」

「ありがとう。じゃあ行こうか」


 2人はさっきからずっとポカンとしているけどこのやり方に慣れて貰わないとね


 ~商会 会長室~


「さてとお目当てのモノは…っと」


 俺が机の中を漁っていると…


「おい、これじゃないのか?ハンニールの奴の名前が書かれているぞ」


 とミルルカが机の上を指さした


「まさかそんな場所置くわけ…あったわ」

「あっさり見つかったな。じゃあもう帰るのか?」


 俺は少し悩んだがもう少し探す事にした

 まだ引っかかる点があったからだ


 ……………


「時間だ、引き上げよう」

「隊長、その顔だと目当てのモノは見つかったみたいだな」


 ああ、見つかったさ

 それも最低最悪の内容がな


 まあ今は気にしても仕方がない。ひとまず今日の所は帰ることにしよう


 「じゃあトメス、外から合図するから入口をわかりやすいように壊してくれない?」

 「隊長、それだと侵入したことがわかるのでは?」

 「それでいいんだよ、賊が入ったと見せかけて正式な部隊を動かす。そして部隊がこの証拠を見つけたように見せかけるんだ。そうすることで俺達の正体が隠せる」


 2人は凄く納得した顔をして頷いていた


 こうして俺達は元来た場所から出て屋根を設置で固定して何事も無かったように見せかけ外に出た


 コンコンコン コンコン  バキッ ベキバキ ベキベキベキッ


 「さて撤収するよ」


 こうして俺達の初任務は成功に終わった


 あっトメス帰ったら特訓ね

 えっ!って顔してるけど足遅すぎ。それだとすぐに死んじゃうから走り込みしようか


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