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第13話 絶滅危惧種(1)

 ともかくも、緊急事態なのは間違いないので、ベアは駆け込んできたチームに査定所の留守番を頼んでトーコを連れてギルドへ転移した。行ってみると、ギルドは既に大騒ぎだった。

 「湿地にも出たのか!」

 ベアの顔なじみのギルド職員はうめいた。

 「他にも出たのか?」

 「今、戻ってきた狩人のチームが森を抜けた先の、中央高原地帯手前の草地上空で旋回していたのを見たそうだ。予定を切り上げて急いで知らせに戻ってくれたんだ」

 「ということは、そちらは二日か三日前か」

 「三日前だ」

 「俺たちは一時間ほど前だ。トーコが探査魔法で見つけた。ほぼ同時刻に近くで巨鳥を襲うのを目撃していたチームもいる。同じ竜かな」

 「こうなった以上は同じであってくれなきゃ困る。二頭もいてたまるか」

 ベアもまったく同感だが、決めつけられる理由はない。

 「これでまた入域制限をかけるような羽目になったら、ギルドの赤字がしゃれにならない」

 「制限をかけるかどうかはともかく、自主的に撤退するギルド構成員は出るだろうな。とにかく、湿地の渡り鳥猟のほうは、予定通り明日で終わりにするしかない。皆バラバラに動いているから、気がつかないでまだ猟をしている連中がいるはずだ」

 「そちらは頼む。これじゃ今日明日は猟どころじゃなくなるな。渡り鳥の違約金は痛いな」

 「一日二日遅れてよければ、そちらは俺のほうでなんとかしよう」

 「本当かい? 助かるよ」

 「ついでに角ウサギの依頼もいくらでも請けるぞ」

 「あー、あれは悪かったよ」

 角ウサギの処分を押し付けた前科持ちのギルド職員は頭をかいた。

 「今日はこれで戻るが、渡り鳥の納品もあるから明日の昼に一度顔を出す。とりあえずそれでいいか」

 「そうしてくれ」

 「国境警備隊へは連絡済みか? 正式に使いを出す前に国境警備隊の知り合いに耳打ちしておくか?」

 「この間の連絡将校か? 頼んでいいか」

 「ああ」

 トーコは話を切り上げようとする職員の袖を掴んだ。

 「あのっ、この人たち、最初のうちは査定所に顔を出していたんだけど、先に戻っていたり、途中から違うところへ行くって申請していなかったか知りたいんだけど」

 勝手に申請台帳を見てくれとのことなので、ベアがハルトマンを訪ねる間、トーコはカウンターの中に入った。途中で抜けて他へ行く予定だったのが四チームあった。それ以外は特になんとも書かれておらず、戻ってもいない。途中で人の多さに嫌気がして予定を変えたのかもしれないし、魔物に襲われたのかもしれない。

 それ以上、トーコにはどうしようもないので、ハルトマンに耳打ちしてきたベアと湿地に戻る。ギルドで得た情報を湿地で渡り鳥を狩っている人たちと共有して今日明日はなるべく血の臭いをさせない、火も最小限にして空から見えないようにするなどでベテランたちの意見が一致した。

 翌最終日も罠の撤去・回収を早々に終えて、みんな査定所に寄り集まってひそひそ話していた。ベアとトーコのプライベートスペースを開放しても全員は収容しきれない。どうやらここが安全だと思われたらしい。

 勝手に戦力として期待されているらしいのを察してトーコはお腹が痛くなってきた。もしあの魔力の塊のような魔物に襲われたらどうしたらいいのだろう。飛竜の時のことがあるので、今度は間違えず障壁魔法に時間凍結魔法をかけて防御するとしても簡単に諦めてくれればいいのだけれど。

 最終日はほとんど狩りにならなかった。トーコは査定ではなく、休憩スペースの拡張と、戻ってきた人、戻ってきていないの確認に追われた。

 とにもかくにも寝転がる場所がありさえすればいい、というわけで、そこらじゅうにいくらでも生えている葦を敷いてコーティングした床と短い壁、空からの視界をさえぎる屋根を確保する。人が集まれば問題も発生するので、トイレを作ったり、合同で炊き出しをしてもらったりする。ギルドで借りた大きな鍋が役に立った。

 危険なのは空だというわけで、ベテランたちが相談して交代で見張りを立てて警戒する。これだけ人数がいると幻惑魔法もたいした効果は望めない。


 皆が早朝ユナグールに発ったあと、ベアとトーコは東へ向かって湿地を移動した。ボードに乗っての移動にベアは難色を示したが、これが一番魔力を消費しない。

 「ゆっくり移動しろ。ひとの取りこぼしがないかも確認する」

 今朝の出発に間にあわないひとに向けて、査定所には「お昼までに戻ります、ギルドからの連絡事項がありますので、待っていてください」と張り紙をして出てきた。

 ベアとトーコの目的は、遅刻したひとの回収と、竜がまた現れるかどうかの確認、そして足りない水鳥の確保だ。今回の査定対象四種類のうち、足りないのはワタリヌマガモとヌマガモだ。ヌマガモはワタリヌマガモで代用できるかも、ということなので、目標はワタリヌマガモに絞ってある。

