第6話 追放
朝がやってきた。
とても明るい。俺は起き上がりカーテンを開ける。
しかし、太陽は無かった。この世界では太陽が無いのに昼間は明るいのか。
ミカはぐっすりと気持ちよさそうに眠っている。
「ミカ…?ミカ?」
とりあえず事情を説明するために、ミカを起こすことにした。
ミカは眠たそうにゆっくりとまぶたを開ける。
「……ん…ん……ん?あれ、リョーガさん…?」
身体を起こして目をこする。
「起きたか」
「…はい。…って、ぇええ?私は、なんでこんなところに…?……はっ…まさか、私リョーガさん…と?…ふへぇあ…」
ぐてっと気を失い、再びベットに倒れこんだ。
「おい!大丈夫か!……また気失ったよ」
それから暫くして、ミカは再び目を覚ます。
「あ、いや、なんと言ったら良いか…すいません!酔った勢いで私は…」
顔を赤くして俺と目を合わせようとしない。
「いや、違うぞ?なに勘違いしてんだよ」
そう言ったとき、ミカは顔を上げて俺をみた。
すると、ミカの表情がみるみる内に強張ったように変化していく。
「…え?……あなた、誰?」
ポカンと口を開けて俺を見るミカ。
「俺はリョーガだけど?」
「リョーガ…さん…?ひっ…!な…にこれ」
両手で頭を抱え出すミカ。強い頭痛を鎮めるように両手で頭を抑える。
「どうしたんだ、大丈夫か?」
俺が肩に触れると、どうやら鎮まったようで、俺の手を退かして呟いた。
「…なるほど、そういうことですか」
いきなり冷静を取り戻し、俺を再び見つめる。
「何が?」
「あなた、この世界のリョーガさんではありませんよね」
睨みつけるような目で俺を見る。
「なんで、それを!」
「私、実は相手の目をみれば心と記憶を見透かすことができるんです。この能力に限っては綾さんよりも優れています」
「まさか、お前!!」
「…はい、あなたがどのような手段でこの世界に来たのか、どうしてこうなったのかも全て、知りました」
「……はぁ…」
「本当にすみません…もともと、私的に使ってはいけない能力なのですが…」
「なら、どうしてだよ」
「あなたのことが、あなたのことを知りたかったからです」
その一言で俺の心に現れた少しの怒りは消えていった。
「…そうか」
「あ……すみませんでした。私は自分勝手にこんなことをしてしまいました。あなたの過去も、勝手に覗きこんでしまいました」
「もう、いいよ。俺は何方にせよ、明日には皆に俺がこの世界のリョーガで無いことを説明して、それからマスターから逃げるつもりだったし。別に俺はこの世界で用が済んだら終わりだしね」
「そうですか……」
「俺はもう出て行く。ギルドへ行ったらみんなに全てを話すよ。ミカもあまり飲み過ぎんなよ」
「…え?」
「じゃあな」
俺は手を振って、部屋をあとにした。
それから俺はギルドのメンバーへ話して、なんとか理解してもらい、マスターも俺を許すかわりにギルドメンバーを追放された。
これはギルドメンバーが俺を殺すことに猛反対したためで、追放という形で終わらされた。
俺はもちろん、いくあてなどなく、ただ歩き出した。
「待ってください!待って!」
誰かが俺を止める。
「…ん?」
それはミカだった。息も絶え絶えにしながら髪の毛をかきあげる。
「私を連れていってください!」
「……どうなっても知らないぞ。良いのか?」
「構いません」
「足手まといになったらすぐ切り捨てるぞ。それでもか?」
「構いませんッ!」
女性の迫力に押されて、情けなくも折れてしまった。
「そうか、ならついて来い」
「はい!」
二人で街をでて、広い草原を歩く。
「あなたは、その、手がかりを探しているのですよね?」
「ああ、そうだけど……その、敬語はちょっとやめてくれないか?喋りづらい」
「じゃ、じゃあ、タメ口で…お、おほんっ!えーと、ガミラスの欠片を集めよう?」
「ガミラスの…欠片?」
「そう。ガミラスの欠片を集めて、それから集めたそれを教会に持って行ったらその持ち主が求めるものを手に入れる方法がわかるんだって」
「へぇー…で、そのガミ…なんとかはどこに?」
「サラマンダーの巣窟にあるんだけど…」
「よし!じゃあすぐに行こう!」
「えっ、でもっ」
「いいから、早く案内してくれ」
「うん、わかった…」
これからも、よろしくお願いします