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逢魔が娘  作者: 冬泉
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逢魔が娘-27◆「置いてきぼりは無いんじゃない?」

■ペーレンランド/都/街東部地区/酒場


 さて、と両手を腰に当てて一座を見回したルナは、おもむろに言った。


「流石に、今度はまともに準備した方がいいわね。静流とバッコスはどうするの?」

「我は、神意装甲(MIA)を纏い、この宝錫を振るおう」

「神意装甲・・・」

「うむ。漠羅爾バクラニの始祖、龍王の残したArtifakte(神器)でな。その銘を“天龍の鎧”と言う。下位の魔導ならば全て無効化し、上位の魔導もかなりの確立で跳ね返す」

「はぁ、反則の固まりみたいな武具ね。じゃあ、攻撃は?」

「やはり上代からのArtifakteであるこの“地龍の錫杖”を使う。幾つかの魔導が任意無制限に使える上に、錫杖を通して魔導を発動させる事により、威力か、持続時間か、効果の何れかを倍増できる」

「それも、反則すれすれねぇ」


 静流の説明に、溜息を付くルナ。

 気を取り直して、今度はバッコスに聞く。


「・・・で、バッコスの方は?」

「ふははは! よくぞ聞いたな、ルナ! 驚け! “王者の剣”に“勇者の鎧”だ!」

「え?」


 キラリラリーンとバッコスが見せたのは、要はくだんのグレイト・ソードとフル・プレイト・メール(完全装甲)であった。まぁ、中々の業物なのだろうが、静流の装備と比べると天国と地獄の違いがあった。


「・・・す、素敵ね」


 何とか言葉を捻り出したルナは、静流に目線で訴えた。


“まっさらさらの非魔導装備じゃない! 静流、何とかして!”

“仕方が無いな――戦闘に入る前に、出来るだけ防御と攻撃力上昇の魔導を掛けるとしよう”


 片眉を僅かに上げると、静流は目線で返す。

 そんな二人の娘の心配事を余所に、バッコスは悠然と構えていた。


「ルナよ。そう言うおまえの装備はなんだ?」

「え、わたし? そうね・・・剣は“アレ”で、鎧は“コレ”よ。」

「アレコレでは判らんが?」

「う~ん、言わなきゃ駄目?」


 困った様にバッコスに言うルナに、静流が諭した。


「我らは仲間だからな。いざという時に手助けをする為に、如何なる手立てを持つか、知っておく必要が有ると思うが?」

「静流ったら・・・そう言う言い方されたら、言わなきゃならないじゃない・・・」


 ルナは口の中でごにょごにょ言っていたが、一つ息を吐くとはっきりと言った。


「“聖皇剣”(エンペリアス)と“天使の鎧”(セラフィム)を使うわ」

「やはり、それであったか」

「静流にはお見通しだったみたいだけど?」

「そなたの出自を思えば、それが一番自然に思えるのでな」

「それって?」


 我が輩にも判る様に説明してくれよ、とバッコス。


「傑門が預かる神器の内の二つだ。“護符”と“金杯”が門外不出で、“星の鎧”を公子が継いでいると聞けば、自ずと残りが何処に行ったか推測できるだろう?」

「みんながみんな、静流みたいだとは思わないけどね」


 ルナは苦笑いを浮かべた。


「しかし、ルナがその二つを帯びるのであれば安心だな」


「あのぉ~」


 すっかり蚊帳の外に置かれていたステンカとロワンが、ちょっと良いですか、と話に加わった。


「オレ達はどうしたらいいでしょうか?」

「情報を集めてくれるだけでいいわ」


 危険な目には遭わせたくないし、と言うルナに対して、二人は猛然と抗議した。


「そんな、姫さん! オレ達だけ置いてけぼりってのは御免だぜ!」

「そうですな。黙って見ていろ、と協力する我々に強いるのですか?」

「でも、一般人にはかなり危険だよ?」


 一般人、と言う所に、静流とバッコスが苦笑いを浮かべた。


「アンタが“玉”を貼るのに留守番じゃ、オレ達の名が廃る。絶対に一緒に行かせて貰うぜ!」

「一言一句、同感ですな」


 “絆の団”の頭目、副頭目の二人に詰め寄られ、ルナは静流と顔を見合わせた。


「危険だけど?」

「へっちゃらさ!」

「死ぬ様な目に遭うかも知れぬぞ?」

「判っている」

「決心は固いな?」

「「勿論だ(ぜ)!!」」


 ルナは一つ頷くと。


「判った。連れて行く。でも、きちんとした装備を持っていたら、と言う条件だけは付けさせて貰うわ」

「任せとけ! 伊達に長年盗賊をやっとらんわ!」


 問題発言を噛ましながらも、ステンカとロワンはバ○ム1並のガッツポーズをしてみせた。


 ちょっと間が開きました。新年一回目の「逢魔」をお届けします。月末まで色々と立て込んでいて、更新不順となる見込みです。恐縮ながら、宜しくお願い申し上げます。

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