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新たなヒロイン

私は当てもなく城中心を何となく歩いていた。

…すると目線の先に見覚えのある女の子がしゃがみこんでいるのが見えた。

あれは確か…アーニャ…?

私の友達で近くに住んでる公爵令嬢だ。アンネと同じような存在。ちょっとおとなしくてよく人見知りしてる。控えめな性格。

何やってるんだろう。


「…アーニャ、だよね?」

私がそっと声をかけるとアーニャはバッと顔を上げる。そして驚いた表情で私を見つめるとアーニャは口を開いた。

「ラルフさん…?」

「うん。こんなところで何を?」

「あ、いや…。なんでも、ない。そっちは?」

アーニャは明らかに何かをごまかすように言った。

「僕はただここら辺を散歩してただけ。…アーニャもごまかさなくていいから言ってよ。」

「…ちょっと、悩み事。ラルフ。い、言いたいことがあるの…。」

「言いたいこと?」

「そ、そう。私ね、ラルフさんが好きなんだよ…。」

突然告げられたアーニャの言葉に私はしばらくの間固まっていた。


私のことが…好き?

ねぇ、まだ序盤…ですよね?序盤で告白なんてあっていいことなんですか…!?

あ、そうだ。これはきっと友達として好きだってことだ。

…うん。


「…へ、へぇ。友達として…?」

私がそう尋ねるとアーニャは首をブンブンと振る。

…あ。やっぱりそういう…?

「でもラルフさんには婚約者がいる。だから可能性がゼロに近いのはわかってる…。だけどこの思いだけは伝えたいし…可能性がまだ1%でもあるのなら、私はそれを信じようと思う…の。だから、返事はしないで。そ、その時が来たらまた思いを改めて伝えるから…。」

「…あ、うん…。」


展開が早すぎる。

いい話になるにはまだ早いよ…!?


「だからその時が来るまで絶対に友達でいて…ね?」

アーニャは戸惑う私を上目遣いで見つめた。

「…わかった。」

私は戸惑いすぎて短い返事しか返せないままだった。

「それで…悩み事って言うのはこれのこと。さっきしか言えるタイミングがなかったから…。…ごめん。」

「いや、アーニャが謝ることないよ。…その、伝えてくれてありがとね。うれしかったよ。」

私はアーニャを困らせないために平然を装う。

「…こちらこそ…。あ、あと…アンネさんとあわせてくれないかな…。ちょっとそっちにも話したいことがあるの。」

「え、あ~うん。いいよ…。アンネのところまで行こうか。」

「…うん!」

アーニャがそう嬉しそうに返事をするとアンネのところへ案内しようとする私について来ようとした。


私が知っている小説ではこのパターン…、女の子同士が争う未来が見えるんだけどこれはほかのものであってこれはリアルなギャルゲーなのだからそれはないはず…。

人生そんなテンプレ通りに行くわけないよね…。


「…アーニャ?また私に何か用?」

「いや…。今日はラルフのこと。」

「何?」

「…私、ラルフさんに告白したの。ちゃんと自分の思いを伝えたよ。…アンネさんと違って。」

「…っ。アーニャ…。ちょっとラルフ、出て行ってもらってもいい?」

「あ、うん…。」


あ~、あんなこと言ってたらほんとにテンプレ通りになっちゃったね~!

元女子高生として言わせてもらうと女の子の喧嘩はどんな喧嘩よりも終わりが見えない…!どっちかが引かないと終わりのない戦い!

私が頭の中でいろんな思考を巡らせているとドアの向こうから声が聞こえて聞き耳を立ててすこし盗み聞きすることにした。


「…アーニャ!抜け駆けはだめだって言ったじゃない!そのときは皆で一緒に言うって…!」

抜け駆け…?みんなで一緒に…?

なにその話…。喧嘩じゃなかったの…!?告白するかの話!?

「だって…、待てなかったんだもん。一刻も早くこの気持ちを伝えたかっただけ…。悔しいならアンネさんも気持ちを伝えたらいいよ…。」

アンネの気持ち?

「…アーニャ~……。で、でも!ラルフはアーニャを好きって言ってないのよね?」

「私が返事は言わないでって言ったからわからない。」

「…もう、なんで肝心なことを聞かないのよ!」


…これ以上は女の子の問題だから聞かない方がいいのかもしれない。

ハーレムがどうとか言ったけど…、思ったよりもなんか責任感がわいてきた…!

みんなが私を好きだとして、それで誰か一人を選べばそのほかのみんなは悲しむことになるんでしょ…!?

それでみんな一緒に言うってことはきっとみんなは私のことが好き…!?

…いや、これは仮定にしておこう。

それだとしても私はもうあの二人が私のことを好きなんだと確信してからなんだか大変な役を課せられているような気がする…!

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