010.生きている人形(ドール)
大きな設定系の話はこれで終わった?
ひよこや、通常の人形と、たんぽぽはどちらとも異なる。
たんぽぽは、精霊に近い。
カーマ・ディーアイワイが作った5体の銘付き人形もそうだ。
生物の魂にはユニーク番号、重複しない番号が付与されている。
ユニーク番号をキーにした魂の基本情報が入った「魂のマスターテーブル』、そして、生きているモノをユニーク番号で管理する『生死情報データテーブル』があり、物理的な身体、または、それ準ずるモノとユニーク番号で紐付けされている。
この状態が、生きていると判断されていて、魂と心が宿った状態になる。
また、精霊などの様に、物理的な身体が無い状態でも、魂で思考する事が出来る。
死ぬとタイムラグがあるが『生死情報データテーブル』から該当するユニーク番号が削除される。
このタイムラグと削除前にユニーク番号と紐付けされた物理的な身体、または、それ準ずるモノを削除しても大丈夫かをチェックしにいく安全装置を利用したのが人形に心を持たせる仕組みである。
死んだ直後に、生身の身体と人形を入れ替えるのである。
人格データは、物理的な身体から、魂の情報をデータ化したもので、このデータ化自体は、偶然の発見で出来るようになった。
たんぽぽやカーマ・ディーアイワイが作った5体の銘付き人形は、人形であるが、この世界的には生きている状態なのである。
ひよこの場合は、生きても死んでもいない。
ただの人形であり、銘付き人形用プログラムと人格データを使って思考が出来るようにしてあるだけである。
人格データは、銘付き人形用プログラムのデータで個性的な思考が出来るようにするモノで、魂のデータ化したモノを変換して作成されている。
記憶データは無く、この世界で暮らしていくための必要最低限の情報が入っているだけである。
銘付き人形ではないが、【四季】も銘付き人形用プログラムの元になったプログラムと人格データを使って動作している。
たんぽぽを作った時、正確には、たんぽぽの魂がデータ化されて、今の身体に移された時は、【四季】がカーマの管理下になかった。
管理者権限が無いと【四季】が動かない事はカーマも理解していたが、血まみれのたんぽぽを抱きながら、カーマは【四季】の情に訴えるように懇願し、懇願された【四季】が、気まぐれで、たんぽぽの魂の移植を手伝ったのだ。
たんぽぽの魂の移植後、カーマの事を覚えている気配が無かったので、たんぽぽの記憶データの移植は失敗したと判断した。
管理者権限の無い状態での作業だったので、魂の移植が成功しただけでも奇跡的である。
でも、カーマは記憶データの移植に失敗した事にホッともしていた。
自分の両親が殺されるところや自分が死ぬ記憶を残しておくのも可哀想だと思ったからだ。
これは、カーマ視点であって、【四季】視点ではない。
【四季】は、カーマの魂のデータ化をしてチェックをし、カーマの正体に気付いて、たんぽぽの魂の移植を手伝ったのだ。
手伝うにしても、命令者は、魂の情報や、記憶を照合して、ほぼ同一人物だと判断できても、実際には管理者権限がないカーマだ。
権限を誤魔化しつつ、出来る限り通常の作業を行った。
でも、たんぽぽの記憶のだけは、封印しておいた。
記憶と身体が一致しないし、3歳児には、重すぎる記憶だったからだ。
兵士や人形に両親を殺されたり、自分も死にそうな目にあっている。
他の5体の銘付き人形とは違って、本人の意志を確認せずに人形にされてもいる。
だから、代わりに【四季】が人間だった頃の、生きている頃の、カーマ・ディーアイワイさまの助手だった頃の、【四季】の本体を作るのを手伝っていた頃の記憶を使って、偽の記憶データを作成しコピーした。
そして、ほぼ、間違いなく作業が出来た。
最終工程の魔力注入以外は・・・。
でも、それについてはフォローしてあった、パワー封印以外にも、専用プログラムを組み込むことによって・・・。
「ひよこは、何しますっです?」
人形は、継続的に命令を与えないと、命令待ちの状態になる。
銘付き人形と他の人形の大きな違いは、思考できるかどうかである。
この違いは、人形を操るときに実感できる。
人形が非常に高価だったため、触る事の出来る人間も限られていたし、人形に命令できる人間は、人形との魔力経路を作れる人間だけであった。
その中で、実戦レベルで、視覚リンクが出来る人間、マルチタスクで思考が出来る人間を探さなくてはいけなかった。
結果的に、人形遣いにしか扱えなかった。
いや、扱えた人間が人形遣いと呼ばれた。
それを変えたのが人形コントローラーである。
擬似知能に強制的に命令を与えるアイテムである。
これは、銘付き人形も例外ではなく、全ての人形が対象になる。
このアイテムのせいで、何人の命が亡くなったことか・・・。
「えっと、ひよこには、村長のところに行って、普通の人形のマネかな?」
「普通の人形っです?」
「ああ、銘付き人形とバレると厄介だからな」
『肯定です・・・でも、それなら、なぜ、【四季】への接続許可を出したのですか?・・・』
【四季】のセリフについて、少し考える。
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
そうだ。
【四季】への、新規接続イコール、新しい銘付き人形の完成。
銘付き人形にとっては、妹が出来るって事だ。
妹だって断言出来るのは、弟の可能性はゼロだからだ。
男の人形なんて、作りたいか?
俺はイヤだ。
理想の貧乳を追い求めているだけなんだ。
男の胸なんて、いくら金を積まれたって・・・いや、今なら、ちょっと多目に積んで貰えれば、作っちゃうかも・・・。
いや、それは、今、考える事じゃない。
いくら人形とは言え、いつの間にか妹が出来ていましたじゃ、可哀想と言う事で、銘付き人形には、新しい妹が出来た事が【四季】から連絡がいくようになってたんだ。
「そんな事、すっかり、忘れてたわ・・・でも、連絡が行ったとしても、さすがに、こんなとこには、こねぇ・・・だろ?」
『否定です・・・桜が兵隊を連れて、真っ直ぐこちらに向かって来ています・・・』
ゆっくりと現実逃避する前に、【四季】が現実を突き付けて来やがった。
この国の守護神の桜が動いたんだ、普通に考えれば、人形コントローラーで命令されて、ひよこの確保だろう。
俺もこの国で生活してきたんだ。
桜の活躍は、当然、見聞きしている。
今の国王になってからも、国の平和のためだとは言え、桜は手を汚している。
俺が知っている優しい桜とは、全く違う。
きっと人形コントローラーで、操られていたんだろう。
そんな桜が、ここにやってくる。
それも、兵隊を連れてか・・・。
やっぱり、軍用人形も連れてきてるんだろう。
そして、それプラス桜か・・・ひよこでは、桜の相手はキツいだろうし、たんぽぽは・・・。
「ひよこさんのお肌、プニプニして気持ち良いですぅ」
何やってんだ?
このポンコツは!?
羨まけしからん!
シーツの下から、ひよこの胸に頬ずりしてやがる。
それは、俺の貧乳だ!
何、勝手にそんな・・・。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
『マスター・・・桜が来たみたいです・・・どうしますか?・・・』
桜さん、来るの早いよ。
毎日、原稿は書いてはいるんです。
話として完成しないだけで・・・。