 ワタリヌマガモはとにかく大群で渡りをするので、ボードで近づき、逃げられてもそのまま隠形して待っているとすぐに再び舞い降りてくる。規定重量以上のオスを選んで一斉に倒して群れが飛び去ったらすばやく回収する。

 場所を移動しながら狩りを続けたが、空には巨大な飛行型の魔物は、鳥もトカゲも現れなかった。トーコは対人探査魔法も広範囲に広げたが、別口でワタリヌマガモを獲りに来ていたチームがひとつあっただけだった。が、こちらはある意味でトーコが探していた人物でもあった。

 「げ、角ウサギの」

 「失礼しちゃう」

 顔をひきつらせる火魔法使いに、トーコは唇を尖らせた。ベアは話がこじれる前にすばやく前へ出て要点を伝えた。

 「角ウサギのことは今は忘れていい。ギルドからの連絡事項がある。竜が出た。五日前に森と中央高原地帯に挟まれた草地で、二日前にユナグール寄りの湿地で目撃されている。ワタリヌマガモの解禁猟に来た連中は今朝ユナグールへ戻ったが、俺たちは取り残しの確認と、まだ知らない奴への警告だ」

 「竜、ねえ。本当にいるんだ」

 火魔法使いは首をひねった。彼のチームのリーダーはベアと詳しい情報交換を始めた。トーコはチームを眺めた。チームには魔法使いは火魔法の彼ひとり、槍使いがふたりに弓使いがひとりの計四人のチームだ。

 「ねえ、どうやってワタリヌマガモを捕まえてるの? 黒焦げにならない?」

 「俺が火しか使えないと思ってないか? 風で捕まえるに決まっているだろう」

 「ひき肉にならない?」

 「物騒な奴だな。ワタリヌマガモが飛びやすいように気流を整えて誘導したら、罠で一網打尽」

 「凄い!」

 パワー派かと思いきや、意外に器用な魔法を使う。

 「意外ってなんだ、意外って」

 トーコが素直な感想を漏らすと、火魔法使いは再度顔をひきつらせた。

 「俺を脳筋だと思ってるな」

 「違うの?」

 「違う! 角ウサギ用の火魔法だって単純な火だけじゃなくて、風の魔法を合わせているからあれだけの威力になるんだ。火魔法だけであの火力を出そうと思ったら、いくら魔力があっても足りんわ!」

 「え、そうなの?」

 「お前だって焚き火するときに、火に風を送るだろう? それと同じ」

 トーコは情けない顔になった。

 「焚き火作るの苦手」

 「火をつけるのが? 風を送るのが?」

 「どっちも。でも、風の魔法ならちょびっと使える。そっか、火を熾すときに風の魔法を使えばいいのか。今度試してみよう。でも、切らない風魔法って……?」

 「なんで風を起こせないのに、物を切れるような威力の風魔法ができるんだよ。めちゃくちゃだな、お前」

 首をひねるトーコに火魔法使いはあきれた。

 「風魔法を教えてやるから、お前のその魔法も教えろ」

 「これ? 障壁魔法で足場を作って移動魔法で押しているだけだよ」

 「あーやっぱり移動魔法かあ。水の上で動けるのはいいと思ったんだけどな」

 「最初はゲルニーク塩沼で練習すると、浮力が高くて水草なんかもないからいいよ」

 「先月行って来たばっかりだぜ。来年まで行きたくないね。水草の少ないところでやればいいか。障壁魔法はどうやってるんだ」

 トーコはボードに水をかけて形を見せた。

 「別に障壁魔法じゃなくて、普通に木の板を削って作ってもいいよ。というより、そっちが普通。本当は海で波に乗って遊ぶものなの。おっかなびっくりやるより、思い切ってスピードを出したほうが、安定するよ」

