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お花見デート

なんやかんやあって、今日はアンネと出かける日になっていた。

楽しみなような不安なような。

私の気持ちはずっと不安定だった。


…よし。服も着替えたし、髪も結んだし。行くぞ~!


何をするにしても、前世の日常とさほど変わるものはなかった。

気になるのはなんでこんなに髪を伸ばしているのかってことだけど…自分じゃよくわからない。

まぁ髪が長いのも私のチャームポイント~…なんて…。

いやぁ、また違う自分になれるのも悪くないものだね。

…あの~女の子ね、誰を選ぶかはいったん保留にしましょう。というか婚約者と結婚するのでいいじゃん…って思ったよ私もさ。でも…人生そういう選択、一回はしてみたいでしょ?

…付き合う前提なのがおかしい?

そんなのは私が王子なんだからしょうがないじゃな~い。王子は必ず姫と結ばれるのよ…。


…さ、こんな話は置いておいて。

はやくアンネとデートに行きましょ~


「…ラルフ。やっほ。ふふ…、楽しみでちょっとおめかし♪」

そう言いながらアンネはリボンで飾られたワンピースの裾をつかんで楽しそうに笑った。

楽しみにしてただなんてもう私のこと好きじゃん…。

婚約者だから当たり前なのかな。

「ちゃんとみんなの許可とったんだよね?いっつも抜け出してくるんだから…。」

「大丈夫よ。今回はちゃ~んと許可下りてるわ。私をなんだと思ってるの?」

「いつも抜け出してくるはだしのお嬢様。」

「むぅ…。」

私が容赦なく言った言葉にアンネは頬を膨らませて悔しそうににらみつける。

「…ごめんごめん。ほら、早く行こ?今日はアンネの好きな花畑に行くんだから。すごい大きくてきれいなんだよ?」

「……お花を見に行くの!?やったぁ~!」

さっきとは態度が変わってアンネは嬉しそうにくるくると回って私についてくる。

…なんか言っちゃ悪いけど…ちょろい。

でもそんなところもヒロインらしいというかなんというか…愛らしいよね。…かわいい。

あぁ…、だから私そんな趣味はないの~!

…はぁ。


「わぁ~、きれー!」

大きな花畑を目の前にしてアンネは感嘆の声を上げる。

確かにきれいな花畑。

ここも私の家系の土地だなんて信じられないわ…。

「…でしょ。何気にここら辺連れてきたことなかったから今日は連れて行ってあげようと思って。」

「うん…!ありがと!すごく楽しいわ!」

アンネは目をキラキラさせながらこちらを向いてうなずいた。

ふいに目を向けた足元には宝石のような青い花々がいたるところに咲いている。

花も普段は見ていないと時々見たときにはすごく感銘を受けた。

毎日みるよりたまにの方が特別感あるし?まぁ…、とにかくすごくきれい。

「…きれい。」

アンネはこうして同じようなことをずっとつぶやいていた。

…君の方がきれいだよ、なんちゃって。こういうのは今の時代通用しないよ。

なんて言ってるけどそんなこと言ってる人漫画でしか見たことないや。

キュン、じゃなくて、え…?じゃないのあれは。

私は褒めらえるのあんま慣れてないからなぁ。そのせいもあるのかも。

「ラールフ。何ボーッとしちゃってんの?ちゃんと楽しまないと意味ないわよ。」

ボーッとしていた私の前に突然アンネの顔が映し出されておでこにデコピンをされたような衝撃が走る。

「…いたぁ…。ちょっとは加減してよ…。」

「じゃあぼーっとしないでちゃんと見てなさいよ。…ほら、こんなにきれいなんだから。」

そういうアンネがしゃがみ込むのをみて私も同じように座り込む。するとアンネはすぐ隣にあったオレンジ色の花を指先ですくい上げるようにそっと触れる。

それを見て穏やかにほほ笑む彼女の姿は思わず見とれてしまいそうなくらい一枚の絵になるような風景だった。

「…ふふ。」

そして私は思わず笑みをこぼしてしまった。

「…何よ。」

「いや、絵になるくらいきれいだな…って。」

「…花のこと…、よね。」

「ん?どっちも。」

「…っ。何てこと言い出すのよ…。」

私が言った言葉にアンネは何かつぶやいたけど、私の耳には届かなかった。

…いったい何を言ったんだろう。気になるけど…、まぁいいや。


「楽しかった?」

アンネを連れて帰る途中、私は何となくアンネに聞いた。

「…うん。すごく楽しかったわ。また連れて行ってくれる?」

「楽しんでくれて何より。もちろん、また連れて行ってあげるからいつでも僕に言って?どうせ僕の家系の敷地なんだからさ。」

「わかった。行きたくなったらまた言うわ。拒否権はないわよ?」

アンネはいたずらっぽい笑みを浮かべてそう言った。

「…はいはい。」

「はいは一回!」

私の返事を聞いて納得がいかなかったのかアンネはさっきのようにいたずらっぽく笑ってそういう。

「…はぁい。」

「もう…。」

私の返事にアンネはあきれたように腕を組んだ。


まだ女の子との生活には慣れていけていないけど、たぶんこの先また女の子が出てくるから用心しておかないと。

…正直こんな世界に転生なんてしたくなかった…。

でもアンネがいるし癒しだけはすぐそこにあるだけまだまし。

あぁ、アンネがいなかったら私どうなってただろう…。


…早くこの生活に慣れたい…。

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