表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逢魔が娘  作者: 冬泉
9/38

逢魔が娘-08◆「気になる時は、尋ねましょう」

■ペーレンランド/都/酒場


「嬢ちゃん、誰かを捜してるんかい?」

「え?」


 物珍しそうに酒場の中を見回していると受け取られたのか、カウンターの後ろからガタイの良い男が声を掛けてきた。どうやら、この酒場のマスターのようだ。


「そうじゃないけれど・・・」

「じゃ、何か飲むかい?」

「そうね。じゃ、ここの名物、“峰の炎”を一杯くださいな」

「あいよ!」


 蒼いグラスに透明な滴を注ぐと、滑らかなカウンターを滑って来る。


「ありがとう」


 グラスを手に取ると、娘はそっと口を付ける。


「キツイかい?」

「いいえ、大丈夫」

「へぇ。お嬢ちゃん、行ける口なのかい?」

「量は飲めないけど、嫌いじゃないわ」

「剛毅だねぇ」


 マスターが言うのも無理はない。この“峰の炎”は、ペレンランド特産の強い酒精だ。グラス三杯で大男でもぶっ倒れると言われている。それを、いとも涼しげな表情で、華奢な娘が事無げにグラスを空けているのだ。


「お嬢ちゃん、どっから来たんだい?」

傑門ケットです」

漠羅爾バクラニ新王朝か。麗都グレイスは、素晴らしい都だって言うじゃないか?」

「そうですね。晃樂こうらく上帝の御代になってから、大分かわりましたから」

「へぇ、そうなんだ」

「先の大戦で損傷した市街も再建されて、今は東西の貿易で賑わってますよ」

「上帝様々だな、そりゃ。それにしても、確か上帝様は冒険者上がりだったんじゃないか?」


 実力があれば成り上がれた時代だったからなぁ、としみじみ言う酒場のマスターに、娘はクスリと笑った。


「羨ましい、とか?」

「へっ、莫迦言っちゃいけねぇよ。オレはこの酒場で満足しているし、それなりに面白いんだぜ、ここはよ」

「どんな点が面白いんですか?」

「そうだな。何より色々な情報が入ってくるしな。その為に、思わぬ事を知る事が出来る」

「例えば?」

「あっちの山に龍がいるとか、街中の豪商の子供が拐かされたとか・・・」

「・・・この都に巣くう怪異についてとかですか。」

「そうそう、怪異だぜ・・・って!!!」


 酒場のマスターは慌てて口を噤んだ。


「怪異ですよ。この都に巣くっている」

「し・・・」

「し?」

「しらねぇ! オレはそんな事聞いた事もねぇ!」

「怪異の、ことを、知っている。そうですよね。」


 一言毎に区切る様に、娘ははっきりと発音した。その言葉には、力が籠もっていた。目に見えて、マスターの様相がおかしくなった。




 更新に少し間が開きますので、一話追加で更新しておきます。短いですが、お楽しみ下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