 火魔法使いは最初バランスを取るのに苦労していたが、あたりの水草を焼き払って機動性を確保すると、次第にまっすぐだけじゃなく、緩いカーブを曲がれるようになった。

 「おーい、そこの犬ころ二匹! そろそろ行くぞ!」

 岸辺ではベアと、火魔法使いの仲間が呆れた顔をしている。

 彼らと別れて、ベアとトーコはいったん査定所へ戻った。誰も立寄った形跡はなく、トーコはむなしく張り紙を回収した。

 「昼飯にするか。その後でギルドに鳥を届けたら、ロウボクを見に行こう」

 「わたしも、ずっと気になってたの!」

 草原で見つけたロウボクの実にクリのイガで傷をつけて回ったのはもう一週間以上も前だ。そろそろ蝋を採集できるはずだった。

 多かったり少なかったりするものの、ロウボクの実はちゃんと綺麗な淡紅色の蝋を分泌してくれていた。満遍なく蝋が果実を覆っているのはベアがやったもの。トーコがやったのは、一部しか蝋がなかったり、深く傷つけすぎて実が腐り落ちてしまったりと出来がばらばらだ。それでも全部お湯につけて蝋を落とすと言うので、ある程度蝋を出してくれた実は全て収穫する。空に気を配りながらの作業だが、いたって平和だった。

 異変を見つけたのは四本目のロウボクのもとへ転移した時だった。

 「なにこの臭い。こげ臭い?」

 「南の方だな」

 ふたりはロウボクを後回しにして風上へ向った。そこにあったのは焼け焦げた地表があらわになった草原とまだ煙をあげている数本の木だった。

 「火事?」

 ベアはゆっくりと焦げた大地を歩いた。じんわりと熱が残っている。ふたりはどちらともなく消臭魔法や幻惑魔法をかけなおした。

 「ヨツキバオオイノシシの足跡だ。だが、なぜここだけ足跡があるんだ。おそらく向うからかけてきて、ここで倒れたようだが」

 「……その前は草があって、足跡が残らなかったから?」

 ふたりはヨツキバイノシシのかかとの方向に歩いた。

 「火は上からだいたいこの角度で噴射したようだな」

 ベアが燃え残った草と潅木、こげた岩を見て言った。

 「それでここを中心に燃え広がった……」

 「竜なの?」

 「そう考えるのが妥当だろう。火魔法使いの彼がここでヨツキバイノシシを狩ったのでない限り」

 「毛皮が台無しになるから違うと思う」

 そのまま歩くと、何箇所かで同じような跡があった。ヨツキバイノシシは竜の爪を少なくとも一度、炎は二度かわしたものの三度目は回避できずに倒れたようだ。

 「竜って狩りが下手なの? それともこういうもの?」

 「知らん。が、食欲があるのは確からしいな。ギルドへ報告したら、念のため水を撒きに戻るぞ。火種が残っていたら草原が大火事になる」

 報告の結果、ギルド長と職員を現場に案内し、その後で今度は国境警備隊と町議会のお偉いさんを案内することになった。こんな状況下で安全は保障しかねるので、それだけはベアがギルドから言質をとっていた。

 トーコもめったにない強い口調で約束させられた。絶対にベアの傍を離れない。万が一の事があれば、彼らを見捨ててでも安全な場所に転移する。

 誰も長居しなかった。もしもこの危険な魔物がユナグールに気がついて獲物を漁りに来たら……。

 ユナグールの強固な城壁も空を飛ぶ相手には無力だ。今のところ竜は巨鳥ダイコクチョウやヨツキバオオイノシシのような大きな獲物を狙っているが、人間を狙わない保障はない。

 そして問題の竜が一頭とも限らないのだ。何しろ目撃された場所、痕跡のある場所が離れている。竜にとっては通常の行動範囲なのかもしれないが、誰も竜のことなど知らないのだから判断のしようがない。

 これはさすがに町ひとつの手に余る。ギルドは他都市のギルドに警告といざとなったら助力を請う使いを出し、町は州行政へ使いを出し、国境警備隊は周辺の軍や公都へ使いを出す。合同の対策本部が設けられた時には、町の治安に責任のある三組織がすでにそれぞれ勝手に動いてしまっているのが、狼狽の表れだろう。

 ユナグールには魔の領域の動植物や鉱石などの研究をしている研究者たちもいる。彼らにも召集がかかり、神殿や図書館にも古い資料の調査が依頼された。

 ユナグールはにわかに緊迫した。

 ギルドは全力をあげて竜の捜索、国境警備隊は町の警邏を縮小して城壁から魔の領域の監視を強化、町議会は町の西側への住民の避難準備と国境警備隊が縮小した警邏を補う住民による自治警備隊の組織。

 ギルドの入域管理は厳しくなった。万が一消息を絶ったチームがあったら、そこで竜に遭遇した可能性が高いとみなせるようにである。なにしろ竜の出現範囲が広いので、もうどこかに行ってしまった可能性も含めてどこにいるか見当もつかないのだ。

 相手が火竜だということはほぼ確定できたので、ベアとトーコは火傷に効く油を採れる木の実や薬草を中心に採集したが、時期的なこともあってあまりはかばかしい成果はない。

 「竜ってどんな魔物なの?」

 「知らん。この<深い森>で見たという記録があるかどうかも分からん。昔語りで聞いた知識くらいしかない」

 「滅多に出ないの?」

 「飛竜より珍しいのは確かだ。物語には良く出てくるが、魔の領域にどの程度棲息しているのかも分からん」

 「えーと絶滅危惧種? 今分かるのは、竜は羽があって、空が飛べて、火を噴いて、多分魔法は通じないってことくらいだよね。トカゲみたいなんだから、寒くなったら活動できなくなるとかないのかな」

