逢魔が娘-10◆「はい頑張って、と言われました」
■ペーレンランド/都/酒場
「ここって首都のど真ん中、なんだけどね」
娘は、お定まりの溜息を付く。
「こんな所まで“汚染”されているんじゃ、対処がとっても大変ね」
「違いない。」
同意の言葉に、娘は後ろを振り返った。
「逃げなかった人が居たんだ」
「ふふふ。案外、脚が竦んだだけかもしれぬぞ」
娘に応えたのは柔らかなアルトの声だった。掠れも、震えもしない、しっかりした話し方だ。
「そうとは到底思えないけど。で?」
「お手並み、拝見する」
「あ、そう来るんだ」
がっくりくる娘に、低い笑い声を返すローブの人物。
「まぁ、最初っから援護は宛にしてなかったから」
きっぱりと言うと、娘は向かっている怪異に向き直った。
「この位、まだ食べてない夕食前よ!!」
言うやいなや、右手を大きく振り被る。華奢なその手に、強烈な光の玉が生まれている。
「さぁて。何処まで耐えられるかしら? “Flash Sphere”(閃光球)!!」
勢いを付けて、娘の右手に生まれた目映い光球が怪異にたたき込まれる!
お待たせしました、第十話です。ペーレンランドの首都で、一体何が起きていると言うのでしょうか? 次回佳境・・・かなぁ(笑)。