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惑星調査隊 プラネット・ダイバー  作者: 〇たいちょー
第1章 ユニット結成編
1/8

創まりの一報

「そうですか、研究所からの連絡が途切れましたか。現場にいる職員は全滅と思った方が良さそうですね。えぇ、わかりました。速やかにそちらへ優秀な調査隊(ダイバー)を向かわせます。救助者がいる場合はそのまま開発都市で待機しておくよう伝えてください。食料の貯蔵などは大丈夫ですか?はい。わかっていますよ。この通信を使っている時点で他言無用なことくらいわかっています。ではまた何か状況の変化があればご連絡をお願いします」


-ピッ-

端末の接続が切れ、今まで行っていた仕事の画面が現れるものの、今はその画面の1文すら頭に入ってこない。仕事の手を休め机に肘を立て、手を組んで目を閉じる。

今までの情報を繋ぎ合わせていく。それも最低最悪の状況が続いたと仮定して、現場で何が起こったのか推測していく。


「なかなか厄介なことになってしまいましたね」


思わず自らが立てた推測に口から言葉がこぼれる。

情報部総代の私に直接開発部総代からの掛かってきた極秘通信。

この極秘通信が使われるケースは大抵ろくなことではない。

むしろ最低最悪の状況に陥ったその部が部内での収束が困難と判断し、協力を仰ぐときか、匙を投げた時だけに使われる。

しかもそれは他の部には知られたくない秘密を孕んだ何かであることがざらだ。

いつの間にか血の気が引くほどに硬く結んでしまっていた手を解き、端末から通信を入れる。

この状況を任せられる人物は彼女しか思いつかなかった。

 彼女は直属の部下ではないが、この情報部が出来る前からの付き合いだ。

まだまだ若いが、見かけに反してこの情報部の幹部の一員である彼女の調査能力を超えるものはそうはいないだろう。

最近は話をしていないが、エイジス内で姿を見かけることはある。

最近は主だったトラブルはなく彼女が直々に動くような要件はなかったはずだが、接続に時間がかかっているところを見ると船外へ出ているようだ。

そんな推測をしているうちに通信が繋がったことを知らせる独特のノイズが聞こえる。


「情報部総代レミングです。少し急な話ではありますが、長期に渡る惑星調査が決まりました。あなたを筆頭に情報部で今動ける調査員および部外で実力のある調査員で1ユニット構成してそのメンバーリストを送って下さい」


通信の相手は指示を聞くや否や質問を返す。


「失礼ですが総代。”実力のある”というのはどういった基準でしょうか」


彼女の冷たく事務的な口調は出会ったころから変わらない。

そこに少し安心するが同時に残念な気持ちにもなった。

自らが任される長期遠征の期間でも遠征先でもなく、厳密ではないそこを気にする完璧主義の彼女らしい返答だった。


「そうですね。あなたが調査隊のメンバーに引き抜いてよいと考える人……ではあまりに選考に時間がかかりすぎますから、極限状態訓練3種修了以上もしくはそれに匹敵する実績を持った方で、長期遠征も可能な人を数名で良いのでリストに挙げて下さい。情報部外での調査員に関しての交渉は私が行います。」


「わかりました。ただ今惑星コロキウスでの任務遂行中ですので、エイジスに帰り次第手を付けさせていただくことになりますが、よろしいでしょうか?総代が早急な対応を所望しているのではあれば、別の方に依頼されることを進言致しますが」


「いえ、これはあなたではないと安心して任せられない案件ですので。わかりました。部外のユニットメンバーの選定はこちらでしますので、部内の人の選定よろしくお願いしますね。ヒビキさん」


「了解しました。早急にこちらも対処できるよう尽力させていただきます。」


会話端末を切り、カップへ手を伸ばし窓へ向かう。


(惑星カルデでの大規模戦闘があって人手が足りないというのに立て続けに面倒事が起きるとはツイていない。あの方々があちらに手一杯なのが幸いといったところでしょうか)


コーヒーで乾いた口を潤しながら、窓の外に浮かぶ星々を見つめる。

仕事続きの中の休息、暗い宇宙に浮かぶ仄かに明るい光は疲れた目を休ませてくれる。

三口目のコーヒーを楽しんだと思えばデスクに置いてある端末から連絡が入る。


「全く。本当に人使いの荒い組織ですね。開拓宇宙船団(ヴァリアント)というのは」


デスクにカップを置き、連絡内容を確認する。今日もまた自由に動ける時間はなさそうだ。



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