 「そこに期待したいところだ。動けないからといって倒せるとも限らんが」

 ベアが突然言葉を切った。トーコの腕を強く掴み、潅木の陰に押しこんだ。トーコは尻もちをつきながら身を縮めた。ベアを伺うと、鋭い視線を潅木の隙間から遠くへ投げている。それを追って、トーコは北西の空に何かの影を認めた。

 ベアの視力はトーコよりもはるかに良い。トーコにはぼやっとした影にしか見えないが、この距離でベアが巨鳥相手にここまで警戒したことはない。

 トーコはベアのローブをぎゅっと掴んでへばりついた。この距離で見つかるとは思わないけれど、いざという時にはすぐ転移できるよう、ヘーゲル家の子ども部屋を思い浮かべる。

 それなのに、ベアはとんでもないことを言い出した。

 「追うぞ」

 「うそお……」

 「あれの近くへ転移できるか?」

 トーコは両眉の端を情けなく下げた。

 「行きたくない、って言ったら?」

 「先に戻ってギルドに知らせろ」

 それって、ベアは残って追いかけるって事? ここではぐれてベアがどう移動するのかも分からないんじゃ、合流できるのは下手したら一週間以上先だ。第一、万が一竜に襲われることがあったら、ベアには逃げる手段がない。

 「……安全な距離をとって飛ぶよ」

 「ああ」

 トーコは用心深く転移した。いつもなら地面との距離に充分な余裕を持って転移するのだが、今回は細く長く伸ばした探査魔法の届く範囲ぎりぎりの地面に着地する。トーコの目にも飛んでいるのが鳥などではないことが分かった。

 「このまままっすぐ飛べばユナグールだ」

 トーコは青くなった。ユナグールにはヘーゲル医師やバベッテがいる。知らせに行きたいが、絶対にこの竜を見失うことはできない。かといって、ベアだけでもトーコだけでも、追跡も避難も困難だ。ふたりとも戻るのは論外だ。今は飛んでいるから遠くからでも追えるが、どこかに降り立ったらたちまち居所がわからなくなる。

 「ベアさん、手紙を書こう。それを転移魔法でヘーゲル医師の家とギルドの真上に落とすの。とにかく知らせないわけにはいかないよね?」

 「そうしよう。ヘーゲル医師の家に誰かいてくれればいいんだが。ギルドのほうは中に落とせるか?」

 「失敗しない自信がないから、ギルドの真上に落とそう。たぶんそのまま道に落ちるはず。オオグルミをいっぱいつけて音が鳴るようにしたらどうかな?」

 「イタズラだと思われないように、俺のギルド証をつけて落とせ。少なくともギルド証はギルドへ届けられるはずだ」

 「わたしのをつけるよ。悪用されても被害が少ないもの」

 充分な距離があると分かっていてもひそひそ声になってしまう。

 ベアの伝言をトーコが書き写し、シズクマメの蔦でベアが編んでいた網に手紙とギルド証、オオグルミの実を入れて投下する。ヘーゲル家の子ども部屋にも手紙とオオグルミの実を落とす。家に誰かがいてくれることを祈るしかない。

 その後、二回の転移を繰り返してベアとトーコは竜を追った。かなりのスピードで移動している。

 森と中央高山地帯の隙間あたりを飛行していた竜がふいに方向を変えた。一瞬ドキッとしたが、南から吹く上昇気流に乗って滑るように一気に高度を上げて尾根を越える。見失わないように、ベアとトーコも別の尾根を挟んで転移する。高山病になるような高度ではないが、空気が一気に冷たくなった。

 竜は尾根をなぞるようにユナグール方面へ向って飛び、やがて旋回しはじめた。見ているトーコの目が回りだした頃、やっと降りた。

 ベアとトーコは消臭と隠形魔法をかけなおし、更に臭いを漏らさないように巨大な障壁魔法を纏ってそっと近づく。と、ベアがトーコをつきとばすようにして伏せた。

 ベアの腕の下から空を見上げるとふたたび竜が飛び立ち、旋回していた。しばらくすると舞い降り、そして火炎を吐いた。直接見たわけではないが、炎の輝きが落ち始めた夕暮れを一瞬押し返す。

 火を吐く、ということは火竜でいいのだろう。草原でヨツキバオオイノシシを襲ったはずの火竜は何度も旋回と降下を繰り返し、そのたびに火を吹いた。探査魔法を向けると気がつかれかねないので、じりじりと近づいて直接覗き見るしかない。ベアはかなり遠回りして傾斜の険しい尾根を選んで竜の様子を伺った。

