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逢魔が娘  作者: 冬泉
31/38

逢魔が娘-30◆「先制攻撃、と行きましょう」

■ペーレンランド/都/街東部地区/東部地区/黒き泉


 禍々しい瘴気を放ち、その泉は深い闇の中にあった。


「これは酷い・・・」

「我も此程とは思わんかった」


 ルナと静流が声を上げる。ステンカは渋面を作ると舌打ちする。


「ちっ。今日は特に酷えな」

「ルナ、このまま行くか?」

「闇雲に近づくのはちょっとね。静流、何か判る?」

「暫し待て。」


 眼前に“地龍の錫杖”を掲げると、静流は集中する。


「・・・強大な魔力と悪意を感じるな。ふむ、魔導を用いなくとも、肌で感じる位だ」

「そうね。」


 羽を両側にあしらったオープンフェイスの兜の下から、鋭い視線が前方一帯に油断無く注がれる。程なく、口元に面白そうな笑みを浮かべると。


「先制、しようか。」

「先制?」


 あぁん? と鸚鵡返しに言うバッコスに、笑顔を向けるとルナは言った。


「こう言うこと。」


 華奢な両手を開いて立てると、氣を溜めてゆく。見る間に、両手の間に白い輝きが集まる。


「お、おい。それって・・・」

「目を閉じててね」


 バッコスが言い切る前に、ルナは事投げに言うと、その両手を前方に払った。


「行きなさい。“閃光珠”(Flash Orb)!」


 その華奢な手の中から目映い光の玉が放たれると、一直線に飛翔して目標に着弾した。次の瞬間、周囲は強烈な輝きで満たされた。それは、目を閉じていても痛みを感じる程だった。


『!!!!!!』


 声にならない、何かの絶叫が響いた。輝きは薄れつつある。


「さて、行きましょうか。静流と私を先頭に、後は側面と背後を護ってね」


 聖皇剣(Emperious)を引き抜いたルナに、静流が頷いた。


「良かろう。だが、その前に」


 左手を拝む様に眼前に揚げると、静流は錫杖を一振りする。済んだ鈴の音色が辺りに響くと共に、全員の身体と武器が淡い輝きを帯びる。


「“裂帛”(れっぱく)と“堅持”(けんじ)の魔法を掛けた。少しはマシになるであろう」


 ちらりとバッコスに視線を振る静流に、ルナも頷いた。


「ありがとう。どノーマルだったから。これでちょっとは安心ね」

「永くは保たぬ。速戦が肝要だな」

「ふむ――唯でさえグレイトな我が輩だが、今宵はまさにウルトラ、と言った感じだな」


 これなら、神の域まで届くな、などとほざくバッコスに苦笑しながらも、ルナは優しく言った。


「側面援護、任せたわよ。ウルトラ戦士さん」

「任せておけぃ!!」


 緊迫した戦闘の前の二人の漫才に、後ろで聞いていたステンカとロワンを始めとする“絆の団”の面々は、緊張感の無さに人知れず溜息をつくのだった。


 大変遅くなりましたが、逢魔30話をお送り致します。超スロー更新ですが、今後とも宜しくお願い致します。

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