プロローグ
テレビから小さい音が聞こえる。
「ここで速報です。先ほど野川首相が、論戦軍という組織を設立することを発表しました。今年は例年と比べ、殺傷事件数が多く、その殺傷事件に対抗する方法として提案されたものらしく、まだ細部まではわからず、暴力を禁止するという事だけ発表されております。では、天気よほ……」ここでテレビの電源が切られた。男はリモコンを机に置くと、不気味な笑みを浮かべた。
「ったく、この安全回路は、いったいいつまで着けてなきゃいけないんだ。」コンビニのレジで青年が一人呟いた。すると、年配の男が、「シッ!誰かに聞こえたらどうする!。」と叱る。
論戦軍が設置されたから7年。最初はすぐ破綻すると思われた政策だったが、以外と続いている。論戦軍、通称アタケイ。それは、どんな人間であろうと、ぐうの音も出ないほどに、論破できる今の日本社会では最強の集団。だからと言って弱いわけではなく、格闘、銃の扱いにおいても右に出るものはいないという。まさに無敵集団。知と勇両方兼ね備えた、彼らが開発した安全回路はGPSが搭載されていて、戸籍のある人間全員につけられ、暴力行為をしたり取り外そうとしたりすると、所有者の腕に食い込み、論戦軍本部に通知を送る。そこで論戦軍が出動し、所有者を始末する、という周りくどい事を7年前から日本は続け、外国も、真似し始めた。ここから物語は始まる。
お読みいただきありがとうございます。
また、ペースは遅いですが投稿していくのでこれからも読んで下さったら幸いです。