 以前トーコもサンサネズを採りに来たことのある場所だったが、樹々は無残に焼かれ、石ころだらけの大地は火竜のしわざか、すり鉢状に削られ、あちこちから焦げたサンサネズの根や幹が覗いている。

 尾根に腹ばいになったベアとトーコはじっと火竜を見守った。二百メートルもないこの距離では会話することも躊躇われる。秋も終わりだと言うのに暖かい空気が流れてくる。火竜が何度も火を吹きかけたおかげで、すり鉢の底の石が赤く光っている。とんでもない火力だ。

 まさかこれが火竜の寝床なのだろうかと思っていると、底部でグルグル回って落ち着きなく足を踏み変えたり、火を吹きかけたりしていた火竜が、低いうなり声を長く発した。トーコは気づかれたのかと冷やっとしたが、火竜が尾をあげさげすると、なにかがポロリと転がり落ちた。あたりはすっかり暗くなっており、火竜の火に熱せられた石が放つ光に浮かび上がったのは、薄紅色の楕円のなにか。

 こ、これって!?

 トーコはベアを見たが、ベアも唖然としている。ふたりが見ている前でもうひとつ。

 火竜は雄たけびにも似た唸りを長くあげ、足と尾を器用に使ってふたつの卵をすり鉢の一番低いところに納めた。再び火を吐いたが、それは卵を直撃して柔らかく広がった。

 トーコはベアに強く腕を引かれて我に返った。そっと尾根を下り、充分離れたところで、ベアがかすれ声でささやいた。

 「障壁ごとギルドの上に飛べ。臭いを残すな」

 言われたとおりにトーコは転移した。ギルド上空、かなり高い位置で障壁魔法を解除する。充分な空気を確保するためにかなり大きな障壁にしていたのだが、新鮮な空気を美味しいと感じる。

 ギルドの屋根を掠めるように降り立った。そのままギルド前の階段にどちらともなく座り込んでしまう。トーコなど仰向けにひっくり返ってしまった。今になってどっと冷たい汗が吹き出てくる。ギルドから出てきた人がぎょっとしてよけていく。

 「あれ、卵だよね」

 「ああ」

 「メスだったんだね」

 「ああ」

 「竜の巣って大きいね」

 「ああ」

 「竜って子育てする?」

 「知らん」

 ふたりとも、動けるようになるまで暫くかかった。のろのろと立ち上がってギルドに入る。カウンターに行くと、中の何人かがぎょっとした顔をした。

 「ふたりとも無事だったか。トーコの手紙とギルド証は受け取ったよ。酷い顔だな」

 元狩人のギルド職員が大きく手を振った。ベアは前置き抜きで要点だけ伝えた。

 「竜を見つけた。火竜だ。中央高原地帯のユナグールから二番目のサンサネズの群生地で営巣していた」

 「火竜が営巣!?」

 ギルド職員が素っ頓狂な声を上げた。ギルドにいた人々がしん、と静まり返った。

 「さっき卵を産んだ。一時間前にひとつ、五十分前にもうひとつ。そこまで見届けて戻ってきた」

 「卵!?」

 「報告は以上だ」

 一瞬の沈黙のあと、怒涛のように皆が一斉に喋りだした。

 竜も卵を温めるのか? 卵は親が守るのか? 竜の卵は売れるのか? 親竜は仔竜のための狩りをするのか? 卵を撤去したら火竜は営巣を諦めるのか? 卵を産んだ竜は腹を空かせていないのか? 竜を倒すのにはどうしたらいいのか?

 とにかく皆わからない事だらけなのだ。

 「ベア、ギルド長に報告に行くからついてきてくれ」

 「いってらっしゃい」

 「なに他人事の顔をしている。ひとりよりふたりの証言だ」

 「ええーっ!」

 嫌な顔をするギルド長に同じ話を繰り返し、頭を抱える彼を置き去りに、ベアはその足でハルトマンを訪ねた。彼は珍しく国境警備隊本部の自分の机にいた。

 三度目の報告だが彼は前のふたりとは全く違う反応を示した。

 「その火竜は猪突猛進するヨツキバオオイノシシ相手に三度も狩りを失敗し、火山でもなんでもない中央高原地帯に巣を作ったと、こういうわけか。火竜は痩せていたか、太っていたか?」

