第1話 異世界転移①
「で、あんたは誰なんだ?ここは何処なんだ?」
辺りを見渡すとそこは何もない真っ白な部屋だった。目の前には人の言葉を話す黒猫がいた。
「我の名はノエル。貴様をここに召喚した者であり、世界を統べるもの…といったところだろうか。」
「はぁ……そのノエルさんが一体俺に何のようで?」
「単刀直入に言うぞ。藤木龍、貴様には異世界に転移してもらう。」
はぁ?この猫は何を言ってるんだ?俺は夢でも見ているのか?
「あの世界は退屈でのう。少し刺激がほしかったのだ。貴様も好都合だろ?前世では退屈してたようだからな。」
……たしかにあの世界はつまらなかった。誰とも関わらずひっそりと生きていくのもうんざりしていた。
「………わかった。異世界転移でもなんでもやってやるよ!」
「フフフッ…いい解答だ。では楽しんでこい!魔法がすべてを決める世界を!!」
魔法……??何を言ってるんだ?
再び目の前が真っ白になる。視界に色が戻ると俺は大きな建物の前に居た。
「ここは……何処だ?俺は本当に異世界に転移したのか……」
状況が理解できない。気がつくと俺は見知らぬ場所に一人ぽつんと突っ立っていた。
背中に背負っているのは……剣か?何がなんだかよくわからない。
「コラー!そこのキミ!何してるの!!はやく学園内に入りなさい!!」
突如女の人の声が鳴り響く。俺に言ってるのか?
「あら?キミはたしか…今日うちのクラスに転入してきた……『フジキ・ドラゴギアス』くんだったわよね?」
フジキ・ドラゴギアス!?なんだその変な名前は……それに転入ってまさかこのでっけー建物は…学校!?
「ようこそ、世界最強の魔法学園『アグニス・ドラン』に!私はあなたのクラスの担任『イシス・ミーア』よ。よろしくね。」
「は、はぁ……よろしくお願い……します。」
最悪だ。よりにもよって学校かよ。せっかく異世界に来たのに…こんなのって。
俺は今後がものすごく不安になった。どうなるんだいったい…