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018.アリスト・テレスの暴走!!

 最大級の暴力的な力と力のぶつかり合い。

 龍人化した俺と、銘付き人形(フラワーズ)の力を解放した春菊との戦闘で村が壊滅・・・・・・。





 って、事にはならなかった。

 『春花』さんの名前と『お仕置き』と言うキーワードで、春菊のトラウマが発動して、『暗いのヤダよぉ~、狭いのヤダよぉ~、怖いのヤダよぉ~』と呟きながら大人しくなった。


 俺は、春花さんが日常的にやってたお仕置きのように、合法的にパンツを脱がしてお尻を叩く予定だったのに、残念だ。

 一応、自分の人形(ドール)になるから、パンツを脱がせても、法に触れる事なんて、微塵も欠片も無い。


 と言うか、春菊の呟きから察するに、どうも、俺には見せていない春花さんのお仕置きがあったらしい。

 そう言えば、春菊の家に春菊がスッポリ入る大きさの壷があったな・・・子供じゃ持ち上げられないくらいの重そうな蓋がセットになったヤツが・・・。


 そして、春菊は、元のポンコツ・・・春菊の記憶と感情を持ったポンコツ人形(ドール)になった。




 ひよこが春菊を介抱しているうちに、俺たちの前に追加でひとりの中年のガッチリムッチリした兵士が現れた。

 俺と春菊とのゴタゴタが始まった直後にはここに来ていて様子を見ていた兵士だ。

 俺の腰回りと同じくらいの腕の太さをしている。

 これだけガチムチしてると、兵士ではなく冒険者をやっている人間が多いんだが・・・。

 強くて、貴族とかでなければ、兵士ではなく、冒険者の方が実入りが良いと良いという理由だ。

 でも、そんなヤツが兵士の格好をしているという事は・・・。

 いや、そんな詮索は今は必要が無い。


 アフロなヘアーのヤツと何やら親しげに話してから、こっちに近付いて来た。

 俺の装備とデザインが一緒で色違いの白と赤の古いタイプのフルフラット王国の軍の装備を着ている。

 金色の糸を使った刺繍がしてある手間暇のかかっているバージョンだ。

 そして、儂が作った銘無し人形(ノーネーム)を連れている。

 髪の色が若干赤みがかっているが、今の俺に近い姿と装備をしているヤツだ。

 これと同じデザイン、同じコンセプトで色違いを3体作っている。

 桜たちを作る前のタイプで人形遣い契約(ペアリング)が必要なヤツで、フルフラット王国所属の高ランクの冒険者に頼まれて作った人形(ドール)だ。

 素材にこだわり人形(ドール)でハイエルフを再現している。

 当時のアシスタント、春菊・夏秋冬(はるな)、儂は『四季』と呼んでいた。

 『春夏秋冬』と名前に大和の文字でそれぞれの季節の文字が全て入っていたからな。

 フルフラット王国の観光スポット『彩花さいかの村』や大陸最大の農業都市『彩花さいかの国』の食材の大ブームで、『四季』が産まれるちょっと前から、大和の国風の名前の付け方が流行りだした。

 『四季』もその中のひとりだ。

 その『四季』と一緒にあーでも無いこーでも無いと、試行錯誤した人形(ドール)だ。

 忘れるはずが無い。

 俺のご先祖さんに性別と髪の色以外はそっくりだしな。


 この兵士、人形(ドール)コントローラーを使っていないって事は、人形遣い(ドールマスター)のスキルが使えるって事か・・・。

 雰囲気やそのあたりから察するに、ここに来ていた兵士たちのかなり上の上官だろう。


「カーマ・フラットステータスさま、お初にお目にかかります。」


 上司っぽい兵士と人形(ドール)が跪いた。

 じっと、俺は、上司っぽい兵士を見る。

 年をとっているが、この顔、少し引っかかる事がある。

 見覚えがある顔だ。

 兵士たちのかなり上の上官と言えばかなり上の上官なんだが・・・。

 

「その人形(ドール)は見覚えがある。あんた、アリスト・テレス・・・いや、アリスト・ラーマタン国王だろ。その人形(ドール)の製作依頼主とそっくりだしな。それに18年前のお城で開かれた俺の誕生パーティーで会っているよな? 確か俺が産まれた頃にフルフラット王国から派遣されていた婆さんの警護役の交代要員でフルフラット王国から来たんだよな。挨拶されたのと、慣れないドレスを着てすっころんでカレーを頭から被った桜を助けてくれたのは覚えてるぜ。あの後、カレー臭い桜に抱かれた時は、吹き出しそうでそっぽ向いちまったが・・・」


 思い当たる事があったのか、桜が真っ赤な顔をしている。


「それと15年前にこの村であった事はカウントしないのか?」


 この村が襲われていた時にもいた。

 正確には、来ただ。

 襲われて、ほぼ壊滅した時にやって来たんだ。

 そして、村に着いたとたん、このアリスト・ラーマタン国王は、ウェハハハハと気持ち悪い笑いをしていたゴールド・ビッグミディアムを後ろから刺した。


「アフロ仮面に聞いた時は、眉唾だったが、カーマ・ディーアイワイさまの記憶を受け継いでいて、その上、うちの大公さま、大公さまの妹君、白龍王、フラットステータス王家、シンデレラバースト家、そして、定かではないが異世界人の血を受け継いでいるのか・・・。マジでフルフラット王国の王家を継いでも問題ない血筋だなぁ」