 「ええっ!? そんなの初めて見るのに分からないよ」

 「じゃあ前に見た飛竜と比べてどうだ」

 トーコは瞬きした。両方のシルエットを思い浮かべる。

 「太ってはなかった。どっちかというとスマート。卵を産む前からだよ。だからあんなに大きな卵を二個も産んでびっくりしたもの」

 「だったらまだ望みはあるな」

 ベアは厳しい視線を考え込む風情のハルトマンに向けた。

 「まさか、倒す気か?」

 「他に選択肢があるか? 最低でも卵の撤去は絶対だ。一頭だって充分脅威なのに、三頭もなんて。ある種の魚や虫は卵を産むと死ぬが、たぶん竜は違う。俺もおとぎ話の類でしか知らないが、竜の卵盗人の話がいくつもある。たいてい親竜の目を盗んで卵を獲ってくる話だが、これが正しいとすれば、親竜は孵化するまでは卵を守る可能性が高い。問題はその間巣を空けることがあるのかどうかだが。鳥なんかだと、卵が孵るまで親が飲まず食わずで暖めたりするのもいる。爬虫類では珍しいと思うが」

 「ワニなんか、子育てするよね」

 「……ふたりとも博識だな。だが、そうするとどちらにしても問題だな。親が巣を離れなければ卵は撤去できない。親が巣を離れるとすれば産卵で消耗した体力を取り戻すための狩りしか考えられない」

 「食欲旺盛な竜がユナグールの人間を獲物だと認識したら……」

 自分で言っておきながらトーコはぞっとした。

 「考えるのも嫌になるな。こうなったら、親竜をひきつけるおとりと、その間に卵を盗む者とで連携するしかないな。魔の領域で片をつけないと、大きな魔法はぶっ放せないし」

 おとり、の一言でトーコは慌てて口を挟んだ。

 「わ、わたしは無理だからね! ゲルニーク塩沼は特殊な条件が揃っていたからあのスピードで動けたんだから! ここじゃ無理! 第一、飛竜よりも速かったよ! 幻惑魔法だって通じるか怪しいもん」

 「失敗してもしつこくヨツキバオオイノシシを追い回していたことからしても、持久戦は必須だ。しかもトーコの魔力を散らされたことからしても、相手の魔力に干渉できるのは確実。大威力の魔法が使えても発動できなければ意味がない。魔法使いの天敵だな」

 「かといって、物理的な攻撃手段に訴えようと思ったら、それこそ攻城兵器が必要になる。ユナグールの城壁で迎え撃つにしても、必ずしも砲台を設置した場所に来てくれるとは限らんし」

 下っ端同士で頭を寄せ合っていてもしかたがないので、ハルトマンは上官へ報告に、ベアとトーコは今のうちに休息をとっておくことにした。

 ところがすぐにギルドに呼び出された。依頼は火竜の監視役の送迎だった。

 下手に魔法を使って気づかれると危険なので、監視役の狩人を森の外れまで送り届け、翌日、また交代要員を運ぶ。魔物の鋭い嗅覚や視覚をごまかす術に長けた狩人たちは交代で一週間見張り続け、その間火竜は卵からは離れず、時折炎を吹きかけては暖めてつづけていた。

 そして火竜の卵撤去が決行された。ベアとトーコは直接関わらなかったので、詳細は不明だが、火竜は巣を離れ、その隙に卵は撤去されたという噂だった。

 それで火竜が深い森を去るかどうかまでは分からないので、中央高山地帯を西南北の森からと、東の草原から監視が続けられた。その他に、移動に備えて草原湿原地帯と草原地帯にも何組かが配置されている。ベアとトーコは一日二回、彼らの元を回って弁当の差し入れと報告の伝言をする役目だ。

 これだけ転移を繰り返したことはなく、さしものトーコも二度目の巡回を終えてギルドに戻る前に魔力切をおこさないかベアは心配したのだが、当人はけろりとしている。

 卵を盗られた母竜は一昼夜鳴き続け、その声は森の中にいてさえ鼓膜を震わせるほどだった。

 「こんにちは。お茶とお弁当の配達だよ~」

 「どうだ、竜は。離れそうか?」

 「残念ながら、一向に。昨日ほど鳴いてはいないが、諦め悪く、ああやって時々巣の上を旋回している」

 望遠鏡を手に木から下りてきた狩人は仲間と交代で食事を摂りながら、疲れたように言った。鳴き声が煩くて眠れなかったそうだ。

 トーコは望遠鏡を借りて覗いてみた。さほど倍率はないが、竜の姿がくっきり見える。

 「あれ、どこいくの?」

 巣の上をぐるぐる回り続けていた火竜がふいに大きく軌道を変えた。視界を外れた竜を探してトーコは調整ねじに慌てて手を伸ばす。

 さっきまで監視していた狩人が横合いから望遠鏡をひったくって目にあてる。火竜は明らかに旋回域を広げ、力強く羽ばたき始めた。

 「諦めて去るか」

 全員が固唾を呑んで見守る中、旋回していた竜が緩やかに動きを止めた。舞い降りるのを察して全員でため息をつく。

 「まだ粘るかよ」

 「諦めてくれんものかね」

 「いや、違う」

 ベアが目を眇めた。

 火竜はホバリングしたまま鼻先を西へ向ける。力強く羽ばたき、滑空の姿勢をとった。全員の顔が一斉にこわばった。まさか、と口に出すまでもなく、火竜は迷いのない羽ばたきで一直線に西へ向かった。ユナグールのほうへ。

