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逢魔が娘  作者: 冬泉
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逢魔が娘-06◆「悪は滅びる、と言いました」

■何処とも知れぬ山中/峠道


『なんじゃとぉぉっ!!!』


 娘の手に現れたその優美な剣を見て、貴婦人が変化した女蛇は絶叫する。


「遅い。」


 高々と空に舞う鞘。そして、輝く切っ先を下に、娘は流星の様に突っ込んだ。


『ギュャァァァァァァァァァァッ!!!』


 スタっ、と地面に降り立った娘が掲げた剣に、天空から舞い降りてきた鞘が被さった。


「逢魔、覆滅。」


 凛とした口調で言い切ると、娘はゆっくりと立ち上がった。先程の乱戦の跡形も無かった様に、森の広場は静まりかえっている。


「次世に生まれる時は、平和に、心安らかに生きて下さい。天の聖なる三者に掛けて。」


 聖字を切ると、娘は丁寧に一礼して、広場を去った。


               ☆  ☆  ☆


 何故に、魔は蔓延はびこるのか。何故に、他と相容れないのか──詮無きことと知っていても、娘は幾度も自問する。光と闇、秩序と混沌、平安と混乱──二極化は激しくなる一方だった。


 彼の闇を束ねる暗黒神は、先代の勇者達によって、コモン歴500年代後半に封印されている。魔も魔物も大半の力を削がれ、単発的な事件はあっても、大きな出来事は起きていない。だが、それがここ三、四年で大きく様変わりしてきた。


 魔は胎動し、魔物は再び人里の辺境を脅かす様になった。北の魔国は力を取り戻し、中原諸国の大きな脅威となるに至っている。


“何かが狂ってきている”


 それは、肌で感じるのだが──何が、と言う点で娘の思考は行き詰まっていた。


“兎に角、このまま“黒き泉の都”(シュヴァルツェンブルン)に行こう。そこで、何か判るかも知れない”


 そう思いながら、峠道を下る脚を早める娘だった。




 第六話です。峠の死闘(?)はこれで一段落。舞台はペーレンランドの首都に移ります。

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