 俺に聞こえるか聞こえないかのくらいの音量でそう呟いた。


「申し訳ございません。小さい頃にお目にかかったきりでしたので、わたくしの事など、お忘れになられていると思っておりました故、先ほどの挨拶になりました。カーマ・フラットステータスさま、ご無沙汰しております。わたくしは、フルフラット王国元近衛兵、アリスト・カーマタンと申します。15年前、わたくしの不手際で、ゴールド・ビッグミディアムを倒し、この国にクーデターを成功させてしまい。そのまま、フルフラット王国の命により、この国の王を務めさせていただいておりました」


 サラッと、挨拶に混ぜて、とんでもない重要な事を言ってるぞ。

 今は落ち着いてきているが、いや、水面下までは情報が無くて分からないが、ちょっと前までは、群雄割拠の時代。

 強いモノが、領地を広げていた。

 その中で、不手際でクーデターを成功させるくらいの力があるという事。

 マーチ王国は、フルフラット王国の管理下にあった事。

 そして・・・。


「全てを投げ出してまで、元国王が、俺に何の用だ?」


 後は、自分自身の説明が全て過去形である事。

 俺のセリフにみんな・・・ほとんどのヤツらが驚いた。



 桜は・・・知っていたのか。



 アリスト・ラーマタンは、ほんの少し口元の表情が緩んだ。

 すぐに真剣な感じになり、正統派の素晴らしい土下座を披露した。

 これが、本場モノの土下座か・・・って魅入って感心してる場合じゃない。


「カーマ・フラットステータスさま。どうか、この国の王となり、私たちを配下にお願いいたします」


「カーマさま。お願いいたします」


 アリスト・ラーマタンに続いて、桜も土下座をして来た。

 状況が理解できないまま、兵士たちも土下座をした。


「フルフラット王国の人間だよな? なぜ、俺の下に付こうとする?」


「罪滅ぼしのためです。15年前の私の不手際・・・前々国王さまたちをお守りする事が出来ませんでした。ゴールド・ビッグミディアムのクーデターを許してしまいました。そして、この村の襲撃をも許し、カーマ・フラットステータスさまのご両親までもお救いする事が出来ませんでした。・・・本当に不甲斐ないです。ですから、残りの人生ををカーマ・フラットステータスさまのお側で、許されるのなら、この罪を償わせていただきたいです」


『ダウトです・・・嘘は言っていませんが・・・・・・うまく説明出来ません・・・』


 【四季】の声は、アリスト・ラーマタンには聞こえていない。

 ラーマふぉんのパーティー念話みたいなモノだからな。


 まぁ【四季】がアリスト・ラーマタンのセリフについて、ダメ出しをした事に、説明できないのは仕方がない。

 こればかりは、感覚的な事だからな。


「無理に丁寧な言葉を使わなくて良い。今の俺より、あんたの方が立場は上だからな。で、ほんとの理由はなんだ?」


 アリスト・ラーマタンのセリフにウルウルしていた桜が驚いた。

 人を疑う事を・・・いや、桜はそのままで良いか・・・。


「あんたの言葉は、嘘は言っていないが、全てを投げ出す理由としては、綺麗で軽いんだよ。上っ面だけの言葉だ。俺にしてみれば、俺を騙すためのセリフだ。そのセリフで答えをくれと言うのなら、答えはノーだ。だから、俺やしゅん・・・たんぽぽの両親の敵を取ってくれた事で充分だ。それについては、礼を言っておこうありがとう。これで良いか?」


 下を向いたアリスト・ラーマタン。

 手をギュッと握って、俺の方を見た。


「萌えちまったんだよ。あんたに・・・。オレのご先祖さんの様にな。家に伝わっている言葉のひとつに『男の娘の方がシチュエーションが萌える』ってのがあるんだが、今まで理解できなかったが、今のようなカーマ・フラットステータスさまの角、羽、尻尾が生えた姿を見たときにその言葉の意味が分かった。男のオレが、男に萌える事なんてねぇと思ってた。ご先祖さんが萌え込んだオレの国の大公さまは、オレも好きだ。尊敬も出来る。嫌いになる要素なんて0%だ。でも、萌えねぇ。家宝のこの人形(ドール)のそっくりさんとしか思えねぇ。だが、あんたには萌えちまったんだ。オレの一生をかけても良いと思えるくらいにな。これが、嘘偽りのねぇ、オレの本心だ。だから、カーマ・フラットステータスさま。どうか、この国の王となり、私たちを配下にお願いいたします」


 拳を握り締めて熱く語るアリスト・ラーマタン。

 マジ引くわぁ~。


「国王、分かります。その気持ち、良く分かります。龍人っ娘、可愛いですよね」

「もう国王じゃねぇ。アリストと呼べ。同志よ」

「えっ、国王、いや、その、せめて、アリストさんで良いですか?」

「仕方が無いなぁ」

「アリストさん、角萌え~、羽萌え~、尻尾萌え~、龍人っ娘萌え~です。一生、ついて行きます」

「お前も、この萌えが分かるのか? よし、カーマ・フラットステータス国王の配下のオレについて来い」


 いや、何?

 この兵士たち全員の盛り上がりまくっている連帯感は?

 このノーと答えても、聞いて貰えそうも無い状況は?


 もしかしなくても詰んだ?



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