 「トーコ! 東門の城壁へ飛べ!」

 一呼吸おいて、ベアの視界が切り替わった。見下ろすと、東門の城壁の上、三メートルあたりだった。移動魔法を発動させながらトーコの手を離す。

 「ギルドから国境警備隊へ連絡! 火竜がまっすぐユナグールへ向かっている!」

 城壁の上の警備兵たちに緊張が走る。

 「俺はギルドへ連絡する。トーコは残って責任者に話せ!」

 「うん!」

 ベアはそのまま家々の屋根を掠めるように飛び、トーコはその背中を見送ることなく、城壁に降り立った。

 「中央高原地帯にいた火竜が急に西へ飛んだの! 人の足なら歩いて三日の距離だけど、あの速度ならあっという間のはずだよ! 責任者の人はどこ? ハルトマンさんはいないの!?」

 トーコは万が一に備えて巨大障壁魔法に時間凍結魔法を重ねて強固な障壁を作り、草原に置いた。空を飛ぶ相手なので、その障壁をどこへでも動かせるように、置き場は固定しない。

 火竜の体だけでなく、炎があたって拡散しても背後に被害が及ばないほど大きな障壁が必要だ。

 城壁の上が慌しくなり、兵士の往来が激しくなった。国境警備隊長だとかいう人に呼ばれたのでトーコは兵士に連れられて城壁の中へ入った。

 国境警備隊の本丸ともいえる城壁の中に入るのは初めてではないが、今日ほど緊迫しているのは見たことがない。案内されたのは会議室といった趣の小部屋で、隅に公国旗と隊旗が交差しているほかはギルドの本部と変わりない。室内には前に見たことのある国境警備隊長と、将校が幾人か集まっている。

 トーコは聞かれたことに素直に答えたが、火竜が突然ユナグールに向かった理由は分からない。卵泥棒の匂いを嗅ぎ当てたのか、単に産卵で消耗した体力を補うために餌がたくさんある場所を嗅ぎ当てたのか。

 町議会へは国境警備隊から連絡してもらえることになった。ベアも手配しているだろうが、二重になったほうが、どちらもしないよりいい。そこへ兵士が駆け込んできた。

 「竜です! 姿を確認しました! まっすぐこちらへ向かっています!」

 国境警備隊長は集まっていた将校たちを解散させ、自分は城壁へ向かった。トーコも誰にも何も言われないのをいい事に、ちゃっかりついていった。

 城壁の上では多数の兵士だけでなく、据え置き式の弩や、小型の投石機が並べられていた。町の内側の壁沿いには数は少ないものの、もっと大型の投石器まである。いずれも、ダイコクチョウやクロオチョウなどの巨鳥用の迎撃兵器だ。

 トーコは手庇で東を見つめた。森の上に浮かぶ黒い点は肉眼でもくっきりと見えた。背中を冷たい汗が流れた。速い。速すぎる。見る間に点は近づき、はばたきが見えた。

 「使える台だけでいい! 弾を乗せろ! 明かりを早くまわせ!」

 「投石用の石はまだか!」

 「東門を閉ざせ!」

 城壁では怒号が飛び交い、狭い空間を兵士が走っている。城壁の内側から滑車を使って重い石が運び上げられ、足の踏み場もない。

 火竜は瞬きするたびに大きくなり、今では形までよく見える。トーコは城壁の上の準備の進行と火竜をはらはらしながら見守った。ハルトマンを探査魔法で探すが、ハルトマンどころか、魔法使いなどひとりもいない。ギルドはまだなのだろうか。

 「お願いだから、早く来てよう~」

 すぐそばで壮年の将校ががなった。

 「まだ撃つな! 充分ひきつけてからだ! しっかり狙え!」

 運悪く近くにいたトーコには竜のほえ声と同じくらいの鼓膜へのダメージだ。頭をぐらぐらさせながら、そこを離れ、邪魔にならない上空へ行く。背後の投石器はまだ準備が終わっていないのでとりあえず考慮しないでいい。

 トーコは両耳を押さえて竜への第一撃を待った。が、合図するはずの将校は黙したままだ。

 「え、まだなの? 見えてるよね!?」

 トーコは両耳をしっかり蓋しながら火竜を見つめた。あっという間に森を抜け、草原へ入り……。

 「まだ!?」

 火竜は大きく口を開けた。

 「ええっ! まだなの!? 逃げたほうがーっ!!」

 「ってーっ!」

 風の音で耳がおかしくなりそうなほどの数の石と矢が飛ぶ。

 「ひゃあーっ!」

 トーコは思わずその場にしゃがみこんだ。空でなんの意味もないのだが、条件反射である。恐る恐る目をあけると、無数の攻撃を受けた火竜が空中でよろめいたところだった。こちらは間違いなく物理的なダメージを追っている。

