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異世界戦論  作者: kiruke
第1章 戦いは何のために
14/32

14話 軍師相まみえる

更新が不定期で申し訳ございません

今後も不定期で投稿すると思います

見てくださっている方ありがとうございます 嬉しいです!

 

 朝これから敵の領地に攻撃を仕掛けようというのにそこに並んでいる兵たちには元気が無かった

 それもそうだ、いつ敵が襲ってくるかわからず眠れぬ夜を過ごしたからだ


「なあ、この戦い勝てるよな」 「しっ聞かれたら首が飛ぶぞ!」 「帰って母ちゃんのご飯が食べたい」


 指揮は最悪だった


 そんな状況を知ってか知らずか、ハンニールが現れた


「皆の者…敵は影からしか戦えぬ臆病者だっっっっ!そんな臆病者どもに腰を引く臆病な者は我が軍にはおらぬよなぁぁぁぁぁぁ!」

        「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」」


  「宜しい。敵はこの先も罠を仕掛けているかもしれぬ…しかし先任の総隊長率いる部隊が勇敢にも最前列を進んで我らの道を切り開いてくれるそうだ!我らは彼らが作った道を通り、敵に恐怖を…畏怖を与えようではないか!!」

        「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」


 「では全軍…侵攻開始ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!先鋭部隊に続けぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

        「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」


 こうして敵を討たんと侵攻が始まった


…………


「始まったな…おいお前ら…覚悟はいいか!?」


          「「「「「おう!いつでもいけるぜ!」」」」」


「じゃあミルルカこいつらに一言頼むわ」

「はあ!?いきなり無茶を言うな!…お前らも期待するな!まったく…あーこれから私たちは死地に赴く。だが昨日トメスから聞いてる作戦の通りだ…私たちはもう戻れぬかもしれん、が最後まで生き抜くためにあがくぞ!私についてこい!!」


         「「「「「この命どこまでもお供します!」」」」」


「たく…ばかばっかりだなほんとに」


 私は泣きそうな顔を見られぬように前を向いた

 絶対にこの作戦を成功させてこいつらを死なせない!

 そして私も生き抜いてやる!


「お前ら…いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!」

「「「「「おうっっっっっっ!」」」」」


 そして私たちは先鋭部隊として進み始めた


「これから峠道に差し掛かる…罠があるかもしれんが俺達は突っ切るぞ!」

「「「「「おうっっっっっっ!」」」」」


 少しずつ…少しずつ速度を上げていく

 最初は列を乱さず歩くような速度で

 少しずつ…少しずつ早足に…

 次第に列は崩れていき駆け足のような速度になる

 このころから私たちの部隊以外は異変を感じ始めていた

 けどもう遅い…私たちは止まらない!


