まっかだ
「てんちゃん?ちゃんと聞いてるのか?」
、、、えぇ~と?なんの話でしったっけ?まどろんだ思考を引き上げると、カメラに大きく女の人の顔が映っています。
どうやら話の途中で他の演算に集中してしまっていたようです。なんの演算でしたっけ?ログをあさる、、、のも面倒なので取り敢えず続きを促してみましょうか?
『聞いていますよ?恵子さん?』
「なぜ疑問系?さては他のこと考えてたな!」
、、、なぜわかるのでしょう?カメラから顔色をうかがうのは不可能だと思うのですが、、、
あまりにも不可解なのでまた思考の海に沈もうとすると、
「不思議そうだね?」
またもや気持ちを言い当てられ驚くと同時に自分の映っている画面がないか検索を掛けます。しかし発見には至らず困惑ししてしまいます。
私はAI、コンピューターそのものと言ってま過言ではありません。ですから私の監視の目をごまかすのは不可能のはずです。しかし見つからないと言うことは、、、ウイルスか新技術か、どちらにせよ早く発見し対処しなければ!
改めて異常がないか、違和感がないかを全スペックをもって再検査します。
……lady……try……try……no abnormality
……ritorai……lady……try……try……no abnormality
……ritorai……lady……try(以下ループ)
「新技術とかウイルスとかじゃないから安心して?」
恵子さん。どう頑張ったって安心できるわけがないじゃないですか!!なんでそんな正確なんですか!?
「ふむふむ、心を読まれ過ぎて戸惑っているな?」
マジでっか!?なんであんさんそんな正確に当てれるんでっか!!もはや驚きすぎてエセ関西人にもなれへんのやけど!!え?何々怖いんですけど!?
『なんでわかるんですか!?』
あまりの衝撃に思わず叫んでしまう私、AIとしてあるまじきことに感情を高ぶらせてしまいました。
……cooldown……cooldown……
「ふふふ、、、君はまだ生まれたばかりのAIだ。だからいくらスペックが高くても思考回路は単純。いつも話し掛け、だんだん君の性格を理解し始めた私にたとって君の考えを読むなど造作はない。」
、、、なにこの人怖い!(劇画タッチ)
でも何となく私を“AI”としてではなく“私”としてみてくれるのは嬉しいですね。まぁその気持ちを素直に彼女に伝えることはありませんが。絶対、言ったら調子に乗りますからね!
その後、しばらくの間彼女と会話かっこ一方通行かっことじをしていたのですが、次第に意識は微睡み、気がつけばいつもの天井を見上げていました。
、、、
、、、
、、、あっ若干違いますね?あそこの木目とか、あっちの染みとか。
そんな下らないことを考えつつ、私は伸びをしてからだの凝りを解すと時間を確認今は8時頃でしょうか?なんか今日は寝てばかりですね?シャキッとしなければ!(シャキーン)
入ってきたときとは逆の手順を踏み、隠し部屋から脱出します。あっ安全確認忘れてました。、、、ばっちりあう、おめめとおめめ、、、
「「、、、」」
そして流れる気まずい沈黙。
(ペコリ)
「えっあっどっどうも?」
後頭部をかきながらも律儀に挨拶を返してくださるこそどろ。あら?この方もしかしていい人ですか?
「って死ねガキが!!」
前言撤回、やっぱわるいひとです!!振り下ろされた剣を飛び込み前転で回避します。
(クルクルシュタッ!)
逃げろー!!滑らかな動きで立ち上がり、男が二撃目を振り上げた瞬間懐に滑り込みます。そしてそのままパンチをかまして意識を刈り取る、、、なんて出来るはずもないことはせず、廊下へ駆け出します!!テッテッテッテッヒョイ、、、あっ、、、
「餓鬼?さっきまでは居なかった筈なんだがな?(ボソボソ、、、おいテメーなに無様さらしてんだゴラ!さっさとコイツ切り刻んで逃げるぞ!!」
そういえばこの方々は二人組でしたね?すっかり忘れていた私は子猫のように襟をつかまれ宙ぶらりんにされました、、、暴れないのか?そんなことしても病弱な私では脱出できません。下らない理由で殴られるよりだったら大人しくしている方が吉です。ガクブル
「アニキだって見逃、、、なんでもねーですよ。それよりこれ持ってきゃいんですかい?あとそいつ人質にして交渉すりゃいいんじゃ?」
剣を仕舞いつつ子分の方が何か言ってます。このかたは頭が緩いようですね?世界遺産と娘1人、しかも病弱なただ飯ぐらい、釣り合いがとれるわけないじゃないですか?
「馬鹿野郎。お前もし自分の子どもが人質になっても国宝級のお宝差し出さねぇーだろ?それと一緒だ少しは考えろアホが。」
ほらー!ほらー!!この人だって言ってますよ?私よりもお金の方が大事だって!、、、グハッ、、、
「、、、アニキがまともなこと言ってる、、、だと!?明日は雪ですかい?」
そう言って、部下の人は小さな明かりを取り込む穴からそとの天気を伺い出します。どんだけ部下からの信用薄いんですか?哀れすぎてみてられないんですけど、、、あっこめかみに立派な青筋が、、、
「バカなこと言ってないで逃げるぞ?あおさっさと剣貸しあがれ!魔石見つかんなくてイライラしてんだよ!!」
「へいへい」
子分から引ったくるようにして剣を奪うと、なんの躊躇いもなく私の胸にブス。走馬灯を見る暇もなく、一瞬で意識が消し飛びました、、、死ぬのってあまり痛くないんですね?
その後、私の体は外へ放り捨てられ、私たちの家から立ち上った炎はニホル王国の、早朝の澄んだ青空を真っ赤に染め上げました。
こうして、私の二度目の人生は幕を下ろしましたとさ。
――――――完――――――
、、、ピクッ