逢魔が娘-04◆「やっぱりそうか、と思いました」
■何処とも知れぬ山中/峠道
一歩踏み入れた広場は、真っ白だった。冷気? そう、これは冷気だった。吐く息も白い、冷え冷えしたその広場の中央に、貴婦人は立っていた。
「・・・これって、普通じゃありませんよね?」
娘は、やっぱりね、と嘆息する。
「くくくく・・・」
「そして、やっぱり、これもお定まりのパターンですか」
はぁ、とやるせない表情を浮かべると、娘はそれでも一応聞いてみる。
「助けは・・・いらないですよね」
「いるのは、そなたの方ではないかえ?」
「あ、やっぱりそう来ますか・・・」
娘は、少し蓮っ葉に肩を竦めた。
「妾の贄になれ」
さぁっと腕を振ると、周囲に白い炎がわき上がった。そして、白いローブを纏った影が六体。娘を取り囲む様に現れる。
「・・・芸が、無いですね・・・」
些かも動じるどころか、娘は呆れた様に大きな溜息をつくと、やれやれです、とのたまわった。恐れも、怖がりもしない娘に、貴婦人は苛たしげに顔を歪める。
「すぐに泣き叫ぶ様になるぞえ!」
さっと手を振ると、白いローブがじりじりと娘との距離を詰める。だが、それにも娘は全く無頓着だった。
「はぁ。本当に、後悔しませんね?」
その問いの木霊が消えぬ内に、六体の白ローブは娘に襲いかかった。
続いて第四話です。何やらきな臭かったのが、本当になりましたね。現実にあったら、君子危うきに・・・な状態です。