プロローグ2
「早く見つけないといけないな。この魔道具で。人類史上最強の10人を。」そう呟き少年は歩き出す。最初の頃は死体や血の臭いで体調をくずしていたが今はそんなことはない。「あいつにも連絡しておくか。」そう言って彼は携帯を取り出すと自分の上司に連絡をいれた。プルルルと数回コールした後その人物は電話に出た。
「もしもし。そっちは終わった?劉君?もし終わってるならすぐに本部に戻ってきて。」電話からは幼なじみの少女の声がする。「あぁ終わった。すぐに帰るからこの死体の山の片付け頼むぞ。」そう言って電話を切る。「やれやれ。早く帰りますか。」
大きなあくびをしながら帰ろうとする彼に小さな声が聞こえた。
「誰かいませんか?助けてください。」助けてくれ。そう言われてほっておけるほど劉は冷たい人間ではなかった。やれやれとため息をつきながら声のした方に向かうと先程の戦いで出来た瓦礫のしたから確かに声がする。「誰かいるのか?」そう呼び掛けた劉はこの時思いもしなかった。この声の主がこれからの自分の人生において最も重要な役割を果たすなどと言うことは...
とりあえず劉は瓦礫をどかしてやり下にいた人を助けた。そこに居たのは年齢は劉と変わらないほどの長い銀髪が腰まで伸びているルビーのような真っ赤な瞳を持つ少女だった。劉は周りが死体だらけと言うことを忘れてその少女に目を奪われてしまった。ボーッとしていた劉を現実に戻したのは彼女の声だった。
「あの。助けていただいてありがとうございます。それでその...あなたは敵ですか?味方ですか?」不安そうな声と表情で少女は劉に問いかけた。「多分味方だと思うがな。君は人間側だよね?え~と?」「はい人間側です。名前はルイーズと言います。」「ルイーズさんね。君はここで何をしたんだ?避難情報出てたと思うが...」「それが逃げている最中に足を怪我してしまって。とっさにあの瓦礫の下に入ったのですけど、身動きが取れなくなってしまって。」そう言うルイーズは少しばつの悪そうな顔をしていた。そして何か覚悟を決めたような顔をして劉に、「あのっ。私をキャスターのメンバーに推薦してください。そうルイーズは言い切った。