 「次、装填!」

 がなり声が響き、トーコは仰天した。

 「ええっ! 今から!? 間に合わないよ!」

 火竜はこの数日ですっかりトーコにはおなじみとなったしぐさをした。大きく首をそらせ、頭が背中につくほどひねる。一瞬の静止。首の回転運動をそのまま火炎に伝えたかのような火柱の射出。

 「あわわわっ!」

 トーコは慌てて伏せてあった障壁を火竜のまん前に立てた。火は防げるが、火炎の勢いが強くて、障壁が吹き飛ばされそうになる。トーコは慌てて移動魔法にかかる魔力を追加投入して障壁を支えた。火炎は長く、尽きない。

 「ま、まだなのーっ!」

 じりじりと魔力が消耗していく。ただでさえ、今日は転移魔法であちこち飛び回って魔力を消耗しているのに、火竜と我慢比べなんてことになったらジリ貧である。やっと火竜が炎を吐ききった。

 「撃てーっ!」

 号令がかかり、トーコは慌てて障壁を上空へずらした。火竜は飛んでくるものを認めると、その場で器用に背中を向けて腹を守った。堅いうろこが数枚はがれて落ちていった。

 火竜が雄たけびをあげる。鼓膜ばかりか、皮膚までがびりびり震える。トーコは昔学校の体育館で聞いた和太鼓の演奏を思い出した。あのときのびりびりと同じだ。兵士たちがたまらず動きを止める。その隙に、というわけでもないだろうが、火竜は東門へ突進した。

 「こっち来たらダメったら!」

 トーコがスライドさせた障壁魔法に当たって空中で一回転する火竜。ただしトーコのほうも、まるで自分の腕で火竜の体当たりを受け止めたかのように全身に衝撃が走った。もちろん錯覚なのだが、そのくらいの勢いがある。

 「まずい、まずいよう~! このまま受け止めてたら、すぐに魔力切れになっちゃう! ベアさんはどこでなにしてるの~!」

 ベアがいてくれたら、どうしたらいいのか、きっと的確な指示をくれるのに。

 トーコは味方の射出号令と、火竜の動きに全神経を向けた。もしもトーコが火竜の動きを読み損なって障壁を動かすのが遅れたら、何十人ものひとが丸焦げになる。お腹の底がすうーっと冷たくなった。

 しかも具合の悪いことに、石や矢が降ってくる間は障壁が無いのに気がついたのか、単に迎撃しようとしてか火竜が射出のタイミングで炎を吐くようになった。ひょっとしたら、これで防いでいるつもりかもしれない。実際はトーコが両者の間をさえぎっているのだが、結果的に火竜にとってはそういうことになる。トーコとしては火炎の防御を優先せざるを得ない。

 しかし、火竜が火を吹くには必ず首をそらせる必要があり、その一瞬は目標から目が離れる。なのに、なぜこうも完璧にタイミングよく火を吹けるのか。

 考えていると火竜が大きく羽ばたいた。突風が吹き荒れ、城壁から前へ出ていたトーコも吹き飛ばされた。城壁の上にいた兵士がトーコの足を掴み、数人がかりでひき下ろしてくれた。

 「あ、ありがと……」

 礼を言いながら、トーコの脳裏に何かがひらめいた。火、風。火と風。ごく最近、この組み合わせを聞いた。火を吹くから火竜。だけど、この竜が操っているのは火だけじゃない。どうやってあのこうもりのような貧弱な羽であの巨体を支えて飛んでいるのだ? ひょっとして火とは別の魔法を使っているのではないか? 

 でも確かめるには残り魔力が心もとない。早く誰か来て。ひとりじゃ、支えられない。

 トーコはポーチから結晶樹の実を取り出し、魔力を吸い上げた。蓄えたものを失った実ははかなく砕け消えた。足りない。このまま他の魔法使いが駆けつけるのが遅れれば、ほんの少しこの押し引きが伸びるだけだ。でも何もしなかったら、どのみち押し切られる。それほどに竜という生き物の魔力は桁違いだ。

 トーコにもっと使える魔力があれば……。

 「あ、ある!」

 トーコは助けてくれた兵士の腕を掴んだ。

 「誰かザカリアスさんのところから結晶石を借りてきて!」

 「は?」

 「このままじゃわたしの魔力が尽きちゃう!」

 と、ものすごい勢いで首根っこを掴まれて引き上げられる。

 「この非常時にさぼるな!」

 「ハルトマンさん!」

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