表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逢魔が娘  作者: 冬泉
3/38

逢魔が娘-02◆「何かおかしいとは思ったけれど」

■何処とも知れぬ山中/峠道


 やがて陽がとっぷりと暮れると、空には星が瞬き始めた。蒼く、白く、紅く、そして黄色く──色取り取りの宝石が、一つ、また一つ、黒いビロードの様な夜空に輝いている。峠道の両側には、峨々たる峰々のシルエットが天を突く様に聳えていた。星明かりに煌めいている氷河が、所々流れ落ちてきている。


 暗闇の中を、娘は軽い足取りで下っていく。所々折れ曲がっている山道だが、歩き慣れた感じだった。順調に距離を稼いでいたその足取りが、ピタっと止まる。


「?」


 静かに、娘は耳を澄ましてみる。


「・・・空耳じゃ、ないよね?」


 確かに、前方から物音がしている。常人には聞こえないレベルなのだが、娘の耳にははっきりと聞こえていた。


「!!」


 疾風の様に、娘は走り始めた。


「夜道、人里離れている、そこに女性の悲鳴──普通に考えれば、おかしいって思うんだろうけどね」


 夜目が利くのではないか、と思える程的確に山道を下って行きながらも、息も乱さず一人ごちる。


「どうにも、身体が先に動いちゃってるんだよね。あははは、損な性質。」


 にこにこ笑っているはが、事態は笑い事ではないだろうに。そんなこんなで、娘は前方に灯りを認めた。


「あれね!」


 そう言った瞬間、娘の足取りが一層速くなった。




 連続して二話目です。お楽しみ頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