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逢魔が娘  作者: 冬泉
13/38

逢魔が娘-12◆「お互い、同志と言うことですね」

■ペーレンランド/都/酒場


 二人で協力して、意識不明だが命は取り留めた酒場のマスターを楽な姿勢に横たえた後。おもむろにローブの人物が話し掛けた。


「見事な手並みだな。余程の手練れと見るが、名を伺いたい」

「名乗る者では無いんですけど・・・」


 にっこり笑って、スルーしようとした娘だが、ローブの人物は意に介さ言葉を続ける。


「・・・では、“名乗る者では無い”殿。先程の言動から察するに、怪異を追い求めている様だが、何が目的だ?」

「誰だかも判らない名無しの権兵衛さんに、どうして話す必要があるのかな?」


 相手の口調にちょっとカチンと来た娘が、少し語気を強めて言う。そんな娘に低い声で笑うと、ローブの人物はフードを上げて背中に落とした。象牙色の肌に長い黒髪を後ろで縛り、人形の様に整った顔立ちの中でも印象的な黒い深い双眸が娘を見つめ返す。


漠羅爾バクラニ人・・・」

「いかにも。言い方が気になったのであれば、謝罪する。斯様な物言いしか出来ぬのでな。申し遅れたが、我は天嶺テンリョウ静流シズルと言う」

「天嶺・・・? どこかで・・・・」


 暫し思案する娘。そして、唐突に。


「“魔界の一族”っ!」

「なんだ、その二つ名は・・・」


 静流は思わず顔をしかめた。


「だって、漠羅爾は恵久美流エクビルの天嶺家でしょう? あの規格外の“魔人”が沢山いる!」

「・・・どんな話が伝わっているのだか・・・」


 米神こめかみに手を当てて、静流は思わず溜息を付いた。一方、娘はと言うと、両拳を胸の前で握りしめて、期待に満ちた表情で瞳をキラキラさせる。


「兎も角! 我は国元から、この怪異の元を正す様にとの命を受け、彼の地に参った。貴公も同様な目的だと推察するが、如何に?」

「・・・そうね。私の目的も貴女と同じ。これまで調べた結果、怪異がここペーレンランドから漏れ出しているのが判ったの。だから、調査の為にここに来てみたわ」


 調査通りだったけど、と酒場の惨状を眺めて娘は言った。


「成る程。事情は理解した。しからば・・・」


 静流の言葉は、酒場の扉が轟音と共に吹き飛ぶ事で遮られた。次の瞬間、完全装備の装甲兵が酒場になだれ込んできた!




 第十二話をお届けします。ポテンシャルな同志、天嶺静流の登場です。今後もご期待下さい!

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