「このまま最後まで駆け抜けろ!止まれば死ぬぞ!」

「「「「「おうっっっっっっ!」」」」」


 この頃には私たちの部隊は全力で走っていた

 慌てて追いかけようとする兵もいたが自分たちが助かることしか考えておらず、距離が空いていたのでもう間に合わない


 このまま…このまま何も起こらないでくれっっっっっ

 私達の思いが通じたのか峠の半ばまで走り抜けたが例の火魔法使いも、罠も何も無かった


 後続は私たちの動きについてこれず、またいきなりの事だったので士気が乱れ、未だに入口付近で動けずにいる

 ここまで誰も欠けず何事もなく進めたのは幸運だった


「…はぁはぁ…なんとか…ここまで…これたな…はぁはぁ」

「ヒュー…ええ…何とか…ヒュー」


「もう…足が…」 「ゼーゼー…お前まだ細いからいいだろ…」 「お前が太りすぎなんだよ…ゲホッゲホッ」


 何とか第一関門突破できたか…

 後はこれをこうして…と


「うまくいってくれよ…」


 私は心からそう願うしかなかった


 ~朝 シールズ峠にて~


「ふあぁぁぁぁぁ…良く寝た」


 昨日嫌がらせをした後俺はシールズ峠の中ほどに身を隠すように陣地を築いていた

 嫌がらせのおかげか敵が夜明けとともに進軍してくることはなく、こちらの準備も十分にととのった


「トウヤ様、お食事とお水をお持ちしました」

「デスターニャありがとう。デスターニャのおかげで危なげなく嫌がらせできたよ」

「いえ…性格の悪いトウヤ様に褒められてもあまりうれしくありませんね」

「……敵の様子は?」

「敵の士気はかなり悪いようですね。それに脱走兵も出たそうです」

「そうか…このままうまくいってくれれば良いんだが」


 俺は歩兵をうまく操って被害を最小にした敵を思い浮かべていた

 あいつが敵だったら今度はどう動くかな…


「トウヤ様っ…昨晩も大層大暴れだったようで、敵が慌てふためいていて爽快でしたわ!」

「モーン、敵の士気は削れたけどまだ油断できない数だよ」

「そうですなかなり削ったとはいえそれでもこちらの3倍は居るでしょうな」

「ここで敵の数を半分ほどに削らぬと最後の決戦がかなりしんどいですな」

「レダスもそう思うか、こちらはあまり犠牲を出したくないのだが削るには多少無理をしないといけないかもしれないな」

「我々一同トウヤ様が一言おっしゃってくださればこの命捧げる所存です!」


 だからその信頼がまぶしいんだって…


 俺が敵がどう動くか考え続けていると斥候から報告が入った

 その内容は先鋭部隊があの懲罰部隊だという内容だった


「………………めんどくさ」


 俺にとって一番嫌な報告だった

 あの懲罰部隊は軽装歩兵で編成されていて機動力に特化している

 つまり俺のこれからしようとしている戦術と一番相性が悪い

 さらに懲罰部隊にはあいつがいる…


「マジか…いや普通に考えてもそうなんだけどさ、もうちょっとこう油断してくれない?」


 しゃあない…いやここであいつをヤれたら儲けものか

 そう前向きに考えることにした


「モーンとレダス…次の作戦だけど…」


 こうして俺は次の作戦を進めることにした



 ~シールズ峠 中腹~



「…なんで味方置き去りにしてんの?」


 こちらトウヤ…敵が進軍を始めたと思ったら先鋭部隊が勢いよく突っ込んできて味方を置き去りにした…俺も何が起こっているかわからない!! どうぞ


 こちらトウヤ…敵軍も何が起こったのか解らず峠の入口付近で立ち往生しているそうだ… どうぞ


「トウヤ様…これはいったいどういうことでしょうか?」

「……俺わかんない」

「「「……」」」


 そんな目でこっち見るなよ…俺も何が起こってるのかさっぱりわからないんだから


「とりあえず奇襲をかけますか?」

「いやあれは罠かもしれん…もう少し様子を見んか?」

「そうですね…あれだけ倒れこむものが出るほどの進軍ですからすぐには動けないと思います…もう少し様子を見ますか」


 そうして様子を見ていると指揮官らしき敵が動き始めた

 そして…部隊の武器を1か所に集め着ていた鎧を外し始めた

 さらに指揮官は服を脱ぎ始めた


「モーンあれは?」

「あれは降伏ですね…しかしなぜ?」


 この世界の降伏は武装を解いて服を脱ぐのか…

 いや全裸になるのかよ!

 全員が服を脱ぐのかと思ったがどうやら服を脱ぐのは指揮官だけのようだ


「トウヤ様…いかがいたしましょうか?」


 俺は悩んだ。これが罠かもしれないからだ

 もし罠だったら…俺の判断が間違っていたら…


 そう思っていた時に敵が騒がしくなった

 なんと指揮官の横に居た女性も服を脱ぎ始めたのだ

 そしてその女性は指揮官同様全裸になってしまった

 その女性の体は傷が多かったがその胸の大きさは…


「トウヤ様」

「はいっ!何も見ておりません!」


 デスターニャさんからの凍えるような視線につい目を逸らしてしまった


「レダス、モーン敵があそこまでしてるんだ一度会ってみよう」

「「はっ…もし何かありましても我々の命にかけてお守りします!」」


 こうして俺はあいつかもしれない相手と会うことにした。


 ………………



「で、用件はいかに?」


 レダスが敵の指揮官に話しかけてくれた


「貴殿が指揮官殿か、私はトメスこの部隊の長をしている。我々の部隊は降伏したい…武装の解除は済ませている。どうか受け入れてもらえぬだろうか?」

「貴殿らの領主が何をしたか知ったうえで降伏を申し出ると?」


 レダスがそう帰すとトメスは言葉に詰まった


「横から失礼する…私は元々軍の参謀だったミルルカと申す。ここに居る者達は領主に苦言を呈しこうして懲罰部隊として編制されたものだ…我らの領主の非道は我々も苦く思っている」


 こいつがあの時の…女だったのか というか…ゲフンゲフン


「ほう参謀殿と…ではこれも何かの罠ではないか?信用できんな」

「それはっ…違うと言いたいが信用されないのは分かっている。だから提案だ私の首を本陣に送って欲しい。そうすれば作戦が失敗したと思い総大将は手を引くだろう。どうかこの首一つでここに居る皆の命を助けて欲しい」

「ミルルカ!!おまえ何言って」「これしか…これしか皆が生きられる方法を思いつかなかったのだ 許せ」


 …本当にこの世界の奴らは自分の命を軽く見すぎだ

 こんなのを何回も見せられたら俺の居た世界が汚れきってみえちまう

 ああ、あいつら元気にしてるかな?


「わかった」

「トウヤ様!?」

「!?」 「えっ!?」


 トメスとミルルカはレダスが俺を様づけしたことに驚いたみたいだ


「ああ、命を助けてやるって言ってるんだよ…それと年頃の女がいつまでも裸でいるんじゃない。服を着ろ…」

「……ッ」


 おい、俺気づかっただけなのに何で皆からそんな冷たい目で見られてるんだ?

 後女…そんなに震えて恥ずかしがるな、俺が悪人に見えるだろ


「レダス、こいつらを本隊まで連れて行ってやってくれ。ここに居る兵の半分を連れて行っていいぞ」

「トウヤ様それでは敵を消耗させるのが大変になります!私1人でも十分です」

「いや、万が一を考えてだ。それにこいつが敵に居ないなら何とかできる」


 俺がそう言うと女がとんでもないことを言い出した


「こいつがあの作戦を考えた悪魔?」

「誰が悪魔じゃごらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ひぃっ」


 だから皆何で俺の事そんな目で見るんだよ…


 俺は冷たい視線に耐えながらこの戦争に勝機を見いだせたことで少し心が落ち着いた


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