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プロローグ


夕焼けが照らす街を一人の少女が走る。

友達と遊んでいたら門限ギリギリになってしまったのだ。

誰にでもあるそんな理由だ。


少女が家に着き扉を開けると家の中にはいつもと違う空気が流れていた。

それと、今まで嗅いだことのないほどの生臭い匂いがした。

家に足を踏み入れるとピチャッと液体を踏んだ音がした。

足元に目をやると、赤い液体が床一面に広がっていた。

有り得ない光景と鼻を刺す匂いに目を逸らすと、人が2人血を流して倒れていた。

顔を見なくても分かる。

否、分かりたくも無いのだが。

「お父さんっ!お母さんっ!」

少女は冷たくなった両親を揺さぶるが反応は無い。

死んでいるからだ。

「どうして?どうしてっ!?」

少女は泣き崩れ服が血で汚れることなど気にせず座り込む。


ガタッと部屋の奥から物音がした。

それと同時に身体から血の気が引くのを感じる。

まだ家族を殺した犯人がいるのか?

それならば自分の目で確かめたい。

勇気を振り絞り部屋の奥へ進む、部屋は黒く染まっていた。

元は清潔で、真っ白な部屋だったはずだ。

少女は本能的に身の危険を感じ、後退る。

が、後から先ほどまで居なかった他の人物の気配を感じる。

そして濃い血の匂いがする。

見なくても分かる、こいつが犯人だと。

心を決め、振り向くと、



そこには人と呼べない様な黒い影の様なゆらゆら揺れる怪物が居た。

口はありえない程裂け、周りには血が付いていた。

そしてギョロッとした双眼から感じる視線はけして優しいものではない。

少女は察した、殺されるのだと。

黒い怪物が一歩、また一歩と近づいてくる。

それに合わせて後退る。

だが、すぐに追い詰められてしまう。

怪物が人間の頭など一口で食べられる程大きく口を開ける。

少女は目をつむった。

終わるのだ…




何秒か経つと、

怪物の悲鳴の様な声が聞こえ、血が飛び散る。

その血は少女のものでは無い。


怪物のものだった。


少女は目を開ける。

そして目の前に広がる光景に口を開く。


そこには自分より少し年上の少年が立っていた。

天使と言う言葉すら生ぬるい。

そんな見た目とは打って変わってその体は血で濡れている。

「大丈夫…?」

天使の様な少年は優しく声をかける。

その声もまた美しい。

緊張が解け少女はその場に崩れ落ち、そのまま眠りについてしまった。

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