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逢魔が娘  作者: 冬泉
33/38

逢魔が娘-32◆「現在、絶賛戦闘中です」

■ペーレンランド/都/街東部地区/東部地区/黒き泉


 黒々とした奈落への口が開くと、周囲は一気に闇の気配で満たされる。


「来るぞ。」


 短く静流が言うと同時に、その黒い穴から影のような悪意があふれ出た。


「幽鬼だ!」


 ステンカが叫んだ。幽鬼(Wraith)――生けし者の生命を喰らう、闇の禍もの。こんな街中で出会うなど、到底考えられない相手だ。


「静流!」

「心得た。」


 幽鬼には見向きもせず、泉を正視するルナに静流が応える。


「皆の者。一瞬目を閉じよ。“陽光”」


 静流が杖を振ると、周囲が真昼のように明るくなった。

 その光の中で、影の動きがにわかに落ちていく。


「もう一つ。“防魔”」


 淡い蒼色の輝きが周囲に満ちる。


「これで、少しは持つだろう。後は、どれ位のやからが出てくるか、だな」

「ふむ。魔導師の援護があると、便利だな」

「少しは有り難く思えよ、バッコス」


 今や輝きを帯び、名実と共に“王者の剣”となったグレイト・ソードを軽々と振り回す。


「ふはははは! 今宵の“虎鉄”は血に飢えておるぞぅ」

「・・・“王者の剣”じゃ無かったのか?」


 すぐに上書きされてしまうバッコスのフラッシュな脳みそを思うと、静流は溜息をつきながら、頭痛の遠雷が聞こえてくる米神を押さえるのだった。


「雑兵どもっ! 我が輩の正義の鉄槌をその身に受けろがよいっ!!」


 ともあれ――大言壮語に違わず、バッコスのグレイト・ソードは煌めく弧を描き、来襲する幽鬼を切り伏せていた。何故か、幽鬼は最前線にいるルナには目も呉れず、第二線にいるバッコス、ステンカ、ロアンに襲いかかっている。


「こりゃ公主さんに感謝だな!」

「気休めなど、とんでもありませんね」


 予想外にも順調に幽鬼を切り裂きながら、ステンカとロアンは顔を見合わせて頷いた。

 ステンカの短剣も、ロアンの複合弓から打ち出される矢も、確実に相手を倒していく。

 それも道理――静流の掛けた魔法は、神器“地龍の錫杖”によって大幅に強化されていたのだ。これなら、下手な魔法具よりも遙かに強力だ。


「よっしゃぁぁぁ!!」


 最後の一体を屠ると、ステンカが短剣を天に突き立てた。

 三人の活躍で、幽鬼は残らず消滅している。

 勝ち鬨を挙げようとする三人を、押さえて静流が鋭く言った。


「次が来るぞ。気を抜くので無い」

「ちっ・・・手応えがねぇなって思ってたら、やっぱそう言う事かよ」

「差し詰め、前座という所でしょうかね」


 幽鬼が前座――その後来るであろう相手を想像すると、ステンカとロアンは蒼くなった。


「次はもっと強いヤツが来るのだろう?」

「無論だ、バッコス。“軽い”相手から、先に地上に出てきているのだろう」

「うむ。そう来なくては、我が輩の見せ場が無いぞ」

「心配せずとも、見せ場は幾らでもある」

「それを聞いて安心だ」


 にやりとバッコスが不適(注:正しくは不敵です)な笑みを浮かべた。

 そんな漫才も、唐突に終わりとなった。

 それまで黙って泉を凝視していたルナが顔を上げる。


「来るわ」

「次が来おったな」


 ルナと静流が同時に呟いた。

 奈落の底からの圧力が急激に強まると、吹き出すように暗冥の力が溢れ出る。段違いの圧力だ。先程同様、ルナには目も呉れず、後方のバッコス、ステンカ、ロアンに殺到する。


「“冥鬼”(Spectre)ぞ! “幽鬼”とは訳が違う! 心して掛かるがよい!」


 鼓舞するように三人に言うと、静流は錫杖を振るって輝く彗星を何本も打ち出した!


 明日から一週間出張不在です。駄文ですが、取りあえずアップしておきます。改定は帰国後に。

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