激闘!金閣寺ロボVSソンラ!
金閣寺ロボをうまく操縦できるのか…!?
「ムソウ君! 聞こえる!?」
さっきの博士か!?
「ハ、ハイ、聞こえます。が、これは一体?」
「詳しくは後で説明するけど、その金閣寺ロボは君とリンクしているの! 君の動きの一挙手一投足を完全に再現するわ! しっかり立って、そして奴を迎え撃つの!」
そうはいってもな……
ムソウが立っている場所は、先程の暗闇の中と打って変わって、全方位に映像が映し出されており、まるで中空に浮いているような錯覚に陥る。大地を踏みしめていないようで、思わずふらついてしまう。
すると金閣寺もムソウの動きに合わせてふらつき、膝を付く。
ズゥゥゥン……
「ちょっと! 何してるの、ムソウ!」
今度は玖美の声が聞こえる。相変わらず頭に響く声だ。
「うるさい! こんなもん動かした事がないんだ!」
「弱音なんて聞きたくないですよーだ!」
「何をぉ!?」
そこまで言われれば意地である。ムソウは立ち上がった。金閣寺も立ち上がった。
「やれば出来るじゃない!」
「うるさい……集中してるんだ!」
「いちゃついてないで! 来るわよ!」
博士の声だ。誰がいちゃついてるんだ。
正面を見遣ると、先程の黒いモヤ。気のせいだろうか、先程より更に大きくなって、この金閣寺と同じくらいになっているように見える。
「見つけたぞぉ! 忌々しい金閣寺ロボめ! 立ち上がりおったか!」
奴もこのロボの事を知っているらしい。だが、それを問い詰めている余裕はない!
ここからはガチンコだ!しかしここで大事な事に気付く。
「なぁ! このモヤ、どうやって攻撃すればいいんだ!?」
そうだ。先程俺はこのモヤに一方的に攻撃され、反撃出来ずやられたのだ。ロボットに乗った所でガス状の奴の体に届くとは思えない。
「大丈夫だ。君の力を信じろ」
機械の声。説明など一切無い。
「……分かったよ……やってやるよ!」
溜息一つの後に、意を決してモヤに立ち向かう!モヤは絶対的な自信に溢れた表情を見せる。
「ハハハ、来い! 無駄だがね!」
うるさい!
心の中で反論しながら、ムソウは前へ!間合いを詰めて、がら空きのボディに渾身の右を放つ!
ドンッ!
強烈な手応えがあった。ビリビリと、右の拳が痺れる。
「グハァ!?」
モヤが苦痛の声を上げる。効いている!?
「ムソウ! 今だよ!」
「分かってる!」
この隙を逃しはしない!ムソウはラッシュを叩き込む!
打ち込まれるたびにボ、ボ、ボと音を立てて、モヤは消えていき、みるみる小さくなっていく。
「オノレ! そんな事があるものか!」
「あるんだよ! このまま消えちまえぇ!!」
ムソウはそのまま拳を叩き込み続ける!が、敵も然る者、徐々に対応しつつある!金閣寺の拳を受けることなく、捌き、躱し始めた!
「こいつ、拳法の心得が!?」
「当然よ! このソンラ様を舐めるなよぉ!」
ソンラと名乗った黒いモヤは、反転攻勢をかける!
「そらそらそらぁ!」
「くぅっ!?」
右、左と次々攻撃を繰り出してくるソンラ!そのスピードにムソウは耐えるしか出来ない!
「ムソウ! このままではじり貧だ!」
「分かってる! でもこいつ、隙がない!」
「奴の体を掴め! どこでもいい!」
機械の助言を受け、ムソウはソンラに向かって抱きつく!
「き、貴様!?」
驚いたソンラは、そのまま金閣寺を懐に飛び込ませてしまう。
ボシュウゥゥゥ!
「ぎやぁぁぁああああ!!」
響き渡る、ソンラの悲鳴。そうだ。この金閣寺の装甲は、モヤを消滅させてしまうのだ。それに抱きつかれたのなら、ソンラの体はその面積に応じて消えていく。大ダメージになるのだ!
「おのれ! 離れろぉ!」
ソンラは右腕を振りかぶる!その右拳から、ムソウとの対決の時に見せたように、ずるりと長くモヤが伸びる!これは!
「離れろ! ムソウ!」
「分かってる!」
ブオン!
ソンラの刀が振り下ろされるが、金閣寺ロボは既に距離を取っていた為、空を切って終わった。
ソンラは息をしている。明らかに疲弊してきている。
ダメージが通っている。その感覚は、ムソウを確かに高ぶらせた。
ソンラは己の危機的状況を理解し、間合いを取ってから叫ぶ。
「く、このままでは……ここは一旦退く! また会おうぞ!」
言うなり空を飛んで逃げようとするソンラ!
逃げられたらもう倒す機会が無いかも知れない。想定外の対応にムソウは頭が真っ白になる!
「お、おい! このままじゃ逃がしてしまう!」
「ムソウ、シュートモードだ!」
機械は焦ることなく、ムソウに指示する!
「シュートモード?」
「ムソウ、右腕に意識を集中するんだ。力を、右手ではなく、右腕だ」
「集中……」
言われた通りに右腕に集中すると、暖かさを感じる。
「これは?」
「金閣寺の必殺技だ。右腕を奴の方へ向けるんだ!」
言われるがままに、右腕を向ける。すると、金閣寺ロボの右腕が変形する!これは、銃!?
「そして叫ぶのだ!」
頭に浮かぶ言葉。まるでそうする事が自然であるように、ムソウは叫んでいた!
「ロックオン!」
スクリーン上に映し出された照準が逃げ去るモヤの中心を捉える!
「トゥゥゥゥ・ニルヴァーナァァァ!!」
カッ!
右腕から強烈な光線が放たれる!その光は一瞬でモヤに追いつく!
「くっ……くっそぉぉぉ!! この、ソンラ様がぁぁぁ!!」
光線が当たった瞬間、モヤは爆発して絶えた。
戦いが終わったのである。
ムソウは勝ったのだ。そして守ったのだ、京都の町を。